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夜はだめです。

「ええ、主に仕事なんですけど、だめですねぇ。
プライベートならいいんですよ。
一人でドライブ行ったり、部屋で一人で本読んでたりとか全然苦痛じゃないし、飲み会に行って、一人で歩いて帰ったり。
そうそう、夏なんかは意味もなく深夜の散歩にもよく行きます。
でも仕事で深夜ってのはなぜかだめなんだなぁ。」

***

「なんかね、こう・・世界の隅っこ取り残されたような、さみし〜い気持ちになるんですよ。同僚なんかも同じフロアにいるのにね(笑。
でもすごく孤独感を感じる。もう胸の奥をごっそりえぐられたような寂しい気持ちになる。」

***

「思い返したら若い頃、恋人と夜会うのもだめでした。
 二人で手をつないで夜景を見てるでしょ?すごく寂しくなるんですね。
 ”ああ〜俺は一人だ〜”なんて(笑。」

***

「結局ね、すごくわがままなんだと思う。一を言ったら全部自分のことを分かって欲しい。けどそんなの無理なんですけど、ああ〜って寂しくなっちゃう。
夜がだめになったのはそのせいかもしれない。
隣にいるのに通じ合ってないんだって寂しさが夜になると鮮明になるんですよ。体は温かいのにね、心はシンと冷たくなる」

***

「とりとめのない話になっちゃったけど、まぁどういうわけか知らないけど、とにかく夜はだめなんです。
はい、ごめんなさい。それじゃ」

(終)

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