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シーソーシークワーサー Ⅱ【88 不在の間 】

【シーソーシークワサーⅠのあらすじ】

 母を亡くし、その孤独感から、全てを捨てて沖縄から出た凡人(ボンド)こと、元のホストの春未(はるみ)。

 一番に連絡をとったのは、東京の出版社に勤める絢だった。

 絢に会うまでの道のり、人々との出会いで得たことは何だったのだろう。島に帰った凡人は、母亡き後の、半年間時が止まっていた空間に佇みながら、生い立ちを振り返っていた。


【シーソーシークワサーⅡ 今までのあらすじ】



 生前の凡人の母、那月(なづき)は凡人を守って生き抜くために、様々な選択をする。

 沖縄から遠く離れた本土の片田舎で育った凡人の母、那月。母の重圧に耐えかね、家を出た。家出少女を何も聞かずに受け入れたMasaとその妻、順子。Masaは那月に3ヶ月で売り上げを3倍にすることを条件に、次の日から衣食住の提供と引き換えに那月を自分の古着屋で働かせる。

 その店に決まって現れる女とMasaの関係に気づいた那月。それ以外は満たされた労働環境のはずだった。店を出る決意をした那月だったが、また別の店に拾われる。そこは寂れた商店街の一角にある靴屋「ANYO」だった。
 


Ⅱ【88 不在の間 】

 昼過ぎに店を閉めて、那月はずっと考えていた。半休でも1日分の日給をいただけるというのは、確かにラッキーなことだけれど、不意に染み込んできたネガティブは那月を覆っていた。
 2階に一つだけある窓から、商店街を眺める。人通りは疎らで、店が閉まっていることがあたかも自然なように通り抜ける自転車が数台。若者は昼間も夜もこの商店街を滅多に歩かない。空いている店の方が少ないのだ。
 オーナーの犬伏は検査入院。しかも初めて出会った犬伏の家族に、「店は随分前から閉めたいと思っていた」と聞かされた。那月は見えないその先のことを考えはじめていた。

 もっと頼ってくれたらいい。

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531字

ど田舎そだちど田舎、 ゆる!がんそロハス! わかやまきみの町からの、 定期エッセイです。 ベリーブ爺…

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