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【連載14 なぜ離島の限界集落にある老人ホームが人財を確保できるのか?】走り続ける(これからのこと)

こんにちはカドジュンです。今回と次回のインデックスで連載は終わりとなります。

最終回はこれからの介護業界において人財確保の戦略を考えます。これは弊社のような小規模法人の視点であり、法人によってはケースバイケースとなりますことをご了承ください。まずは前提として、2040年に向けて高齢化と人口減少は止められず、社会構造がさらに激変することは間違いありません。年金問題といった限定的な話ではなく、生産年齢人口の減少、海外からの移住増加、東京への一極集中と反動など、価値観を大きく揺るがす変化が目の前に迫っているのです。しかし、いまからあわてて子どもをふやそうといっても急には無理です。長期的かつ大局的な国策に今から舵を切ったとしても、おそらく最短で30年後にしか改善はしないでしょう。現実的には、人口減少社会に合わせた社会や経済のシステムをつくることにシフトチェンジしなければならないのです。余計なことですが、いまだに高度成長期やバブル期の成功体験をもった方々が日本を動かしています。このことが本当の危機なのかもしれません。

そんな世界に例のない少子高齢化のなか、介護ニーズはふえ続けても受け皿は減っていくことが予想されます。それが地域包括や地域共生といった介護・医療(専門)だけでなく、地域(民間)で支えようという国の動きなのです。さらに介護報酬が改定されるたびに、小規模事業所には不利で、大規模法人(もしくはホールディングスのような集合体)でしか生き残れない傾向が強まっています。つまり人や資本を集めにくい地方の事業所がバタバタと倒れて受け皿が無くなり、連鎖的に人口が流出し、地域が加速度的に衰退するのです。消滅や合併する自治体が出てくることも、また避けられない未来かと思います。

そして、現場においても労働集約的(人にしかできない仕事が多すぎる)な介護事業でロボットやICTがカバーできる範囲も限定的です。技術は劇的に革新するもしれませんが、人にとって代わることはまだまだできません。2025年問題に追いつけないでしょう。ハードの導入はマストですが、人財というソフトの導入もまたマストなのです。

さらに、今回のコロナ禍や風水害や地震といった自然災害の影響、政策の動向も考慮しなければいけません。そういった不確定要素までも想定しながらBCP(ビジネスコンティニュープラン)を準備しなければならないのです。まあ、報酬に見合ってない、割に合わない過重負担が慢性化している状況なんですよね。

そんななか、弊社は連載4でもお話しした事業計画のなかに『ハードにたよらない経営』という方針があります。言うなれば、収益が大きいハード事業から利益は小さくてもリスクは減る事業の導入を考えて動いています。そんな話もいずれしますね。

ちなみにインターバル(連載10,11)でお話しした経営状況の悪化について、先日の決算で改善が確認されており今年度はさらに黒字化が見込めるという専門家の意見を頂きました。これもトライ&エラーです。来年度はまた思い切った戦略を取り入れることができるかもしれません。

そして嬉しいニュースとして、玉之浦町の人口は老若男女の移住者がここ数年増加し、減少率がここ10年で最低水準となりました!この調子を維持すれば2030年の数値目標人口1000人を達成できるかもしれないのです。そんな単純な話でないことはわかっていますが、モチベーションは上がりますね。いままでの取り組みがムダではなかったのですから。

さいごに、これから人財を獲得するために重要な要素は3つです。

① 事業計画をはじめとした目標設定と戦略(ほしい人財像の設定)

② 柔軟な発想と実践(マーケティングによる競合を意識した取り組み)

③ 状況に合わせ柔軟に変化する対応力(小さく始めてリスクを減らし、効果がなければすぐに軌道修正、場合によっては考え方も180度変える)

しかし弊社も現状は移住者ブームも落ち着き、求人はキビシクなってきました。人財獲得において次のフェイズに動き始めています。事業をやめないかぎり、ここで終わりというものはありませんので、またトライ&エラーを積み重ねてご報告する機会があればいいなと思います。

みなさまの事業が健全に運営され、お客様の生活をさいごまで支えられることを祈っております。お付き合いいただきありがとうございます。でも、来週からはブランディングに関しての連載も準備しているので、そちらもお楽しみに! 次回はインデックスです。

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