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娘1歳を世話しながらピアノ発表会を目指した話

趣味のピアノは産後も続けたかった。なので教室の大人向け発表会のお知らせを聞いて1も2もなく「出ますっ!」と伝えたのだった。
ステージで弾く特別感と、なにより庶民な私がグランドピアノを触れる機会は、発表会をおいて他にないから。

今回は娘1歳2ヶ月をお世話しながらどうやってピアノ発表会の準備をしたかを書いてみようと思う。

私のピアノ歴

ピアノは中学生から習っている。
ただし長くやってはいるけれど毎日の反復練習はサボりがちなので、腕前は自慢できない。
正直、現役中学生高校生のほうが上手だ。
それでもピアノを長く続けているのは、聴くだけより弾いたほうが曲を深く味わい感動できるからだ。

さすがに出産前後は習い事どころでなく、出産2カ月前に休会して産後6ヶ月で復帰した。
なんのかんの隙間時間を見つけて短いながらピアノに触れてきた。(復帰後の練習の様子はこちら。)
レッスンを受けるときは夫や祖母の力を借りており、家族あっての趣味生活にはちがいない。

しかし発表会に出るとならったらギアを1段階上げてラストスパートをかけねば、ステージで「なんでもっと真面目に練習しなかったんだぁ…」と懊悩すること必至だ。

ということで、
いつもより長く練習時間を確保しようという、ささやかなミッションインポッシブルが幕を開けたのだった。

練習を阻むもの、それは娘の「お母さんセンサー」

そう。これはミッションインポッシブル。

なんでかというと、どうやら娘には「お母さんセンサー」が搭載されており、物理的心理的にお母さんが離れると引き留めにかかるから。

例えば明け方5:30。
添い寝から抜け出し電子ピアノのある部屋に移動。ベビーモニターの電源をオンにして娘が寝ていることを確認。

「しめしめ、
この時間なら起きてくるまであと30分はあるはずだから、いつもより長めに練習できるわ」
そう思ってウォーミングアップを時間をかけてこなしていると…

ぐすっぐすっ…えぇっ…

娘がむくりと起き上がった様がベビーモニターに映しだされ、ピアノの蓋も開けたまま寝室にすっ飛んでいくことになる。

はたまた昼間。
ピアノの側に一緒に連れてきてレアな積み木をご提示。娘がそれをむんずと掴みカチカチ打ち付けて遊び始めた隙に「しめしめ」とピアノ練習を始める。
が、ようやく集中してきたところで「ええーん!」とお呼びがかかり練習は早々終了となる。

まぁ、彼女にお母さんセンサーがついているのは、何もおかしいことでない。
だってまだ1歳なんだから。

それはそれとして練習時間を確保したい私。
エージェントが赤外線センサーの抜け穴を探るように、私はお母さんセンサーをいかにかわすかを考えたものだった。

これもこの時期なりの楽しみなのかもしれない。

そのうちいくら練習しようが
「ふーん、あ、私友達と映画観に行くから」
と歯牙にもかけてもらえなくなるのだ。

私のお母さんセンサー対策

さて、ピアノを練習したいお母さんエージェントーもとい私のセンサー対策を書いてみる。

・早朝練習はすぐ添い寝から抜け出さない
どうやら親子はバイオリズムまでシンクロしている。私の眠りが浅くなり目覚めたなら、横で寝ている娘の眠りも同じように浅くなっているようだ。しばらく様子を伺い眠りが深くなったらしいタイミングで布団を抜け出した。

・子どもの今できることを観察する
人見知りや後追いをする時期があり、不安でお母さんを逃すまいとセンサー感度MAXになっていた。
そんなときはお母さんセンサーをかわすのは難しい。できないときはやらない。
「あたしが頑張らなくてもお母さんはどこにもいかないみたい」
それが分かるときがくれば自然とセンサーも緩くなった。

・ゴールデンタイムに練習する
昼間お母さんセンサーをかいくぐり練習するなら、適した時間があった。
食欲、睡眠欲、甘えたい欲が適度に満たされた、ゴールデンタイムとも呼べる時間だ。
ゴールデンタイムは娘が1人遊びできる確率があがる。(例えばお昼寝直後や、日曜日の朝早い時間など。)
一番忘れがちだったのは「甘えたい欲」の存在。
「今日これやりたいんだけどな…」と思うときに限ってお母さんセンサー発動したりするが、よくよく考えるとそこに至るまでに構ってサインに「あとでねー」を連呼しすぎだったことに気づいたりした。
そういうときはしばらく張りついて一緒に本や積み木で遊び甘えたい欲に応えると、後でセンサーが緩むタイミングがやってきた。
急がば回れというやつだ。

・構ってサインがでたらすぐ練習をやめる
「あたしがその気になれば
 おかあさんのれんしゅーなんて
 すぐ止められるんだから」
と娘に思ってもらうため、構ってサインがでたらすぐ練習をやめた。(というかやめざるをえなかった)
いつでも止められると思えば安心して、1人遊びしてくれる時間が長くなる。
ラストスパート成功の影には、構ってサインに応え続け、練習中断した無数のしかばね?があるのだった。

・お父さんをオトリにする
結局のところ一番成功するのは、お父さんの休日にお父さんに娘の相手をしてもらうことだ。
まったくもってフツーの結論!

そして発表会ーまさかの結末

こうして本番1か月前からラストスパートで練習量をあげた私。
時間をかけなくても練習はできると別の記事に書いたけれど、時間をかけないと起こらないブレークスルーだって、やっぱりあるわけで。

今回のラストスパートでは、腕全体の筋肉を使って弾く感覚を掴むことができて、とっても楽しかった。

最後の文章は、スポットライトを浴びる私で締め括られる。

はずだった。


はい、娘が熱を出し発表会はキャンセルになりましたとさ。ちゃんちゃん。
(とほほ…)
こんなところも1歳子育てのリアルなんだろうなぁ。

I'll be back!