マガジンのカバー画像

ながいはなし

8
10000文字以上の小説
運営しているクリエイター

#ホワイトデー

〈小説〉マシュマロ

〈小説〉マシュマロ



何を見ているんだろうと思った。
探すように一生懸命見ている、視線の先には何があるのだろう。
不安そうだったり嬉しそうだったり切なそうだったり、色んな表情で何かを見ている有沢萌を、ぼくは無意識に目で追うようになった。
有沢が見ている何かが気になっていたはずなのに、いつの間にか有沢そのものが気になっていた。
有沢が見ているものは花でも木でも空でもなかった。いつも同じ一人の男子をずっと見ていた。

もっとみる