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猫を飼うなら保護猫がいい理由

うちには猫が二匹います、ミックス猫の姉妹のかりんとゆず。

個人で保護猫預かってる方からゆずっていただきました。

猫飼うのはこのこたちが初めてなんですが、飼育書やらなんやら読み漁ってると「猫、ボランティアの保護の人からもらってくるのが一番なんでは」と思ったので、わたしなりの知見をまとめます。

私個人の意見ですが、猫は保護猫をもらってきたほうがいいです。

理由として生態販売に反対とか命を助けるとかそういう倫理観ではなく、「そのほうが飼いやすいから」という、ごくごく私的なエゴからです。

猫には「社会化期」がある

猫は生まれてから4週目あたりまではミルク、そこから離乳食、半年くらいかけて大人の食事に慣らし、一年くらいで成猫になります。
ミルクの間は三時間に一度のミルクが必要なため、勤め人が一人で育てるのは難しいと思われます。

で、この生後二週間から九週間目あたりまで(このへんの期間は文献によって多少ずれる)が「社会化期」と呼ばれてます。この期間にどういう過ごし方をしたかで対人、対猫スタンスがほぼほぼ確定するそうです。

わたしなりのざっくりした理解では幼稚園と小学校みたいなもんかなーと思ってます。

で、この社会化期を「野良で母猫と過ごす」「保護ボランティアのもとで過ごす」「ペットショップで過ごす」だと、成長後の生活スタンスがどうもだいぶ違うっぽいんですね。

野良で母猫と過ごした場合は、猫としてすこやかに育ちます。体が弱い個体だと母猫に損切り的に置き去りにされたりもするようですが、野良として生まれ育つと、人間にいじめられたりしないかぎりは、保護されたあともまあまあ生活に順応できるっぽいです。野生ベースなので警戒心は高めっぽいですが、それでも家の中を「自分の縄張り」と認識できればのびのびすごしてくれるようです。

保護ボランティアのもとで過ごした場合は、猫好きで猫の生態理解してて先住猫もいるようなところで過ごすことが多いため、人間にも猫にも慣れており、怖いものもない、という図太い性格になるみたいです。トイレトレーニングも終わってること多い。うちのも保護ボランティア経由なのでなるほどだし、知人の保護猫施設を兼ねた猫カフェ経由の猫もやっぱりものおじしない性格みたいです。

で、ペットショップの場合。かわいい盛りの子猫期でもある社会化期をペットショップのショーウィンドウの中で過ごし、本来の活動期間である夜間もケージの中で過ごすわけです。社会化期はトイレやつめとぎ、痛くない噛み方、縄張りのつくりかたなどを覚える時期です。この期間を過ぎたあとにこれらを習得するのはだいぶ困難みたいです……

だから保護猫がいい

そんなかんじなので、「飼いやすい猫」を求めるなら保護猫経由がおすすめなんじゃないかなあと思ってます。

ブリーダー経由も悪くないみたいですが、ブリーダーの良し悪しのひらきが大きいうえにそちらの知見はわたしには無いのでおすすめしづらい。

ヤフー知恵袋など見ていても、問題行動を起こすタイプの猫って、相談内容にしっかりと血統が記載されてることが多くて、ペットショップ経由の猫なのでは、と感じます。

成長した野良であっても、保護猫ボランティアさんのところでしっかり人馴れ、家慣れをしたあとで譲渡会に出すので仲良くなりやすくなってます。預かり猫制度みたいな名前みたいです。

サンシャイン池崎さんの預かり猫シリーズ、楽しいです。人間を見るとシャアッてなって伸ばされた手をひっかいてた猫たちが、数ヶ月かけて人と猫に少しずつ慣れていくやつ。

どうしてもこの種類の猫がいい、というのでなければ、保護猫にしたほうが長く付き合いやすいんじゃないかなーと私は思ってます。

とはいえ保護団体については私はちょっと懐疑的で、「個人」の保護ボランティアが良いなと思ってます。団体は施設で猫を預かるのですが(なので夜間はケージなどにもなる)(ペットショップよりは良いとは思うんですけども)、個人は個人宅で預かるので……

良い団体もあるみたいだけど、悪い団体の話のほうがどうしても多いから、個人のほうが安全そうな気がしてしまう。

わたしはこちらの、個人のボランティアさんがたくさん猫を連れてくる譲渡会に行きました。中に入った感想は「個人主催の時代の同人誌即売会じゃん」でした。いやほんとにそういうかんじだった。まあ会議室に机ならんであれこれ並べてあるとそうとしか思えないんでしょうけどわたしが。

単身で賃貸だと全然審査通らないと聞いてだめもとで行ったんですが通していただきました、たぶん在宅勤務だったからじゃないかなー。

うちの猫たちとの出会い

わたしは譲渡会では抽選漏れだったのですが、その猫を出していた方といろいろお話しをしてたところ「あなたは大丈夫そうだから」と、ミルクボランティアの方を直接紹介していただきました。

子猫は2、3時間おきにミルクをあげる必要があります。個人だととてもしんどいやつです。で、このミルクボランティアというのは、ミルクをあげる必要のある三ヶ月以下の子猫専門で預かってるんですね。

わたしが紹介していただいた方は元ペットショップ経営の方で、わたしがうかがった際は三ヶ月以下の子猫が三十匹ほどいました。

わかります?三ヶ月以下の子猫が、三十匹…… 昼は五匹ずつくらいでケージに入れてるとのことでその状態での対面だったんですが、夜は自宅に連れ帰って全部放牧してるそうです……ねこじゃらしで集団運動会してるそうです……

