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【シーソーシークワサー 28 塵も吹かれて風に乗る】


↑前回のシーソーシークワサー


【シーソーシークワサー 28 塵も吹かれて風に乗る】

 地下鉄虎ノ門の階段から地上に出たところで、塵を連れてきた突風が顔に当たった。目を閉じたが遅かった。左目に違和感を覚える。自動的に出る涙がまだ止まらない。夕暮れに訳もわからず泣いている男のように映ることだろう。少し歩けばベンチでもあるかと思ったが、歩道の先には次の地下鉄の表示板しか見えてこなかった。
 立ち止まらないことを前提に生きる街だ。
 凡人は目についたタリーズに駆け込んだ。
 

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