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『一つ屋根の下で双子の推しから溺愛されてます!?』第1話(創作大賞2023漫画原作部門応募作)

<あらすじ>

 日奈子は平凡な女子高生。
 双子の男子アイドル『ジェミニ』をライブで一目惚れして以来、推し活動に全ての時間とお小遣いを使っている。

 ある日、母親が職場で知り合った男性と再婚することになり、その人は『ジェミニ』の2人の父親だった。
 推しのアイドル、日比谷凛と日比谷蓮が、自分の義理の兄になることに。
 信じられない事態に戸惑う日奈子だが、父親から女の子には優しくしなさいと育てられたせいか、2人は一つ年下の日奈子を甘やかし、可愛がり、溺愛してくる。

 推しはアイドルで双子で、義理の兄!? 甘々ドタバタコメディ!

<アピールポイント>

 この作品のポイントは、誰もが一度は考える『推しと一緒に住んで、愛されたい』という夢を叶えるようなストーリーです。

 明るく活発な凛と、クールで優しい蓮は真逆の性格ですが、2人ともイケメンで魅力のある青年で、そんな推しに大事に可愛がられる生活を、日奈子と共にドキドキしながら楽しんで欲しいです。

 アイドルとしてキラキラとした笑顔を見せるライブステージや、テレビ番組ではなく、年相応の高校生の男の子の素の姿を間近で見て、ファンとして心の中でトキメキ、騒ぎまくっている日奈子をコミカルに描きたいです。


 注目ポイントは二つあります。


 ひとつは、大人気の凛・蓮にも、今時のアイドルならではの悩みがあるところです。

 軽い気持ちで投稿したSNSの画像から、一緒に住んでいる日奈子の存在がバレ、彼女を攻撃するメッセージで炎上してしまい、大切な妹を守りたいと葛藤するシーン。

 若者に流行りの恋愛リアリティショーに凛と蓮が出演した際、共演者の女優やタレントに本気で好きになられ詰め寄られたり、番組を盛り上げるために嘘の演技をしなければいけないなど。

 等身大の男の子たちが悩み、でも日奈子を守るためや自分の気持ちに正直になるために頑張る姿を見てほしいです。


 二つ目は、2人の日奈子への溺愛っぷりです。

 お土産をたくさん買ってくる、マッサージをしたりお風呂上がりに髪を乾かす、男友達とデートする際に心配してついてくるなど、過保護すぎるぐらいの溺愛っぷりに照れながら困る日奈子。

 どんなに溺愛しても、義理の妹である以上恋愛はできないため、家族愛と異性への愛で揺れる凛と蓮の甘酸っぱい気持ちも丁寧に描きたいです。

 『妹だから』大切にするのではなく、くるくると子犬のように表情を変え、明るく素直で少しドジな日奈子を放っておけない兄2人が見所です。

 「推し」と一緒に住める夢のような状況、毎日ときめくけど義理の兄なので恋愛はできない…!

 そんな三角関係を楽しんでください。

<登場人物>

吉野日奈子(よしのひなこ 女 17歳 160cm)

黒髪ロング、平凡な女子高生。
明るく素直で友達が多い。
心の声がうるさい。

初めて行ったライブで見た『ジェミニ』に一目惚れし、それ以来
彼らへの推し活に全ての時間とお小遣いを捧げている。
母親の再婚相手が、凛と蓮の父親だったため、推しである二人と同じ家で生活することになり
毎日心臓がもたないほどドキドキしている。
食べるのが大好きで甘いもの好き。


日比谷 凛(ひびやりん 男 18歳 181cm)

色素の薄い茶髪、背が高く筋肉質。
運動神経が良く、ダンスが上手い。
前向きで天真爛漫、曲がったことが大嫌い。

男家族で女の子に優しくしなさいと父親に言われ育ったため、
義理の妹である日奈子を可愛がっている。
日奈子が男子と話していたり帰りが遅いだけで
仕事どころじゃなくなるほどの心配性。
料理が得意で、美味しいご飯を作って人に喜んでもらうのが好き。


日比谷 蓮(ひびやれん 男 18歳 180cm)

さらさらの黒髪、色白で細身。
絶対音感を持ち、歌が上手い。
クールで少々とっつきにくく思われるが、穏やかで優しい性格。

凛と同じく、日奈子のことをとても大切な妹だと思っている。
人をよく観察しており、日奈子が落ち込んでいたり疲れていたり
するのを誰よりも早く察知する。
音楽や映画、小説が好きなインドア派で、作品を一緒に楽しんで欲しい。


<第一話シナリオ>


■場面転換(ドームのコンサート会場、ステージ)

