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たんかえん(歌宴の短歌集) 2018~2020.5.13

約2年間、詠み貯めた短歌です。

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「ばかだなぁ」あなたが笑ってくれるからばかを演じるわたしはばかだ

わたがしを ほおばる頬に キスするか 首筋をつたう 汗になりたい

いいかなぁ えーどうしよう まようなぁ月曜日から ビールとサラミ

おっぱいや かおのかわいさ おいといてハイボール飲む 君をだきたい

午後十時 腹を空かせて 歩く今 別れた君は きっと果ててる

乗換のアプリで家の最寄り駅と会社の駅を逆にするだけ

袖通す ヒートテックの厚いやつ 平成最後の冬がはじまる

オフィス街 世間に揉まれて ガキの俺 どこにも行くなと手を握る夜

冬の駅待てど暮らせどドア開かず「ボタン押すのよ」朱に染まる耳

サンタさん僕の家にも来るならば能年玲奈似の彼女が欲しい

茶髪ギャル右手にジーマ左手でセンター街のゴミを拾った

この春に上京すると決めたから母の調理をじっと見つめる

心病み「ズボラに生きるための本」の大事な文に引く定規の線

このバーで頼みたいけど分からない 水かお冷かチェイサーなのか

嫌な上司 電話で見せる パパの顔 ちょいまてそれは ずるすぎませんか

オレはいつ忘れてきたの 少年の新幹線を見る目の輝き

叙々苑のカルビもマジでうまいけど腹ペコで食う松屋 神かよ

人生に意味はないかもしれないが意味を探すのそれが楽しい

元カレのTwitterはミュートしたけどインスタ忘れ地獄に落ちる

また会おう 帰路の路線が 違う君
"I love you" が 今日も言えない

秋雨を凌ぐ傘の中で泣く 女(ひと)にティッシュを渡せないまま

日が変わり 人身事故で 帰れない
初雪前の ワクワクのよう

モノクロの 世界に刺さる 光の矢
君に出会えて ほんとよかった

総武線 酔ったふりして 君の肩
頭あずける 日付が変わる

ボロボロの 赤本片手に 窓を見る
夢と希望を 鞄に詰めて

家の前 君と歩いた 散歩道
たんぽぽ咲いたよ 元気にしてる?

分かるけど 聞きたくなかった その言葉
「男だったら 彼氏にしてた」

年重ね 気づいたことは いつだって 撫でられたいし ほめられたいよ

君の手に 光り輝く 指輪見る
シャンパンの泡 黙って消える

せめてもの お願いあるの 隣来て 子守唄を歌って帰って

いつもなら 笑って下ネタ 言うくせに どうしていざって 時に黙るの

太っちゃう なんて言いつつ 二杯飯
たぶん人間 素直が一番

なんとなく 仕事サボって 寄った店
コーヒーは甘く ケーキは苦い

夏祭り 風にゆられる 莨の火
それ吸い切ったら 「好き」と言ってよ

感情が ぐるぐる混ざって 黒になる
白い季節は もうすぐそこに

血と汗と 都会のガスを 吸い切った
アディダス履いて 立ち尽くす夜

マフラーに 顔を埋めて 歩く道
「寒がりだなぁ」 違う照れるの

目が覚めて 横では君が まだ寝てて
夢か現か はたまた嘘か

満月が きれいですねと 友が言う
これは漱石 なんと返せば

嫌気差し ネットの海に 溺れたい
夜もあるんだ 何も言うなよ

おっぱいのことしか考えたくない時も
人生生きてりゃ あるでしょ君も

紅色の ハイビスカスが 映える夜 ジャスミンハイの 向こうには海

突然の「結婚しました」報告をする君の文字 ただ眩しくて

ドレス着た流し目の君もいいけれど 石榴を齧る横顔が好き

午後10時 2人のOL 桃色の 風船持って はしゃぐ山手線

二人とも 大人になった と言えた夜
出会えてよかった 最愛の友

日記帳 お正月から 大晦日
矢印引いて 「多忙」と書くのみ

原宿に 赤い頭の 女の子
叩いて鳴るは パンクのビート

君のこと 好きになった ごめんねと
言うな謝るな 自分を責めるな


あとちょっと あと1センチで 繋がる手 チキンハートよ どこまでも跳べ

なんかこう もっと奥行き あるような
短歌が詠めたら ただそれだけで


この恋が 共白髪まで 続くのか
分からず振った ごめん好きだよ


寝て起きて 食うだけの繰り返しでも
真夏のはじめの 匂いがする部屋

女だけじゃないのよ私は 泣き虫で
15(さん)時のジンジャーエールが好きで

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