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カメラ紀行「世界の絶景」3.美港


はじめに

 私は2度の世界一周クルーズで38ヵ国、33港を訪れました。
 このカメラ紀行では、大型クルーズ船から見た風景が美しい港をピックアップしました。つまり陸から見た港の風景ではなくて、海側、船上から感動の絶景が見られる港です。
 世界には三大美港といわれる港がありますが、多くのサイトを検索してみると、それは「シドニー、サンフランシスコ、リオデジャネイロ」であったり、「シドニー、サンタルチア(ナポリ)、ケープタウン」であったりと、人それぞれです。
 それらを整理してみると、必ず出てくるのがシドニー港で、「世界で一番美しい港」といえるようです。
 私は「シドニー、サンフランシスコ、リオデジャネイロ、サンタルチア(ナポリ)、香港、ケープタウン」を六大美港といってもいいと思います。
 私が訪れた33港の中には、この六大美港はすべて含んでいますが、サンフランシスコは濃い霧につつまれて全く見えず、リオデジャネイロは先に入港していた大型船に遮られて写真が撮れませんでした。
 本稿では、南半球編と北半球編に分け、それぞれ7港をピックアップし、計14港を「世界の美港」として掲載しました。

南半球編

1.ウシュアイア港(アルゼンチン)

 ウシュアイアがあるフエゴ島は、アンデス山脈の南端に位置し、マゼラン海峡、ビーグル水道、大西洋に囲まれた九州より少し大きな島だ。
 南極への夢と希望に満ちた旅のスタート地点となるウシュアイア港の背後には頂に万年雪をたたえるマルティアル山脈がそびえ、船や人びとの往来を見守り続けている。

日中は南極へ向かう人々で賑わうこの港町は、夜の帳がおりころになると、氷河を擁する山々と、港町の灯りとのコントラストがウシュアイアならではの絶景をみせてくれる。

2. パラダイスハーバー(南極)

 地球上で最も美しいと呼ばれる「パラダイス湾」。
 その昔、捕鯨船の船員が、この湾を見て、「ここは天国だ」と叫んだことから、パラダイス湾と名付けられたという。
 私が訪れた日は10日に1度しかないという好天にめぐまれ、湾を囲むように連なる標高2千米級の山々が、湖のように静かな海面に美しい姿を映しこんでいた。
 青い空に白い氷山、エメラルド色の輪に囲まれた流氷。「世界で最も美しい自然港」といわれる風景を心ゆくまで撮ることができた。

 国境もない、軍事基地もない。
 この平和な湾の中にはルメール島とブライド島が浮かび、ゲーラーシェ海峡を挟んで雄大なフランス山(2,825m)が見える。
 湾を囲むように連なる標高2千米級の山々が、湖のように静かな海面に美しい姿を映しこんでいた。

3.プンタアレナス(チリ)

 マゼラン海峡の中間部、ブルンスウィック半島の根元に位置する港町・プンタアレナスは、パナマ運河開通までは、太平洋と大西洋を結ぶ重要な航路であり、海峡を航行する外洋船の寄港地として繁栄したが、今ではかつての賑わいはなく落ち着いた静かな港だった。
 早朝、港の中心部から少しはなれた所で見事な朝焼けのリフレクションが撮れた。

4.バルパライソ港(チリ)

 バルパライソ港はチリ最大の物流港であり、チリ海軍の主要港でもある。
背後に迫る斜面にびっしりと家屋が建てられており、色とりどりの屋根が織りなす景観は圧巻だが、夜にはさらに彩豊かな絶景になる。
 2003年にユネスコ世界遺産に「バルパライソの海港都市とその歴史的街並み」として登録された。

5.シドニー港(オーストラリア)

 世界三大美港のひとつとされるシドニー港は、天然の良港ポート・ジャクソン湾が18世紀に発見されて以来、オーストラリアの海の玄関口として発達してきた。
 シドニーのシンボルとして市民に愛されるオペラハウスや、美しいアーチを描くハーバーブリッジが創り出す港の光景は、世界一の美港とさえ称賛される。

 オペラハウスと並んで港名物のハーバーブリッジは、橋のふもとザ・ロックスから眺めたり、ブリッジにある歩道を歩いたり、橋の支柱にある展望台に登ってシドニー市街地とハーバーを見渡したりと楽しみはいろいろ。
 究極の楽しみが「ブリッジクライム」だ。
 水面から134mの高さにあるハーバーブリッジのアーチ部分を歩いて、ハーバー一帯を360度大パノラマで眺めることができる。

6.オークランド港(ニュージーランド)

