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THEドラえもん展TOKYO2017@森アーツセンターギャラリー

こちらも友人とレアンドロエルリッヒ展と同じ日に行ってきました。私は藤子・F・不二雄先生大好きマンなので、この展示は数ヶ月前から楽しみにしておりました。11月に行った横浜トリエンナーレで私が「何この人の世界観好き…!」ってなったMr.先生(勝手にそう呼んでいる)も出展なさるということで、より一層ワクワクしてました。展覧会入り口にはカムカムキャット(ドラえもんのひみつ道具。人を呼んでくれる招き猫)が待ち構えてくれていて、Fファンとしては「この展覧会、わかってるな…!」とまずニヤリとさせられました。

冒頭から村上隆ドーン!Mr.ドーン!とカイカイキキ作品が「ドラえもん最高だよね!とってもだいすきドラえもん!」とポップに観客に語りかけてきます。Mr.先生の描くしずかちゃんはロリ感があって飛び抜けてキュート。一見すると、ただカワイイだけじゃんと思われるかもしれないが、薄いピンク色の入れ方なども秀逸で素晴らしいのでキャンバスで是非見て欲しいな。

あとは鴻池朋子さんの「しずかちゃんの洞窟」。動物の皮をつなげたものに絵を描いたそう。そのつなげたサイズも大きく、まさに洞窟のようになっていて圧巻です。「タイムマシンでドラえもんたちが時代を遡った時に、ドラえもんに助けられた古代人がみんなのことを神さまとして洞窟の壁画にしたのかな?」なんて、いろんなことを妄想しながら見るのも楽しい。そういう妄想ができるのもこういう原作ありきの展覧会の醍醐味!この作品を見ている時、その隣に並んでいる同じく鴻池朋子さんの映像作品から、不気味なドラえもんの歌が聴こえてくる配置なのも面白いです。まさしく異空間・異次元に飛ばさせてもらえる。

渡邊希さんの漆の作品「タイムドラベル」はめちゃくちゃ良かった!色は黒くツルツルした漆の板で、形状としては布のようにうねっており、その表面にドラえもんやのび太がちょこまか可愛く原作絵で描かれている立体作品なのですが、その作品を覗き込むとその黒色に自分が映り込み、形状に合わせて自分の像もうねるのです。ドラえもんやのび太たちと一緒にうねうねと空間に飲み込まれていくような感覚になれる、見ているうちに気づけば作品の一部となって体験させられている。「あ、ここにもドラえもん書かれてた!」なんて隠れミッキーならぬ隠れドラえもん探しをするのも楽しい。

坂本友由さんの描くしずかちゃんはエロティシズムの塊。肌の質感・肉感がすごすぎた…!シチュエーションといい、数あるドラえもん作品からいちばん絶妙にエロスを感じさせるシーンを持ってきたなと。安易にお風呂のシーンとかじゃないところが原作リスペクトも感じるし最&高。意外と大きな作品なのでこちらも是非現物を!

こういうモチーフとする原作がありきの展覧会は誰でも足を運びやすく話題にもなるし、展示としても統一性が出て良いのだけれど、あまりに原作からイメージが逸脱しているものは原作ファンが見た時になんとも言えない気持ちになるし、とはいっても作家の持つ個性やある意味毒のようなものが出てこないと作品としては面白くないし、結構難しいものだなとは思いました。村上隆や会田誠などは置いておいて、他は私も初見の若手アーティストの作品が多くて、「みんなのよく知っているドラえもんを通じて、みんなのよく知らない(けど面白い)現代アーティストを教えるよ!」っていう目的の大きい企画なのかなと感じたけれど、それにしては展示に作家自体の情報が少なすぎたかな。折角「この作品面白いな!」と感じても、家に帰って作家について自分で調べる人がどのくらいいるかと思うと結構難しい話だと思うので、キャプションに作家のプロフィール文を乗せるなどしたら、もっと作家自体に興味を抱かせ他の作品への出会いに繋げられる良き機会となり、もう少しこの展示の意義が深まるのでは?なんてことをお節介にも思った次第であります。

展示終盤では増田セバスチャンのキラキラドラえもんが「僕かわいいでしょ!写真撮って!インスタにあげて!」と今にも言わんばかりに鎮座されてはったよ。(実際めちゃくちゃカワイイ)

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