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楓双葉
2018年2月24日 16:11
1何を見ているんだろうと思った。探すように一生懸命見ている、視線の先には何があるのだろう。不安そうだったり嬉しそうだったり切なそうだったり、色んな表情で何かを見ている有沢萌を、ぼくは無意識に目で追うようになった。有沢が見ている何かが気になっていたはずなのに、いつの間にか有沢そのものが気になっていた。有沢が見ているものは花でも木でも空でもなかった。いつも同じ一人の男子をずっと見ていた。