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父の面影が残る部屋 母と娘の片付けチャレンジ

部屋の状態は、その人の心の状態を表すと言います。
これ、まさにその通りだな、と思うんですね。

大好きなNetflixの番組「クィア アイ」でも、こんなシーンがあったのを覚えています。

世間や人から少し距離を置き、いつしか自分にも構わなくなってしまった人の部屋に、彼がいつもTVを見ながら過ごす一人がけのソファーがありました。生地ははがれ、クッションもグニャグニャで、明らかに座り心地は良さそうにありません。それでも、彼はその場所が家の中で一番快適だ、と言います。

それを見たファブ5のインテリア担当のボブ(だったかな?)は、「あのソファーはまさに今の君の象徴だ。あれは真っ先に捨てて、これからの君にふさわしいソファーを見つけよう。」と。

その後、ゴミ集積所に行き、二人でそのソファーをせいのでぶん投げてしまうシーンは、見ていてこちらも清々しい気持ちになりました。彼がいよいよ前に進む準備が整ったのかな、と。


そんなことを書きながら。
私も今生活している自分の部屋があまり好きではありません。

数年前に、父が亡くなったタイミングで、私は、ひとりぼっちになった母のいる実家に戻ってきました。ちょうどそれまで住んでいた部屋の更新のタイミングと重なったことと、何より母が心細く不安になったのか、「夜になると部屋に誰かが入ってきそう」と言い出すようになったからです。

数年ぶりに戻ってみると、元私が使っていた部屋は、母の趣味の荷物で溢れていたため、やむなく、元父が使っていた部屋に入ることにしました。そして、もっと前は、その部屋は妹の部屋でした。

なので、今だにこの部屋には、妹の名残、父の名残がそこかしこに残っており、なんと言うか、自分の部屋という感覚が今だに持てないのです。
仮住まいをしているような、そんな感覚です。


本当は、別の部屋に妹や父が残した荷物や家具を移したかったのですが、
その別の部屋にも、母や父の荷物が残っていて…諦めてしまいました。


でも、今、外出が思うようにできず、家で過ごすことが増えてくると、やはり、この環境が自分に、あまり良くない影響を与えている気がしているのです。


そこで、母に一気に家全体を片付けをしよう、と提案をしました。実は数年前から、度々提案はしているのですが、その都度、
「今は足が痛いから、もう少し体が良くなってから」とか、
「自分が使い勝手が良いから、このままでいい」などと言い、なかなか首を縦に振ってくれません。

「大丈夫、私が片付けるから。どうしても残したいものだけ伝えてくれたら良いよ。」と言っても、
「勝手に捨ててくれるな」と、それにも賛成してもらえず、今日まできました。


そこで今日は、どれだけ今自分のストレスになっているか、しっかり分かってもらおうと伝えると。
「うん、分かった。だけど、まだお父さんのものを片付ける心の整理がついてないから。もう少し待って。」そんな風な言葉が返ってきました。


そこで、私はやっと、ここ数年のモヤモヤに心から腹落ちしたのです。


母はきっと、片付けるのが面倒でしなかったのではなく、片付けるのが下手なわけでもなく、父との思い出を処分することへの踏ん切りがつけられなかったのだと思います。

だから、どこの部屋も、ちぐはぐで雑然とした状態になってしまっているのだと、ようやく気づきました。


私も野暮でした…
表層的なものだけに目を向けてしまっていて、ちゃんと母の心情まで気を配ってあげられてませんでした。

そこで、「全部処分しなくてもいいから、パパのものも残すものを選り分けて、それはちゃんと場所を決めて保管しておこう」と提案すると、ようやく頷いてくれました。


片付けは来月から一部屋ずつ行なっていくことにして、それまでに、残しておきたいパパの遺品を選んでおいてね、と伝えました。

これから約2ヶ月間。
しっかりと母の心にも丁寧に寄り添いながら、母娘二人で、これからの私たちのためにも、お部屋を整えていけたらなと思っています。

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