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アンチワーク哲学【ホモ・ネーモ】

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「労働なき世界」を実現するため「アンチワーク哲学」を紹介するマガジン。なぜ、誰1人労働しない世界が可能なのか? を徹底的に考察しています。
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2024年7月の記事一覧

金とはなにであり、なぜ生まれたのか?【アンチワーク哲学】

金とはなにであり、なぜ生まれたのか?【アンチワーク哲学】

日本銀行のバランスシートを見てみれば、「発行銀行券」が負債の部に計上されている。もちろんこれはあなたの財布の中に入っている日本銀行券を意味する。

あなたの財布には、日本銀行の負債が入っているのだ。

もちろん、日本銀行はあなたに利息を払うことはしないし、あなたは日本銀行に対してなんらかの返済を迫ることはない(迫ったところで日本銀行はなにも返してくれない。彼らが持っているのは紙切れとデータくらいで

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労働廃絶論とアンチワーク哲学はなにがちがうのか?【アンチワーク哲学】

労働廃絶論とアンチワーク哲学はなにがちがうのか?【アンチワーク哲学】

この点について気になっている人もいると思うので、お答えしておこう。アンチワーク哲学は労働の撲滅を訴えていて、ボブ・ブラックの『労働廃絶論』は労働の廃絶を訴えている。「なにがちがうの?」と感じる人も多いのではないだろうか。

結論から言えば、結論はほぼ同じである。では、アンチワーク哲学はなんのために存在するのかと言えば、『労働廃絶論』の議論を補強し、発展させ、そして労働の廃絶を実現させていくためであ

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手段を目的化し、労働を撲滅しよう【アンチワーク哲学】

手段を目的化し、労働を撲滅しよう【アンチワーク哲学】

四歳の息子は、僕が洗濯物をたたんでいたら「やりたい」と言って手伝おうとする。正直、さっさと終わらせたいのに余計な手間を増やすなと思ってしまうのだけれど、息子の気持ちをつぶしたくない想いで、やらせてやる。彼は頑固者で、僕がやり方を教えても自分のやり方を曲げようとしない。そのため、彼が失敗に気づくまで辛抱強く見守ることしか、僕にはできない。そして、たいていの場合、気づかないまま飽きる。そしてほったらか

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飲茶『14歳からの哲学入門』からのバトンを繋ぐ、ホモ・ネーモ『14歳からのアンチワーク哲学』【書評】

飲茶『14歳からの哲学入門』からのバトンを繋ぐ、ホモ・ネーモ『14歳からのアンチワーク哲学』【書評】

飲茶『14歳からの哲学入門』は名著である。

デカルト、カント、ヘーゲル、サルトル、レヴィ=ストロース、デリダと順を追って解説するだけの無機質な入門書ではなく、次なる哲学への展望が記されているからである。

では、次なる哲学とはなにか? 飲茶氏は次のように書く。

全くもって同感である。

いまの時代に哲学しなければならない対象は、僕たちの人生を埋め尽くし、社会問題の中核に堂々と鎮座する労働であろ

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