ワクワク、ただそれだけ~獅子座のきみの恋するpetit story~
きみの星座別 恋するpetit story
【ワクワク、ただそれだけ】
ドキドキしたくって、ワクワクしたくって、この町に来た。
住みたい土地が見つかった。
どんな人かも分からないからって、僕のことをググっていたみたい。いや、直接聞いてくれたらいいのに。僕がその丘の上に住み始めた時には、もう、僕がまだ知らない人も、僕のことを知っていた。
「役者」ってそんなに、珍しい仕事だろうか。芸能人、有名人? つまりは、彼らには、テレビでよく見かける有名人こそがすべてで、それ以外の「役者」は、肩書不明の信用が得られぬ職業なのである。
大大的な歓迎を受けるでもなく、かといって長く住んでいた人と同じに扱われることもなく、ただ、珍しい宇宙人のように見られていることはなんとなく感じている。僕から見れば区長のほうが世界遺産レベルで、ユニークなんだけど。
それでいて、この町の住人達の距離感は、程良い。大らかで、寛容。そして、よその町からやって来た宇宙人の情報は、どこよりも早い。本人の知らぬ間に、知っている。
僕は昔からの彼らをよく知らないけれど、この太陽の下で光を浴びている草木や土、水を、昔から知っていたみたいだ。
ただ、それだけでいい。
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