 かつてニュージーランドの首都であった歴史を持ち、ニュージーランドの人口の3割強が居住するオークランド。
 その海の玄関口となるオークランド港は、南半球で最も高層のスカイタワーをはじめ、各種施設が充実している。
 港にはヨットがたくさん浮かび、絵画的な景観を描いているこの港町は「帆の街」として親しまれ、島の周辺を行き交うフェリーや無数のヨットが海面に彩りを添える様子は実に美しく印象的だ。

7.ケープタウン港(南アフリカ共和国)

 世界で最も美しい街の一つに数えられるケープタウン。
 インド航路の船のために、17世紀にオランダの東インド会社が置いた補給基地から発展したコロニアル風の町並みと近代的な高層ビルが混在し、南側には街の象徴であるテーブルマウンテンがそびえる風光明媚な港町だ。
 ケープタウンには、東南からの強い貿易風が吹き、それがテーブルマウンテンに当り、山上にテーブルクロスのように白い雲が這う光景が見られると聞いて、朝早く撮影に出かけた。
 対岸にカメラを据えて待つこと暫し、白龍のような雲がウォーターフロントの方に流れる絶景が見えた。

北半球編

1.ストックホルム港(スエーデン)

 100 万の人が住むストックホルムは世界でも有数の「美しく清潔で秩序のある首都」といわれている。
 7世紀以上の歴史のある街は、ただ美しいだけではなく、スウェーデンの芸術と文化の中心でもある。
 この都市は14余りの島々からなり、湾と海峡と入り江が織り交ぜられていることから「水に浮かぶ都市」とも言われている。
 市庁舎のあるタングスホルメン島の対岸に立てば、年代を感じる緑色の青銅の屋根、塔や 尖塔、優雅な丸屋根などが、歴史ある旧市街「ガムラ・スタン」に広がる風景が見える。

2.サンタルチア港(イタリア)

 「ナポリを見て死ね」といわれるほど風光明媚な土地として知られる港町ナポリ。
 そのナポリの港で一番有名なのが、歌にも出てくるサンタルチア港だ。
 それは優美な裾野を持つベスビオ火山と、弧を描く港、青い海、青い空、パステルカラーの家並みの組み合わせが生んだ風景である。

3.ピレウス港(ギリシャ)

 ピレウスは、アテネのダウンタウン。
 市内中心部から南西に 12 km、サロニクス湾の東海岸沿いに位置している。古代にはペイライエウスと呼ばれ、アテナイの外港都市として発展した。今日ではエーゲ海の島々への船が、ピレウス港から出ているギリシャ最大の港だ。

4.バルセロナ港(スペイン)

 バルセロナは、古くから芸術活動が盛んで、美術館・博物館が多く立ち並び、独特の文化が息づくカタルーニャ地方最大の都市だ。
 未完の傑作として知られる、ガウディのサグラダファミリアなど、世界有数の建築物を鑑賞できるバルセロナ観光の拠点として多くのクルーズ船が往来するバルセロナ港は、サグラダファミリアも遠望できる美しい港だ。

5.イズミール港(トルコ)

 イズミールは大きな入り江の奥にある都市で,古代より天然の良港として栄えてきた人口約400万人のトルコ第3の都市である.
 毎年、秋の国際見本市がこの地で開催される重要な商業都市であり、同時に豊かな歴史の宝庫でもある。
 種なしブドウや乾燥イチジクに代表される果物類、香りの良いタバコの産地であり、何世紀もの間トルコと西側諸国との商取引上の要地として、またエーゲ地方の観光の拠点として栄えた港街だ。

6.ビクトリア港 (香港)

 香港発祥の地と言われているビクトリア港。香港島と九龍半島の間に広がる深い海のおかげで、漁村の集まりが国際的な貿易の中心に生まれ変わった。
 現在もなお、この港は街の重要な中心として機能し、世界で屈指の美景のひとつに挙げられている。

 ビクトリア港をさらに魅力的にしているのが、マルチメディア・ライトショーだ。毎晩20時になると、港の両側の象徴的な建物が調和のとれたキャンバスを形成し、無数のサーチライト、レーザー、LEDスクリーン、照明がシンフォニーを奏で、港を屋外の視聴覚的な饗宴に変えてくれる光景が繰り広げられる。

7.シンガポール港(シンガポール)

 シンガポール港は、コンテナ貨物取扱量では香港と並んで世界トップの座を競う アジア最大級のハブ港だ。

 東南アジア有数の観光国であるシン ガポールの中でも、シンガポール港の対岸に広がるセントーサ島は、水族館、海洋博物館、ラン園などのレジャー施設、 リゾートホテルが集結する観光コース では定番のスポットで、本島と結ぶロープウエイは、港の景観の一部をなしている。

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