証券会社への就職・転職を考えている方に読んで欲しい証券営業のリアル
このnoteでは、地方で圧倒的な知名度を誇る証券会社の営業マンが関東圏のアウェイで営業をした際に起こった出来事を記します。
架空の証券会社「ボルゾイ証券」の新人営業マン、ボルゾイが体験したリアルをつたえます。
金融はお金もらえるし、証券行くか。
明るいし人と話すの苦じゃないから証券営業やってみるか。
そういった軽い気持ちで証券会社への就職を考えている方は目を通してください。リアルを知った上で、進路を決めて頂けると幸いです。
取らなきゃ働けない!資格取得合宿
株の売買を行うためには証券外務員2種という資格を取る必要があり、この資格を持っていないと証券外務員として働くことはできません。
ボルゾイ証券は「何が何でも取らせる。人間の自主性など信用しない」というスタンスなので、4日間の合宿で一日15時間勉強させ偏差値35でも資格が取れるように仕上げます。
わたしは親族とさえ同じ寝室にいるのは嫌なのに、いきなり同期数人と一つの部屋に押し込まれます。
ストレス値はマックスでしたが、どうせ取らないといけないため集中して取り組み、サクっと1種まで取得しました。
証券外務員試験はその気になれば3日で取れる資格なので、金融機関への転職をお考えの方にはおすすめですね。
偏差値30の人でも取れてたので、おそらく大体の方は取得できる資格でしょう。
戦略は不要!地図と電話帳を使った個人宅への突撃
1ヶ月の研修が終わり、とうとう営業がスタートします。
支店配属初日、上司から配属地域の地図(現物)と電話帳を渡されます。そして一言。
「この地図をすべて当たれ。法人・個人問わずだ。行って来い」
猿の惑星にやってきたのか?
そう思ったのも無理はありません。しかし、郷に入っては郷に従え、毎日個人宅へ突撃する仕事がはじまりました。
野村證券、大和証券のような看板がないボルゾイ証券は都市部では1ミリも知られていません。
宗教勧誘と同等、もしくはそれ以上に邪険に扱われました。
証券リテール営業という仕事
「ボルゾイ証券?聞いたことないよ。帰ってくれ」
「うちは野村でやってるから無理だよ。じゃあね」
「・・・・・・(無言でインターホンを切る)」
「あああああ!!!!帰れえええ!(突然の発狂)」
「お前らに損させられたから一生使わん。顔も見たくない」
冗談抜きに、こんな感じでした。toC営業の恐ろしさを心で理解できましたね。というか証券外務員が嫌われすぎです。呪われてるのか?
毎日80~100件ほど訪問しましたが、数人話を聞いてもらえればいいですが9割は会話すらはじまりません。
営業トークだなんだ、ヒアリングだなんだ、ああいうのは「向こうから来てくれる営業」でしか通用しません。
基本的に、会話なんて出来ないんです。
野村證券で営業をされていた宋さんというYoutuberはあまりに誰も話を聞いてくれないから首をカクカクするという奇行に走っていましたが、よくわかります。
結局、曖昧な言葉で玄関先に出てもらうしかないんです。
野村證券の巻紙じゃありませんが、直筆の手紙を書いたり証券レポートを届けたりもしました。
単純接触効果で、何回も行けば買ってくれたりします。
しかし会社の利益のためには、心をころすことも必要だと知るのでした。
情は捨てろ!金融資産1000万のおばあちゃんへ600万の商品を売りつける
いつものように、支店で電話帳をローラー電話していたら電話がつながりました。
「金融商品に興味?まあ、あるんだけど・・・」
「でしたら、◯日か◯日の午後は開いておりますか?直接お話させていただきます」
マンションの10階に住まれていたおばあちゃんで、年齢は70代中盤、ビーズでティッシュの箱作るのが趣味で、旦那さんは既に逝去されてました。
金融資産は1,000万程度でしたが、押せばいけると思い600万円分ボラティリティの高い国内株を勧めました。
25%程上昇し、それなりの含み益も出たのですが本社勤務になりわたしは後輩に引き継ぎその人との関係は終わりました。
その後、株価は暴落。損切りをさせると口座解約に結びつくため、放置されたおばあちゃんの600万は300万になってしまいます。
やるせない気持ちになり、わたしはこの時期に転職を決意しました。
上司による長時間の詰め
転職の決意を心で察知したのか、上司の詰めが激化したのもこの頃でした。
毎日人格否定をされ、ひどい時は2時間ずっと「はやく退社してほしい」「おまえは売れないんだ」「生きている意味あるのか?」と詰められていました。
飲み会では日本酒にポン酢・唐辛子をちゃんぽんしたものを無理やり2合ほど飲まされ、飲み会費用もわたしに押し付けることもありました。
精神的にまいってしまい、身体と心を壊してしまったのですが詳細は自己紹介の記事に記載していますのでご参照ください。
おわりに
以上が、ボルゾイ証券に務めたボルゾイの営業話でした。
看板もなく、ファン客がいない地域での営業は厳しくメンタル・体力ともにゴリゴリと削られました。
今でも高級住宅街を見ると当時が思い出され、気分が悪くなります。
とはいえ、看板に頼らないメンタルやちょっとやそっとのことじゃ折れない心を身につけることが出来たのも事実です。
現職のM&Aブティックファームに入社する際や、他社面接でも優位に働きましたし副業を行う際も諦めることなく続けることが出来ました。
なにかを得るためには、なにかを捨てることが必要。
その言葉を体現する貴重な体験でした。
日々の仕事・転職の体験を基に記事を書いています。良い記事だと思ったらサポートして頂けるとうれしいです。