デジタル庁とコーヒーブレイク【出版社を作ろう8】
法人設立の手続きをワンストップで行える快適UIのサービスをデジタル庁が用意してくれていると聞いて、そりゃもうさぞかし使い勝手がいいのだろうと期待してアクセスした。
なんと、素晴らしくシンプル。
Yahoo! JAPANのトップページみたいに、広告にコンテンツにごっちゃごちゃになっておらず、最小限のテキストと画像イメージのみ。
らくらくホンからでも法人が設立できそうだ。
これはあっという間に作成できるのではないかと期待を膨らませ、僕はさっそく『かんたん問診・申請』をクリックする。
いきなり雲行きが怪しい。僕は長文の質問で「うっ」と身構える。質問の前置きが長いやつは嫌われると、河野太郎は習わなかったのだろうか?
まぁいい。よくよく読めばそこまでむずかしいことは書いてない。要するに、会社を設立後の手続きをすべてインターネット上で完結させられる特殊スキルを予め習得するかどうかを、尋ねられているのだ。
当然、習得するに決まっている。これを習得しておけば税務署や市役所の窓口で、整理券がくしゃくしゃになるで暇を潰すような時間を人生から追い出すことができるのだろう?
僕は「はい」を選択する。
??????????????
2問目にしてすでに見たことのない単語が泉のように湧き出ているが、「ご存知ですよね?」と言わんばかりの勢いである。これだから公務員は嫌いだ。自分の世界に閉じこもってごっこ遊びに興じるだけではなく、強引にごっこ遊びに付き合わせようと、リオレウスをレッドストームと言い換えるようなセンスの悪い固有名詞を押し付けてくる。
僕が「あー、はいはい『証明書発行申請ファイル(SHINSEIファイル)』ね。引っ越しのとき段ボールに詰めてそのまま押し入れにしまってあるわー!」とでも言うと思っているのだろうか。
まぁいい。もう少しの辛抱だろう。とりあえずSHINSEIファイル(なんやねんSHINSEIファイルて…)は作成していない。「いいえ」を選択しよう。
公務員のお家芸、たらい回しである。
それに回し方もひどい。URLを書いて終了である。ハイパーリンク化すらしていない。窓口でピシャリとカーテンを閉められるように、僕はデジタル庁の『法人設立ワンストップサービス』から締め出された。
ちょっと、コーヒーでも飲んで手続きをワンストップすることにした。ツーストップ目はないことを期待したい。
コーヒーブレイクの後、僕はURLをcommand+Cでコピーし、command+Vで検索バーに貼り付ける。
すると現れたのは法務省のホームページである。
よくわからんが、言われるがままにソフトをダウンロードすればいいのだろう。こうなってくると、いちいち考えるのは得策ではない。感情のないロボットのように、言われたことをやるだけでいい。ちんちんを出せと言われれば、ちんちんを出せばいい。
とにかく、ページを読んでいくことにしよう。
平成23年2月からあるらしい。平成23年12月に、Ver1.1にアップデートされてから、令和6年の今も1.14である。13年の間に0.04しか進化していないようだ。レガシーシステムの香りがするが、大丈夫だろうか。次の案件ガチャはPythonで機械学習がいいと願うエンジニアたちが、ため息をつきながらやっつけ仕事をしている光景が目に浮かぶ。
とは言え、心配しても仕方がない。僕はもう言われるがままのロボットである。
こういうのは流石に読まないでいいやつだ。使ったらわかる。近頃(平成23年)のシステムはそういうふうにできているものなのだから。
・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・Macユーザー死亡。
こちとらモンハン4で遊び続けるように2015年製のMacBook Airを延々擦り倒している。もちろん、Boot Campを入れるキャパなんてあるはずもない。
終わった。血栓が詰まるように、すべての手続きがここで停止する。
どうやら僕はWindowsが入ったパソコンを入手しなければ、法人が設立できないらしい。いや、できなくもないだろうけど、それをするには役所の窓口で永遠に感じられる時間を過ごす必要がある。
まぁ、どのみちデザイン作業のためにInDesignやPhotoshopを入れるパソコンが必要だった。Mac搭載のpagesでは流石に商業出版クオリティの本は作れない。こうした作業のためにも、PCは買おう。
というか、もう注文した。到着まで数日。
ここですでツーストップ。僕は2杯目のコーヒーを淹れる。ワンストップサービスとはなんだったのだろうか・・・。
というかね・・・流石に一言言いたい。
会社設立にこれだけ手続きが必要なのは、要するに税金を搾り取るためだ。税金がないなら「今日から会社設立しますー!」の一言で済むわけだ。そして、勝手に商売すればいい。
でも、国家は税金が欲しいわけだ。そのためにあれこれ手続きを強制してきて、その手続きをサボったら脱税だなんだと言ってマッチョな男たちがやってきて監獄にぶち込んでくるわけだ。
ひどくない??
強引に税金を取ろうとするくせに、こっちが全部お膳立てしなければならないのはおかしくないか? 税金が欲しいのはそっちなんだから、そっちで勝手にやってくれればよくないか?
「会社作ったよー」「おっけー、じゃあ期末になったら適当に税金払ってねー」「金額は?」「んー、お気持ちでいいよ!」でよくないか?
税務署とか法務省とかデジタル庁とか、そういうところの役人たちの大半をクビにして、税金をどんぶり勘定にすれば、余裕で財政再建できるだろうに。僕が総理大臣になったら、そうしよう。税金はどんぶり勘定で。
こういう手続きをしていると、国家とは大義名分で言い繕われたカツアゲ装置であることを痛感させられる。申請にかかった手間賃の請求書をカミソリとともにデジタル庁に送りつけて、自分たちがやっていることがカツアゲであることを知らしめてやろうか。
僕達から搾り取られた税金は官僚と政治家の土手っ腹に吸収され、その後、申し訳程度に公共事業に還元される。国家はまるで公共事業を成し遂げているのは自分であるかのように自己をアピールするが、やっているのは民間人である。もちろん、金は暴力を背景に国家が発行し、流通させている。
ヤンキーに脅しつけられて焼きそばパンを買いに行くのと、手書きのパシリ券を手渡されて「あとでパシリ券を返さなかったらシバきな?」と言われて焼きそばパンを買いに行くのには、実質的に違いはない。
・・・とまぁ、こんなことを言ってるから、僕は生きづらいのだろう。とりあえずしばらくは泣きながら焼きそばパンを買いに行ってやろう。
1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!