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読んだ:「関数電卓がすごい」

読みました。

著者は芝村裕吏、代表作である「高機動幻想ガンパレードマーチ」で魂のかたちをべこべこにされた方も少なくないのでは。近年の代表作は「刀剣乱舞」のシナリオライターということになるんでしょうか。小説も何十冊も出しており、私もnoteで何度か著作に言及しています。

で、このかた、アメリカの数学科にいらしたそうでばりばりの理系、著書でも理系ツール「関数電卓」を操る主人公が出現することがあります。
私の大好きな芝村作品「富士学校まめたん研究分室」の主人公も関数電卓と紙のノートで戦車を量産したり戦車と戦ったりしてて、「関数電卓、使いこなしてみたい……かっこいい……」という憧れはずっとありました。

でもなんかわかりやすいような本を探してみてもちっともみつからなくて、数学が得意な理系向けの本ばっかりで、とっかかりのとっかかりがわからない……という新NISA入門書の平置きエリアで呆然とするのに似た状態でした。

が、満を持してその芝村本人が「文系むけ」の関数電卓本を出してくれました。もうこれはと思って予約して買いました。

で、やっぱりおもしろかったですねーーーー。私は買った本はその日のうちに1章くらいは読んでおくというのを最近義務づけているんですが(当日中に1割でも読まないと数ヶ月開けなくなる)、本書もそのつもりで開いて当日中に読み終えました。
説明上手な小説家が書いた本なんておもしろくないわけがない。

計算機を使う理由というのが0章にあって、わたしなりに要約すると「計算なんて計算機にやらせて人間はもっと考えるべきことを考えろ」という、chatGPTとのむきあいかたみたいな話。数日前にtwitterで見たこれ思い出しました。

やらなくていいことはやらない、かわりに考えなきゃいけないことを考える、ということ。

本書に挙げられれた計算の例などいくつか試してみたんですけどもおもしろかったし参考になるしどんどん使いたいかんじです。

近年、「ジャーナリング」というのが文具系自己啓発系界隈でもてはやされています。自分の感情をとにかく書き出してそこから考えよう、みたいな。
それ私も例にもれずやったり挫折したりまたやったりしてるんですが、ただ書き出すだけでけっこう見えてくる、というのはわりと初期の段階で天井みえちゃう気がするんですよね。
ジャーナリングで得られる効果が確かにゼロでなく1だけど、そして1になることはすごいことだけど、自分で書き出しつづけるだけでは2や3に行くのは実は難しいのでは、という。ぐるぐるしつづけるだけなのではないかという。だって判断したり分析したりするのは結局自分の常識と言う名の偏見コレクションなので。

だから私はそこに「別の概念」を持ち込むためにタロットカードやオラクルカード、キャラホメなどを使っていたんですけど、ここに「関数電卓」というアイテムが加わりました。
占いカードやキャラホメが、何かを考える際に「届かない場所に飛ぶための足場」のようなツールだとしたら、関数電卓は「見えるルートを全部ひととおり辿ってみる」ようなツールです。しかも一歩も動かずに。IFが見えるというか。

実践した記事なども別でちゃんと書き起こしたいのでまたいずれ。



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