「街の上で」感想

ずっと観たかった映画があって、だけどずっと忙しなくて。隙間時間でドラマやらアニメやらは観るものの、長丁場の映画だけはずっと手を出せずにいた。
だって、映画を見る時くらい、部屋を真っ暗にして、何にも邪魔されずに、その世界に没頭したいじゃないか。

最近某ウイルスに感染して、時が来た。

「街の上で」

ずっと観たかった映画。
古着屋の主人公の平凡な下北沢での日常を描いた物語。その感想をここに記しておく。

映画を観た後に、余韻に浸りながら頂く煙草が好きで、その至福のひとときに感想をどこかに記しておくのが趣味なのだが、いつも感じる余韻がここにはなくて、いつもと同じ煙草の味が広がっている。
同じ監督の「愛がなんだ」という作品を観た時は、凄くしょっぱい味がしたのに。

想像以上に平凡で、ずっと同じ温度の映画だった。

登場人物の殆どが、不憫で生きづらそうな人達。作中の会話が拙くて、絶妙な間が気まづくて、歯がゆくて。
そんな中現れる意思の強い社会適合者に何だか嫌悪感を抱いた。いや、少し怖かった。
この映画特有の温度、それを乱されそうになった時、私の心も乱されるような気がした。

リアルに近いけど伏線回収が面白い。
行ったことは無いけど、下北沢という街にどこかノスタルジックな何かを感じた。

普段なら溢れ出す程言いたいことが沢山あるのに、この映画に関しては余りない。
それは、私が似た者だからだろうか。

凄く暖かい映画だった。

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