「うちはSDGsに貢献するフリをしています」と堂々と公言できる社会がやってきた

もちろん、知っている。

誰も社会に貢献したり、環境を保護するつもりなどなく、単に「うちはSDGsに取り組んでいます、さぁうちの商品を買ってください」と言うための口実に過ぎないことは、子どもだってわかっている。

しかし、そのためにはあくまで「本気で社会に貢献しようとしている」という建前が必要なはずだ。

それなのに‥

引用しよう。

SDGsに関する取り組みを「行っている」「今後行う予定である」と回答した企業に、その理由を聞きました。結果を見ると、「ブランディングの効果があるから」が62.4%と最も多く、以下、「ステークホルダーからの評価が高まるから」(58.0%)、「人材の採用につながるから」(40.8%)、「新規事業の開拓につながるから」(28.0%)、「新規取引先の開拓につながるから」(23.6%)と続きます。

このアンケート結果がまじめくさった記事で、なんの恥ずかしげもなく発表されているのだ。

「ブランディングの効果があるから」と回答した企業は「ウチはSDGsウォッシュしています」と宣言しているようなものなのだが、なぜ誰もそのことに突っ込まないのだろうか?

そして誰も「持続可能な社会をつくるため」と回答しないのはどういうわけか?

いや、わかっている。もちろん誰もそんなことを本気で思っていないのは知っている。

しかし、「本気で思っていると取り繕わねばならない」とすら、誰も感じていないのはどういうことなのだろうか?

ここに僕は違和感があるのだ。

恐らく、いまの社会に浸透している道徳は次のようなものだ。

「地球環境を憂いているふりをすることが重要であって、実際に憂いている必要はない。さらにそのことを公然と認めることは問題がないどころか、むしろビジネスパーソンとしてあるべき姿」

そんな二重、三重に捻くれた道徳観にまで到達しているように見える。

言い換えれば、「SDGsなどの建前を守りつつ、内心では利己的に利潤を追求していること」こそが、道徳的に正しいかのような風潮だ。

普通なら「地球環境を憂いているフリをすること」が道徳になるべきだ(いや、それもおかしい話なんだけどね)。それが、もう一周捻くれてしまった。

なぜ、こんなことが起きるのか? たぶん社会が中二病になったからじゃないかと思っている。すなわち、ホッブスとかリチャード・ドーキンスとかひろゆきみたいな中二病インフルエンサーたちの道徳観が浸透し過ぎて、中二病であることが正義になってしまったのだ。

「SDGsに取り組んでいる」の内容はほとんどの場合、会社の事業のうちなんとか17項目のどれかにこじつけてから、ピンバッジをつけて、HPに「 SDGsへの取り組み」というページを用意するだけ。実態としては何も変わっていないはずだ。

しかしそのことを突っ込むことは道徳違反になる。暗黙の中二病協定を脅かすからだ。

なんか、捻くれてるんだよなぁ。

みんなウクライナとか政治のことになれば世界を俯瞰してドヤ顔で語り始める癖に、地球環境とか社会構造のことになれば視野が狭まり自分の子ども世代のことすら考えられない。「俺が楽しければいいっしょ」的な発想になる。意味不明。

いや、いいんだよ、それで別にね。でも道徳感が気持ち悪いんだよね。

あー、気持ち悪いぜ。

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