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【シーソーシークワサー 36 心の誤植はグレーな翻訳で】


↑前回までの『シーソーシークワーサー 』


【シーソーシークワサー 36 心の誤植はグレーな翻訳で】

 誰かに待ってもらうという幸せを知った。今年も捨てられなかったよれよれのタンクトップが入った洗濯物を任せてしまうほど心地よいものがそこにある。
 絢は冬の朝の家事一つを凡人に預けたまま、出かけてしまった。

 「散らかっているから」というその言葉通りの意味で断るのが得意だった絢は、今まで自宅マンションには誰も入れたことが無かった。

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