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柿はなぜB級フルーツに甘んじているのか?

1日で20個も柿の皮を剥いた経験はあるだろうか? 僕はこの前、生まれて初めて経験した。

半分は渋柿で、干し柿を作るため。もう半分は甘柿で、柿ジャムを作るためだ。

干し柿。柿ジャム。言葉の響きからして、どうにもそそられない。柿とはどこまでいってもB級フルーツなのだと思い知らされる。

ドライフルーツといえばキウイやパイナップル、ブドウやバナナが思い浮かぶし、ジャムもイチゴやブルーベリー、モモなどが市場の大半を占めている。

ケーキに乗せられるのはイチゴやメロンやオレンジ。お見舞いに持っていくのもメロンかリンゴかマンゴーか。

生で食べる場合であっても、夏といえばスイカで、冬といえばみかん。春といえばイチゴ。柿の旬である秋もブドウやリンゴなどの影に隠れていて、なかなか表舞台には現れない。

うちの息子も、イチゴやブドウ、メロンは大好きだというのに、柿は食わず嫌いで食べなかった(だからジャムにする羽目になった)。妻も似たようなものだし、かく言う僕もわざわざ柿を好き好んで食べることはない。貰ったら食べる、という程度だ。

ではなぜ、柿はB級フルーツに甘んじているのだろうか?

詳しいことはわからないけれど、糖度も栄養素もおそらく他のフルーツに負けていないだろうし、なんなら買っているはずだ。ブドウやイチゴは酸っぱいけれど、柿が酸っぱいということはない。ただひたすらに甘いのだから子どもにももっと人気があっていいように思われる。

それでも人気がないのは、おそらくマタイ効果の仕業だろう。

例えばイチゴはジャムやケーキだけではなく、グミやかき氷、チョコレートなどの加工品でもイチゴ味をよく見かける。よく見かけるからみんな買う。みんな買うからイチゴ味が増える。イチゴ味のお菓子でイチゴに親しんだ子どもたちが生のイチゴを食べたがる。生のイチゴが売れるから加工品も売れ‥となる。

逆に柿は加工品で見かけることはほとんどない。見かけないから馴染みがなくなる。馴染みがないからメーカーは作らなくなり余計に馴染みがなくなる。そして‥となる。

持つものにはますます与えられ、持たざる者からは奪われる、というわけだ。

おそらく初めのきっかけは欧米化だったんじゃないだろうか? もともと日本人が食っていて、そこら中に生えている柿に対して、キラキラした外来のブドウやイチゴと、その加工品がやってきた。目新しさから人々はそれを贅沢の象徴だと感じ、企業も金になるからそれをあれこれ加工して売り出した。そんなところだろう(知らんけど)。

ならば柿が復権するにはどうすればいいか? トリガーさえあればあとはマタイ効果に任せられるんじゃないだろうか?

高級柿。無農薬、地産地消の柿というブランディング。美味しそうなパッケージの柿の加工品やケーキ。柿のゆるキャラ。こんなもので柿ブームを起こしたあとは、自然と柿の食文化が一般化するのではないだろうか(知らんけど)。

柿ジャムは意外と美味かった。柿ブーム起こしてみようかな。

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