【連載6 なぜ離島の限界集落にある老人ホームで人財を確保できているのか?】まずは走ってみる①(職場づくりをはじめる)
こんにちはカドジュンです。前回、マーケティング手法をつかって人財を確保するため『環境づくり』と『銘柄づくり』に力を入れることを決めました。今回はいよいよ取り組みのスタートです。しかし、ここでまたブレイクしますね。私たちのやり方は、あくまでも私たちのやり方です。もしも、弊社が都会にある法人なら事業目標も計画も戦略も変わってくるはずです。なので、事業計画はその法人に合わせたものをつくらなければ意味はありません。基本はあるのですが、カスタマイズは必須なのです。それではスタートします。
まずは『環境づくり』というポリシーを細分化して整理しました。事業所においてはハードや制度の職場環境と職員待遇など、町においては介護事業所ですから高齢者を中心とした住民の生活への不安解消、事業所と町に共通するのが育児支援… 地味なコンテンツですが、やりようによっては派手にPRできるはずだと考えました。後づけになるのですが当時考えたコンセプトが『五島でいちばん働きやすい職場づくり』でしたが、その話はまた別の機会にします。
そもそもハードや制度、待遇の改善はいまいる職員を大事にするということになります。最初に恩恵を受けることになりますから当然の話です。さらに連載の冒頭でも書いたように、玉之浦は同じ島のなかでもハンディを抱えて経営しています。離職率を下げて、いろんなところから職場や地域に入ってもらうためにES(職員満足度)を高めることを決めたのは自然な流れでした。弊社は20年後の地域の姿を考えれば、同じ場所で建て替える必要性は無くなっているはずなので、その分をプールする必要はない。そして、法人の将来の在り方もイメージしていました。『(弊社においては)ハードと制度にたよらない社会福祉』という裏目標のひとつに向けて、ヒトに投資することを決めていたのです。そして、気になる財源は長期計画から逆算した予算計画によって捻出しました。
それでは、具体的に変えた部分です。
①基本的処遇(市内でも高めの賃金設定)の見直し
②玉之浦町内に転入したら住居手当は増額。まちづくりのために人をふやす(じつは通勤手当が減るので実質負担はふえません)
③扶養手当は配偶者ではなく、子どもに手厚くする(今後、生産年齢人口が減少するから、できるだけ共働きしてもらいたい)。さらにシングルペアレンツには手厚くしています。これは地域の将来のため、子どもに投資するというメッセージを込めています。
④全職員対象の退職金制度づくり。一般的な退職共済制度と中小企業退職金制度を併用しています。(1人の職員に共用はできません)
⑤定年を実質70歳にする。人生100歳時代に入ってくるので、選択肢として準備するのは必要
⑥積極的な育児支援(事業所内保育園、育児休業など)。共働きを推奨するなら育児支援はマストです。ここでも戦略に矛盾がないようにしています。育児支援については次回詳細を書きますね。
⑦多様な働き方の導入。短時間正規職員制度や非常勤職員も柔軟に時間設定ができるように配慮
⑧住居の確保。じつは2008年に職員住宅は新築で整備していました。さらに地域においてもアンテナを張り、賃貸で借りられるように関係づくりしています。
この画像は、10年以上前に新築した職員住宅とその空き部屋に開設した事業所内保育園の看板です。
さいごに、お気づきかもしれませんがすべて長期計画に紐づいています。まちづくり、環境づくり、人づくり(これらを活かすための銘柄づくりは別の機会に)、引いては職務表づくりまでつながるのです。次回は『環境づくり』のもうひとつの柱である育児支援についてです。
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