<キラキラと輝く瞳と、無敵の笑顔。そんな彼らに、女子はみんな恋をする>

凛「今日はみんな、来てくれてありがとうー!」

蓮「新アルバムのライブ、開催できて嬉しいよ。みんな振り付け覚えてきてくれたんだね」


ステージの上で手を振る凛と蓮。
大勢のファンが歓声をあげペンライトを振っている。


凛「改めて自己紹介します、日比谷凛とーーー!」

蓮「日比谷蓮です!」

凛・蓮「『ジェミニ』です、よろしくお願いします!」


<一度見たら目が離せない。天性のアイドルーー>


■場面転換(日奈子の自室、タブレットの前)

タブレットに映ったライブの配信動画を、嬉しそうに見つめる日奈子。

日奈子「ああー、やっぱ今回のライブの千秋楽のドーム公演、最高すぎる…!
セトリもいいし、トークも良い。色違いの衣装も可愛いし似合ってる…!」

昔行ったライブと、今画面の中の舞台を重ねる日奈子。


<2年前、友達の付き合いで初めて行ったアイドルのコンサート>

<当時デビューしたての『ジェミニ』は、双子のアイドルということでとても話題になった。ダンスの上手い兄の凛と、抜群に歌声の綺麗な弟の蓮>

<彼らの曲やパフォーマンスはとても洗練されていて、すぐに動画の再生回数は100万再生を超え、国民的アイドルになった>

<私も、そんな彼らに心を奪われた1人で、ライブに行ってからは最愛の推しとして、学校の合間に友達と『推し活』に励んだ>


ジェミニのグッズや、ペンライト、ポスターなどが机に置かれている。
クラスメイトと一緒にスマホを見ながら叫んでいる日奈子。


<そう、一ファンには、願っても手が届かない存在のはずなのにーーー>


扉の開く音。

凛「ただいまー!日奈子、帰ったぞー!」

蓮「久しぶりの家だな。日奈子、元気にしてたか?」

日奈子「うん。おかえり、凛くん、蓮くん」

玄関から入ってくる2人は背景がきらめいている。
思わず目がハートになる日奈子。


<―――そう、まさか愛しの推しと、ひとつ屋根の下で過ごすことになるなんて、一生分の運を使い切っちゃったぐらいの幸せが舞い降りるなんて!>



『ひとつ屋根の下で双子の推しから溺愛されてます!』


 扉絵:日奈子の両脇に凛と蓮、凛は腰を抱き、蓮は日奈子の手にキスをしている。


<そう、なんでこんな夢のようなことになったかというとーーー>



■場面転換(日奈子の学校、休み時間の教室)


友達3人で集まってスマホの画面を見ている。

日奈子「はあー新曲のダンスもかっこよすぎ! 最高だよー」

友人1「ほんと、ジェミニしか勝たん!」

友人2「2人とも好きだよねー」

日奈子「当たり前じゃん、こんなビジュ最強の双子なんて他にいないよ!」


スマホの待ち受けの凛と蓮を眺めながら、日奈子は目を輝かせている。


日奈子「でも最近人気すぎて…ライブ全然当たらないし、握手会も抽選になっちゃってさ…嬉しいけど悲しい…」

友人1「ねー、日奈子とは一緒にデビューライブ行ったもんね。今やドームライブ即完だもん」

日奈子「うちら最古参ファンじゃん…ああ生で見たいぃぃ…配信じゃ寂しいよぉぉ」


机に突っ伏して悲しむ日奈子。


友人2「確かに、最近テレビで見ない日ないもんね。大人気だよね」

日奈子「そうそう、クイズ番組とかでもさ、凛くんが元気におバカな回答して、蓮くんがそれにボソッと突っ込むの面白いんだよー!
しかも蓮くんも意外と天然で!昨日の番組おすすめだから見て!」


ジェミニのことになると話が止まらない日奈子。


友人1「じゃあ今日帰りカフェ行ってそれ見る? スタバの新作出るらしいよ」

日奈子「あ…ごめん。今日は早く帰らなきゃいけないんだ。家族で夕飯行くの」

友人2「忙しいお母さんが? 珍しいね」


<母子家庭の我が家は、母が広告代理店に勤務しており、毎日遅くまで仕事を頑張っている。でも今日は特別で…>


日奈子「えへへ、今日はお母さんが、彼氏を紹介してくれるんだって」

友人1「えーやるじゃん日奈子ママ!」

友人2「楽しみだね!」

日奈子「うん、だから先に帰るね」

友人2人に手を振り、カバンを背負い下校する日奈子。



■場面転換(おしゃれなレストランの個室)