で、その、いろんな飼育書で「子猫は知らない人は怖がるから気をつけて」って書かれてたんですけどもね、その三十匹が全員、人間大好きなんですよ。

わたしが一歩ねこ部屋に足を踏み入れたとたん、全員にゅあーにゃわーって言いながらケージの隙間から手をだしてアピールしたりこちらをガン見してころんところがったりするんですよ。

やばくないですか? やばかった。

で、その中から「どれでもいいよ」と言っていただいたんですがぜんぶかわいくて選べなくてそれでも選びました、一番好みの体毛の子と、その子が執拗に追いかけ回してたぶち猫。

決めたらボランティアさんがうちまで連れてきてくれて、一番近くのペットショップでおすすめのペット用品全部みつくろってくれて、必要な手続きやワクチンについての説明もしてくれました。

「うちのは物陰に隠れたりしないから大丈夫」との言葉通り、飼育書では「子猫は隙間に入り込むから目張りして」「最初の二週間はケージの中から出てこなくてもおちこまないで」「ゆっくり慣らして」と書かれてあったのに、初日から部屋中を探索して人間のベッドで眠り翌朝も顔を舐めて起こしてくれました。

おうちのなかで他の猫たちとのびのび育ってきたからだなこれ……という確信。ずっとペットショップの狭いショーケースの中で育ってたら、そりゃあリビングとか怖いよな、とも思いました。

あとトイレと爪研ぎもトレーニング済みで、トイレ以外の場所でトイレしないしつめとぎも段ボール爪研ぎ以外のところでしない! 優秀〜。

うちにきて一年と少しですが、友人が家に来た際は手の上で寝るし賃貸の業者さんがきても近くにいって作業見守るといった伸び伸びした生活をしてくれてます。よくなついてくれるし。

やっぱり保護猫がいい

ここだけの話、長いこと猫飼いたいと思いながらもふみきれなかったのは「生活に潤いがほしいから猫を迎えたいのに、懐いてくれない猫を迎えてしまったらプラスではなくマイナスになるんじゃないか」という懸念があったからです。

あんまりよくない考えであることはわかってはいるんですけど。ネットで「押し入れからなかなか出てきてくれないしなつかないけどかわいい〜〜」みたいな話を読むたび、彼ら彼女らが嘘をついてるとは思わない、事実なんだろう、とは思うけど、でもやっぱり、飼うなら視界にいてほしいし仲良くできる猫がいい。そういう「押し入れ猫」をひいてしまったらしんどい、という気持ちがありました。

そんな人には保護猫なら大丈夫だと伝えたいし、飼ってからあれこれ情報調べた感じ、そういう猫と仲良くやってく方法もちゃんとあるみたいです。(とはいえ根気が必要ではあるので、初心者には荷が重いのも確か)

どうしてもマンチカンがいい、スコがいい、みたいなこだわりがないのであれば、いろんな意味で保護猫のほうがいいんじゃないかな〜とわたしは思ってます。

おすすめの猫本とか

うちに猫が来てからは猫ヘルパーシリーズをよく見てます。あくまで擬人化せず「猫という動物を理解して接することで問題行動をなくす」というやつ。おすすめ。

うちのは問題らしい問題は全然しないけども、見てると「なにが猫にとっていやな環境なのか」がわかってくるので、接し方や環境の整え方の勉強になります。

で、その猫ヘルパーシリーズの人が書いた本がこれ。

わたしはこれを経典として猫と過ごしています。

日本人著者の猫の飼育書は、猫を擬人化して捉えた本が多い傾向にある気がします。心理学でいう「投影」が強くでているような。あとこういう動きや反応はどういう意味なのか、といった対処療法。

海外の飼育書は「適切な飼育環境の構築」「猫の習性を起点に考える」みたいな、動物園の飼育的アプローチが多くて私好みだし、こっちのほうが猫にとってもいいんじゃないかな、という気がしてます。

言ったそばからこちらは日本人著者ですが、海外の有名なクリッカートレーニング本を日本人むけに著者の経験を交えて噛み砕いてくれたもの。クリッカートレーニングっていうのは猫に芸を教えるやつです。イルカのトレーニングからの応用。

猫に芸を教えるというと嫌がる人も少なくないみたいなんですが(そしてそういうタイプの人ほど猫を擬人化しているような気もする)、芸を覚えるのは猫の心理にもいいらしいです。「仕事」してる感、「達成した」感、「人間の要望に対応している」感などが自信になるそうです。

猫は狩りがベースの生き物で、指示とそれを覚えておやつをもらう、も、その代替になるんだとか。にゃーにゃー鳴いて餌くれーーってするのも、「狩り」になってるとも言います。

うちの猫たちはお手といえばお手にみえなくもないやつと、座った人間が足をあげるとそこをジャンプするやつ、2回叩いた場所にダッシュしてくるやつを覚えてます。

この本のベースになったのがこちら。

あとこれも好きです。

建築家の人の猫向けな家の建て方。壁紙の選びかたとか動線とか。でもそれだけではなく、食べたり暮らしたりの猫の生態も解説してくれてるので賃貸でも勉強になります。

まとめ

猫はかわいいです。でもわたしは猫たちを生涯軟禁して過ごすんだよな、とも思ってます。猫は犬と違って、広い世界は必要とはしていない、縄張りがあれば十分、とはいえ。

せめてわたしのできる範囲でストレスのない快適な生活を送ってほしいな……と思いつつ、今日も人間のだっこを全力で嫌がる猫たちを確保しています。

あと飼うのを検討してる人はやっぱり保護猫おすすめ。かわいいから。


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