コミュ障ぼく、メルカリができない
「発送がわからないから、メルカリで物を売らない」という人は結構多いんじゃないかと思う。僕もそうだった。
しかし、そういう人に「いやいや簡単ですよ!!」とメルカリはやたらとCMを流す。たまたま荷物を整理したいタイミングだったので「そこまで言うなら‥」と思って思い切っていくつか出品する。
数時間のうちに売れたので、発送することにした。
‥
‥‥
‥‥‥
いや、マジでわからん。
‥楽々なんとか便とか、猫猫にゃんにゃんポストとか、発送の種類が色々ありすぎて、どれを選べばいいのか全くわからん。
悩んでいても埒があかないので、わからないなりに、とりあえず本やらDVDやらをプチプチで包んで、封筒に入れた。
不安は残るが、「あとはまぁコンビニ行ったらわかるやろ!」と勢いで出かけた。
そして、一番近くのファミリーマートではなく、少し離れたファミリーマートに行った。
なぜ、最寄りのファミリーマートではないかって?
最寄りのファミリーマートで万が一あたふたする事態に陥ったら、ご近所さんに見られるかもしれないし、店員にも覚えられるかもしれないからだ。
案の定、僕は少し離れたファミリーマートであたふたした。僕の判断は間違っていなかった。
さて、ファミリーマートの端末の前であたふたしていたら、後ろに並んでプレッシャーをかけてくるお馴染みの「コンビニ端末の刺客」が現れる。
ちっ、もう現れやがった。
仕方なく適当に操作して、とりあえず便の種類を適当に選んだ。すると、レシートが印刷される。
なにやら専用の箱を買わなければならないらしい。
‥
‥‥
え? レシートと荷物をレジに持って行ったら終わりじゃないの?
ここで僕は袋小路に陥る。
このレシートを持って一旦レジに行き、店員の指示を仰ぐべきなのか? それとも商品棚にある専用の箱とレシートと荷物をレジに差し出せばいいのか?
全くわからない。
差し出した途端、「え? コイツなにしに来たん?」みたいな反応をされはしないだろうか? もし、ミスをしてしまったらどうなるだろうか。奴らは所詮バイトなのだ。親切に箱の選び方を教えてくれるはずもなく、つっけんどんに追い返される結末が目に見えている。
とりあえず、どの箱を選ぶべきかを先に知っておこうと考え、箱のある商品棚を探す。
箱自体は難なく見つかったが、僕が選んだ箱を見て再び絶望する。
どう観てもこの箱では、荷物が入りきらない。
では別の箱に切り替えるべきか? いや、どの箱を見ても、僕の荷物が入りそうにない。
‥まずい。
それではレシートを印刷し直すべきか?
いや、それでは滞在時間があまりにも長過ぎて、メルカリ素人であることを周囲に知らしめる結果になりかねない。
‥
‥‥
‥‥‥
戦略的撤退だ。
僕はファミリーマートを後にした。
幸い、ファミリーマート以外の選択肢も色々とある。どうやらヤマトの営業所に持ち込むという選択肢もあるらしい。
ヤマトの営業所なら、コンビニ端末の死角が現れることもない。それに店員さんは配達に関するプロなのだから、あたふたする僕に対しても懇切丁寧に教えてくれるはずだ。
少し距離があったので一旦自宅に帰り、自転車に乗り換えて、ヤマトの営業所を目指した。
到着。いきなり入ってあたふたするのは避けたいので、まずはメルカリアプリ上で、手順をチェックしておく。
ふむふむ。どうやらファミリーマートを選択している状態をキャンセルして、ヤマトを選び直す必要があるらしい。
操作をして、変更ボタンを押す。すると「エラー。レシートが印刷済み」と出る。
‥
‥‥
‥‥‥ま?
ファミリーマートを一度選択してしまえば、2度と変更ができないと言うのだろうか? 僕はあの地獄に舞い戻ることを運命づけられているのか?
ヤマトという蜘蛛の糸が垂らされたと思い、藁にもすがる思いで飛びかかったら、その糸はあっという間に切れてしまい、再び地獄の底へと叩きつけられた‥
いや、そんなはずはない!
そう思い無我夢中でアプリを操作をしていると、なぜかわからないが、いくつかの荷物だけ発送方法を変更できた。
全ての荷物を変更することはできなかった。
だが、ここで僕は戦略を切り替える。まず、ここでいくつかの荷物を発送しておき、ノウハウをヤマトの人から学べば、後はそれを応用してファミリーマートで残りの荷物を送ることもできるはず。
ならば、運良く変更できた荷物だけをヤマトで送ればいい。
そう思って、僕はヤマトの営業所へと歩みを進めた。
そこがまた別の地獄であることも知らずに‥。
ヤマトの営業所は、倉庫の端っこのプレハブ小屋のような装いだ。正直、運転手たちに「なにしに来たんだコイツ?」みたいな白い目で見られながら過ごす恐怖心もないではなかったが、ヤマトの営業所で発送ができるとアプリに案内が出ているのだ。僕は拳を握りしめて堂々と中に入った。
左手に端末があった。メルカリのアプリで指示されていた端末だ。うん、進研ゼミで習ったところだ。
事前にアプリで開いていたバーコードを読み込む。やや手間取ったものの、許容範囲だ。
ピッという読み込み音の後に、「印刷しています‥」という表示が現れる。
いいぞ。レシートさえ出て来れば、この後の手順は店員さんに聞けばいい。ここなら、発送に手間取る客にも慣れっこで、冷めた反応はされないはずだ。
‥
‥‥
‥‥‥
「エラー。店員を呼んでください」
‥僕はそっと営業所を後にした。
恐らくファミリーマートで印刷してしまったことがエラーの原因だ。ならば、この状況で店員を呼び出せば、そもそもなぜファミリーマートで一度レシートを印刷したにもかかわらず、わざわざヤマトの営業所に来たのかを説明しなければならない。
しかも、明らかに複数の荷物を抱えているのに、そのうちの一部しか発送しないことに対しても、より一層の注目を集めてしまう。そんな事態には耐え難い。
そうこうしている間に、日が暮れた。夕日が綺麗だった。
僕は家に帰り、最後の手段に出た。
ファミリーマートやヤマトの営業所への持ち込み以外にも、ヤマトの人に集荷に来てもらうという選択肢が残されていた。
これは少し割高になる。それに箱サイズ問題が解決していない以上、とりあえずすべてを高単価の宅急便に設定せざるを得ない。しかも、集荷には1件あたり100円という費用がかかり、それをまとめてもらう方法もわからない。
結果、利益の大部分を無駄にしてしまいそうだ。しかし、背に腹はかえられぬ。
明日の朝。ヤマトの人に集荷に来てもらうことをアプリで選んだ。
今度から初めから集荷にしよう。というか、メルカリはもう使うのはこれっきりにしよう。
もっと簡単な発送方法が登場するまで、僕はもうメルカリをやらない。
発送の壁は、高く聳え立ってる。
コミュ障諸君よ。メルカリは、やめておけ。
1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!