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読んだ:「低コスト生活」

読みました。これは紙で買うべきと思って紙で買って、正解。今後も読み返していきたいです。

ミニマリストになりたいわけではないけども生活の無駄というか過剰な要素は多いなあとは思ってて、ヒントがほしくて生活系の本をよく買います。

元祖ミニマリストであるドミニック・ローホーの本は買ったり借りたりでたぶん5、6冊くらい読んでて、noteでも過去に感想文かいてます。

が、この記事でもいってるんですけど、ローホーさんは「ほんとか????」といったエアプ感が全体にうっすら漂ってるんですよね……
このマッサージだけでほうれい線ゼロといってる美容家があきらかに糸リフトしてるとか、たくさん食べてるのに太りませんと言ってる人が幼児用弁当箱みたいな食事してるとか、そういう。

ローホーさんの本は美しいハイヒールのようで、たしかに絵も文章も描いているライフスタイルは美しく高潔、でも、それはご本人のでっけえ印税によって成立してるのではと思えなくもない。
けど美しいは美しいので理想像として見上げて、適度に自分用にアレンジする……みたいな用途で使えなくもないです。バナナリパブリックのコーデをGUで寄せて再現するみたいなやつ。

が、本書はいきなりGUスタイルをしめしてくれます。
タイトルのとおり「低コスト生活」であって、ミニマリストではないんですよね。ミニマリストはそれはそれである種の執着と思考放棄が伺える人がどうしても少なくなくて(あるいはローホーさんのように何かを隠している)。

たとえばミニマリストってめちゃいい皿とか使ってたりもするんですけど、本書では「使わない北欧のきれいな皿と毎日使うパン祭りの皿、どっちを残すか」みたいな問いかけで「パン祭りの皿を残すほうが低コスト生活になる」って言うんですよ。
北欧の皿を残してるとそれに合わせた食器でないと我慢できなくなったりいいコーヒードリッパーとかがどうしても欲しくなってくるから。毎日パン祭りの皿を使ってるならそれが「ちょうどいい」ってこと……みたいな。

あーーわたしこういうとこで細かい出費積み上げてんだなーーとはっとしましたね。身に覚えがありすぎる。
本書はローホーさんと同じく「自分にとっては」何が快適か、を繰り返し自問する、把握する、割り切る、諦める、手にいれる、そういう方法を繰り返し説いています。
具体的なハウツーではなく、選択するための考え方、その選択に後ろめたくならないための考え方、みたいな。
その考え方の例として著者が実際にやったことも示されてて、それがハウツーに見えたりもするしすぐに実践できたりもするけれど、やっぱり「自分が一番いいと思うものを考えろ」なんですよね。パン祭りの皿とか。

低コスト生活で健やかにすごすには自己肯定が絶対に必要なので、それらの方法が軸になっています。先に挙げた、自分にとっては何が快適なのかを把握する方法、そのために自己肯定感、自己有用感を上げる自分の褒め方。「自分への信頼感を強める」ていう文章もありました。

「自産自消」って言葉も挙げられてます。地産地消ならぬ。
自分で掃除した空間の心地よさ、自分で作った料理のよさ、自分で書いた文章のよさ。
そう、よそから買ってくるのは簡単だし激変してくれる気がするけれど結局自作に満足できたときほどの快楽って、たぶんあんまりない。

お金の流れをおさえるってのもつまりは自分が流されないようにするためのことなんだろうな、と思ったり。お金を浪費してるといつまでも他人基準から逃れられない。

著者の「かぜのたみ」さんはnoteやyoutube、voicyをやってて、本当、本っ当に以前から「わかるわかるわかる」という発信をされてた方なんですが、わたしのあれの問題で「声のプロでない人の声を聞き続けてるのがどうしてもしんどい」というやつで全然摂取できてなくて……
今回、本の形でぎゅっと考えをまとめてくれて、読みやすくて参考にもなって本当に助かりました。
音声コンテンツ、書き起こしてどこかに置いてほしい……(youtubeの文字起こしではやっぱり少し難しかった)

低コスト生活は節約とかミニマリストとかそういうことでなく、自分を他者評価の濁流に翻弄されないための考え方の本、でした。本書にも「一人でどこでもいけるカヤックのようなもの」という表現があります。
とりあえずおすすめされてた方法あれこれものになったら株でも買うか……

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