綺麗なワンピースを着た日奈子が、スーツ姿の母親に近寄る。

日奈子「ママ!」

母「日奈子、学校帰りにわざわざ着替えてきてくれて、ありがとね」

日奈子「ううん。にしても凄いおしゃれなレストランだね…た、高そう…」


重厚な扉を開き、個室に入る日奈子。慣れないため、周りを見渡している。


母「ふふ、今日は特別だからね」


母親と一緒に席に座る日奈子。


日比谷父「初めまして、日奈子ちゃん」


扉を開けて入ってきたのは、清潔感のあるスーツ姿の男性。


日奈子「は、初めまして…」

日比谷父「日比谷雄二と申します。お母さんの美奈子さんとお付き合いさせて頂いてます。お会いしたかったです」

日奈子「こ、こちらこそ…」


礼をして席に座る。母親に小声で話しかける。


日奈子「ママ、めっちゃカッコいい人だね、やるじゃん」

母「うふふ、ありがとう」

日比谷父「食事を始めようか、美味しいお肉料理にしたんだ。喜んでもらえるといいな」

日奈子「は、はい!」


和やかに3人での食事が始まり、コース料理が運ばれてくる。
メイン料理が来たところで、母親が話を切り出す。


母「――で、先日雄二さんに、家族にならないかってお話をいただいたの」

日奈子「え、それってプロポーズ!?」

ハンバーグを食べていた日奈子は、驚いてナイフとフォークを置く。

日比谷父「僕は美奈子さんのことをとても大切に思っている。日奈子ちゃんのこともこれからよく知りたいんだ。
…でも、年頃の娘さんだから、嫌だったりしないか心配でね。
無理しないでゆっくり、時間をかけてもいいんだ」

優しい雄二の言葉に、首を横に振る日奈子。

日奈子「嫌なんてことないです。お母さんの選んだ人なら大丈夫だと思います。
ずっと親子2人で寂しかったし…嬉しいです!」


日奈子の言葉に、母と雄二が顔を見合わせて喜ぶ。


日比谷父「良かった。これからよろしくね」

日奈子「はい!」

日比谷父「実は、私には子供がいるんだ。歳も近いし、仲良くしてくれると助かるんだけど…。
今日この食事の席にも呼んでるから、話してみてほしい」


<え、子供がいるってことは…私に兄弟か姉妹ができるってこと?>


驚いている日奈子の前で、失礼、と謝りスマホで電話をかける雄二。


日比谷父「もしもし、もう近くにいる?
うん、日比谷の名前を言えば個室に通されると思うから。よろしく」


電話を切る雄二。


日比谷父「もう近くにいるみたいだから、すぐ息子が来ると思うよ」


<息子…男の人なんだ。緊張するな…>


ガチャ、と扉が開き、凛と蓮が入ってくる。


凛「お、父さんいた。初めまして、よろしくお願いします!」

蓮「父がいつもお世話になっております」


母に向かって、凛と蓮が丁寧に御辞儀をする。

2人の姿を見て、椅子から立ち上がり、叫ぶ日奈子。


日奈子「えええええーーーーーーーーー!!!!!」


母「ひ、日奈子、静かにしなさい」

日奈子「だ、だ、だって…!」


<見間違えるわけがない。栗色の柔らかい髪に、大きな瞳の凛くん。
つやつやの黒髪に、透けるような白い肌の蓮くん…。
間違いなく、それは私の最推しの愛しの2人だった>


日奈子「ジェ、ジェミニの凛くんと蓮くん…ですよね?」

凛「おお、知ってくれてるんだ、嬉しいな! そう、日比谷凛です。よろしく!」

近づき、日奈子の手を握り挨拶をする凛。


<ひええええーー!!握手会よりも近い…!スタッフさんに剥がされもしないし、手があったかい…い、いい匂いする…!>


顔を真っ赤にして固まっている日奈子を見て、不思議そうに首を傾げる凛。


蓮「凛、驚いちゃってるだろ。
すみません、日奈子さん…でいいんだよね。
日比谷蓮です。初めまして」


背の高い蓮は少しかがみ、日奈子と目線を合わせて微笑む蓮。


<うわああああーーーー!!顔近いしファンサえぐすぎ!!まつ毛長い…鼻高い…。
まじビジュアル神なんだが!!>


日奈子は2人のキラキラしたオーラに圧倒され、頭から湯気が出て床にへたりこむ。


凛「お、おい、大丈夫か!?」

蓮「平気?」

肩を支えた凛と、腕を掴んだ蓮と至近距離で目が合う。


<ああ、なんて…なんて夢みたいな状況…!>


日奈子「吉野…日奈子と言います。2人の、大ファン、で…」

たどたどしい挨拶に、2人が吹き出す。


蓮「あはは、ありがとう」

凛「俺たちも、ずっと男3人家族だったからさ。
妹が出来て嬉しいぜ!」


<………というのが数ヶ月前の出来事。
双子の推しが自分の義理の兄になるという、夢の出来事が現実で起こった。
まだ夢は覚めそうにないーーーーー>

第一話完


↓続き 第2話

↓第3話


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