ブランド立ち上げ時の苦悩
以前記載したように、弊社は今期で45年目の所謂老舗でして、kaeneというブランドを立ち上げる前は、シルバー(70~80代のお婆ちゃん向け)の洋服を作っている会社でした。
その会社が潰れかけて、洋服に対してド素人の息子が入社しヤング向けの若いブランドを立ち上げ、当時インターネット販売は主流では無かったので、お店さんにいわゆる卸売りをしようとするとどうなるかと言いますと、
誰も相手にしてくれないんです( ;∀;)
【理由】
・九州ではお婆ちゃんの洋服を作ってる会社としてそこそこ有名だった
・この業界は経歴や背景にうるせー
・自信が無いので自信持って売れない
上記が3大理由だったと思います。
簡単に説明すると、侶丹(ロダン)って会社名が先ずは古いですよね。
そして、私が入社した当時で創業30年ほど経っていたので、西日本ではまぁまぁ知名度のある会社でした。
更に、社名に似つかわしくお婆ちゃんの洋服を作っていたので、営業に行ったとしても
「侶丹ってお婆ちゃんの洋服やろ?」「いやいや、お婆ちゃんの会社がヤングって無理でしょ!」「なんかババくせーんだよなぁ」「いやもうお婆ちゃんの洋服やん!」
という感じで、とにかくやってる自分自身も、俺お婆ちゃんの洋服作ってんのかな?と勘違いしてくるくらいお婆ちゃんのイメージが強過ぎたようで、全く相手にされませんでした。(ひどい人は侶丹ってだけで洋服すら見てくれんかったなぁ涙)
次に襲い掛かってくるのは、「今まで何やってたん?」「どこ出身?(学校や会社)」「いやいや飲食出身て笑」という経歴ですね。
そして必ず聞かれる
「今どこと取引きしてるん?」
という質問。アパレル業界はそれらが凄く重要みたいで。私がセントマーチンズ出身とか、シャネル出身だったら話は全く違ったんでしょうが、大学の卒業目前で親が呼び出されて
「お宅の息子は前代未聞の生徒や!」
と先生から親が怒られるという経歴を持つ残念な人間だったので、、、
そしてそんな日々を送っていると、否定的な言葉ばかり浴びているので元々無かった自信が更に削られていって。。。
商談の時に声や手が震えたり、世間的には結構大人なのになんか分からんけど半泣きになったり笑。
今は笑えますが、当時は本当に苦しかったんだろうなって思います(他人事)。当然そんな自信が無さそうな病的なヤツが売りに来ても、誰も買いませんよね。
じゃあどうするか!
簡単なんですよ!!!シンプルなんですよ!!!じゃあどうするかを考えて行動すれば良いだけなんですよ!!!(変なスイッチ入った)(自分の情緒が心配!)
そんな日常から脱出したかったので、シンプルにどうすべきかを考えたら答えは簡単でした。
会社(侶丹)や俺の事全く知らないところで売れば良くね?
一旦九州・中国・四国辺りを捨てて、我々の事なんて到底存じていないだろう東京の会社を攻める事にしました。そして折角なら自分が好きな雰囲気のお店に攻めようと思い、当時天神のソラリアにあった「Jewel Changes」という、名前からしてもいけてるお店にターゲットを絞りました。(アパレル大手ユナイテッドアローズさんに以前あったブランドです)
そして、何の迷いもなくそのお店に行き、
「お店が可愛いと思ったので、是非本社の方と商談させていただけませんか?(キリッ)」
みたいな感じで、突撃訪問したところ
店長「分かりました!今からバイヤーに電話してみますね!」
いやいやいやいや!!!!!!おい店長さん!!!今でこそアパレル業界ベテランな私ですが、このケースはマジで有り得ない!!なんて良い人!!
というか、私のこの突撃訪問も普通(※)からしたらあり得ないんですけどね。
※普通はバイヤー様宛に本社に電話をして繋げていただく。しかしバイヤー様は通常めちゃくちゃ忙しいのと、腐るほど新規の電話が掛かってくるので繋がらないことの方が多い
店長様「バイヤーに繋がりました!」
私「あ、もしもし!かくかくしかじかでご商談をお願いしたいのですが!」
バイヤー様「あ!分かりました!では先ず資料送ってください!住所は~」
いやいや、店長さんもやけどバイヤーさんも優しすぎ( ;∀;)こんなスムーズに普通はいきませんから。
という感じで、その後時間はかかりましたが大変有難いことに、ユナイテッドアローズのジュエルチェンジズという事業部とお取引きさせていただけることになりました!!
ここからの私は剣を得た勇者のように、私を苦しめたあの質問に対して、
「はい!ユナイテッドアローズ様とお取引させていただいております!」
「そうですね、U.A※さんとお取引させていただいております。」
「飲食出身ですが、ユナイテッドアローズ様とはお取引させていただいておりますけど?」
※業界ではユナイテッドアローズを略してU.A(ユーエー)というのもこの辺で知りました
的な感じで、もはや聞かれてもないのに振りかざしまくりました。だって皆さんこういうのが欲しかったんでしょ?
そしてその効力のお陰もあり、東京・大阪の別の会社様や九州その他でも少しづつお取引の件数は増えていき、会社は少しづつですが前進していきました。
次回は、お金が無いとどうなるか?を記載したいと思います。
PS.
ユナイテッドアローズ様、知らぬところで乱用させていただきましたこと大変申し訳ございませんでした!そしていまだにお取引きを継続していただき、誠に有難うございます。お陰様で弊社は今も尚、なんとか生き延びております。 この場を借りて熱く厚く暑苦しく御礼申し上げます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?