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藤代駅もう行かないと思う

あの日はやけに時間が長くて、それはつまり、最後だったから。ドラマのエンディングが最終回だけフルで流れる、あれと同じだった。場所も季節も時間も天気も全て違うのに、ただの洋菓子一つで簡単に思い出す。
「兄はショートケーキが好き、自分はチーズケーキが好き。」
最後に知った君の情報がこれだった。私の1番とは違っていたけど、今度会う時はチーズケーキを食べに行こう。写真を沢山撮って、映画を観に行って、喧嘩もして、もっと仲良くなっちゃったりして、それで来年の冬こそは2人で、イルミネーションを見よう。そうただ素直に、ぼんやりと隣を歩きながらこんな展開を思っていた。自販機前のじゃんけん。君がこの小さな賭けに負けた時、本当はどう思っていたのだろう。少なくとも私は、少しでも長く隣を歩けて嬉しかった。君がおすすめだと教えてくれた米津玄師のアルバム曲を、私はしばらく聴いていた。でもきっとその頃君はもうとっくに聴いていなくて、今じゃ私の方が詳しくなった。君が音楽を聴かない間に、彼はいくつ曲を作っただろうね。どれも素敵なのに、君にはきっと伝わらない。じとじとと染み付いてしまった君の痕は、青く広がって止まらない。私の体にだけ残っていることが悔しくて情けない。こんなことなら、君とのこれまでと、これからの全て

この物語はフィクションです

そういうことにしてしまいたい。


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