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本配りのおじさん【出版社を作ろう】
それは、灼熱の太陽が降り注ぐ夏の日のことでした。あたりは影ひとつなく、ゆらゆらと陽炎が揺らめいていました。暑い日差しの中、みずぼらしい一人のおじさんが歩いていました。ぼうしもかぶらず、汚れたスニーカーを履いていましたが、どこへ行くというわけでもありません。行くあてがないのです。額は汗でぐっしょりしています。おじさんのバッグの中にはたくさんの本が入っています。手の中にも一冊持っていました。一日中売り歩いても、買ってくれる人も、一枚の銅貨どうかすらくれる人もいませんでした。おじさんはおなかがへりました。暑さにへこたれながらゆっくり歩いていました。それはみすぼらしいと言うよりも、あわれでした。おじさんの前髪からは、汗の滴がポタポタとこぼれ落ちていました。でも、おじさんはそんなことに気付いていませんでした。
こんな物語はない。あったとしても、人の心を打つことはない。マッチ売りの少女すら、誰にも助けてもらえることなく大晦日の寒空のしたで野垂れ死んだ。三十路を超えた一端の男が、本を売り歩いて汗だくになったところで、誰も同情しないのである。
というわけで、悲壮感を味方にする戦略はやめにしよう。僕はとことん前向きに、本を売るのである。
■本、買いに来てください
最近気づいたことがある。ネットで本を買う人はさほど多くない。その結果、ちょくちょく書店経由のオーダーが僕の方に届いている。ネットの購入画面を見せて、わざわざ書店で注文してくれる人がいるのだ。
僕もその気持ちはよくわかる。作者の名前で買うと決めてる本ですら、ネットで事前予約することは稀で、たいてい本屋に探しに行くのである。やはり自分の足で赴いて、自分の手で本を受け取りたいのである。釣り好きの人が、鮮魚コーナーに並ぶ魚に目もくれず、海に釣りに行くのと同じ心理だろう。
ならば、こんなふうにお願いするのはどうだろうか?
本、買いに来ないかい?
大阪まで。もっというと、まとも書房まで本を買いに来ないかい?
まとも書房までとは文字通りの意味である。もちろん、それはちょっと・・・という方はどこか近所でもいいし、大阪市内でもいい。
とにかく声をかけてくれれば、本を直接渡しに行く。著者が直接渡す。お金は‥せっかく直接渡すなら、もはや言い値でいい。タダでもいいし、定価でもいいし、倍でもいい。
ここ一か月、色んなイベントをやって分かったことがある。人と会うのは楽しい。
いろんな人生があって、いろんな個性があって、そのなかで『14歳からのアンチワーク哲学』に出会ってくれているのだ。おもしろくないわけがない。
てなわけでDMでも、コメントでもなんでもいいので、興味ある人は連絡ください。
1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!