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富士フイルム X-H2 レビュー(前編):良い印象しかありません! ただ、レビュー機材はAFまわりに不具合も……

検証・テキスト・作例写真:豊田慶記
大手メーカーでカメラ開発に携わった経験をもつ写真家。現在はWebやカメラ誌などで活動中。車とカメラ好き。Twitter

この連載で7月に紹介した富士フイルムX-H2Sの兄弟機となるX-H2が本日(9月29日)発売。発売前に実機を試用したインプレッションをお送りします。なお、ボディは製品版ですが、カメラのファームウェアがまだ製品版未満の状態だったため、市販品と比べて使用感が異なる場合があります。後編では最新ファームウェアを適用した状態でレビューする予定です! 後編は10月中旬公開予定。

X-H2はどんなカメラなのか? スペックを詳しくチェック

X-H2の外観(画像提供:富士フイルム)

富士フイルム X-H2
ボディ:26万2000円前後
レンズキット:32万7000円前後
https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/x-h2/

まずは、先に登場したX-H2Sについておさらい

7月に登場したX-H2Sについて簡単におさらいすると、画素数は従来機(X-T4やX-Pro3)と同等の2600万画素ではあるものの、積層構造のCMOSセンサー「X-Trans CMOS 5 HS」と新世代の画像処理エンジン「X-Processor 5」採用したことが最大の特徴でした。積層センサーと新世代の画像処理エンジンの恩恵がスポーツやネイチャーシーンで強力に撮影をサポートしてくれる高速性です。X-H2Sには以下のような特徴があります

  • ブラックアウトフリー(連写中にライブビュー表示がブラックアウトしない)で40コマ/秒の超高速連写ができる

  • 記録メディアにCFexpressを選択すると、30コマ/秒のJPEG記録で1000コマ超の連続撮影ができる

またディープラーニング技術を用いた被写体認識AFを搭載していて、動物・鳥・車・バイク&自転車・飛行機・電車の被写体検出が可能となっています。これは画面内に対応する被写体がある場合に検出してAFトラッキングしてくれる機能で、撮影時のフレーミングの自由度が拡大。AFポイントに縛られず撮影に集中できることはとても嬉しいポイントでしょう。

被写体認識AFの設定画面(X-H2S)

X-H2は「H2S」のセンサーを4000万画素に高画素化したモデル

X-H2はそんなX-H2Sの派生モデル。ボディは共通で大雑把に表現すれば違うのは撮像センサーだけ、というモデルになります。ですので操作性やEVFといった撮影者が直に接するパーツはもちろん、画像処理エンジンや記録メディアがCFexpress Type BとSD UHS-IIのデュアルスロットであること、バリアングルの背面モニターなどまで同一仕様です。違うのは画素数に関する部分だけ。

バリアングルの背面モニター(画像提供:富士フイルム)

その画素数は4020万画素! X-H2はAPS-Cフォーマット機では初となる4000万画素クラスに到達したカメラとなりました。富士フイルムは「Xシリーズ史上最高画質」とアピールしています。

こちらが、4000万画素で実写した写真です。noteではリサイズされてしまうので拡大したカットもあわせて掲載します。

X-H2 + XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR ISO400 450mm相当 F5.6(撮影:豊田慶記)
合焦部分の拡大(Photoshopで100%表示したスクリーンショット)

さらに、APS-Cフォーマット機では初となる8K/30pの動画記録をも可能となりました。つまり静止画・動画のどちらともハイスペック。

富士フイルムはX-H2Sを「高速フラッグシップモデル」」、X-H2を「高画素フラッグシップモデル」と位置付けており、ユーザは高速性が必要ならX-H2Sを、高速性よりも画質を重視するならX-H2をと、適材適所で選択できるわけです。

なお、価格はX-H2Sの31万2000円前後に対しX-H2は26万円2000円前後。積層センサーを搭載するX-H2Sのほうが高くなっています。

兄弟機X-H2にはない機能も追加されています

前述のように、X-H2の技術的なハイライトは新開発の有効約4020万画素の「X-Trans CMOS 5 HR」センサーの搭載と、X-H2Sと共通の画像処理エンジン「X-Processor 5」です。

X-Trans CMOS 5 HRセンサー(画像提供:富士フイルム)

画素数や8K動画以外にも、X-H2SにはないX-H2だけの新機能がいくつか盛り込まれました。

  • 電子シャッター時に最高1/180,000(18万分の1)秒の超高速シャッター速度が選択できる

  • 常用最低ISO感度がISO200からISO125へと低感度化された

  • 肌描写をスムースに調整してくれる「スムーススキンエフェクト」

  • ボディ内手ブレ補正機構を利用して、撮像センサーを精密に0.5画素(1画素の半分、1画素のサイズは3.04μm……!)ずつずらして計20回連続撮影し、画像を合成することで1億6000万画素の超高解像データを生成できる「ピクセルシフトマルチショット」

  • ディープラーニングを活用した高度なAWB(オートホワイトバランス)。富士フイルムによると特に暖色LED光源下においてその効果がある

スムーススキンエフェクトやピクセルシフトマルチショットは富士フイルムのラージフォーマット機GFXシリーズに搭載されていた機能でXシリーズでは初搭載。X-H2の4000万画素という解像度は富士フイルムのラージフォーマット機のGFX50シリーズの5000万画素に迫っていることが初搭載の理由でしょう。

なお、ピクセルシフトマルチショットは美術品などをより高精細なデータとして記録するための機能という意味合いの方が強く、また僅かなブレや振動が撮影に影響を与えてしまうので、有効なシーンは非常に限定的です。通常の撮影シーン使う機会はあまりないと思います。

X-H2 + レンズ名: XF56mmF1.2 R WR ISO250 F3.2(撮影:豊田慶記)

オートフォーカスや連写性能はX-H2Sが上

X-H2Sの特徴であるブラックアウトフリーの高速連写は採用されていませんが、それ以外の撮影機能、例えば被写体認識AFなどはX-H2でも楽しめます。AFのアルゴリズムはX-H2Sと同じものですが、動体に対するAF性能は撮像センサーの読み出し速度が大きく影響するため、本機のX-Trans CMOS 5 センサーより約5倍高速な読み出しが可能なX-Trans CMOS 5 HSを搭載するX-H2Sの方が、シーンによってはより高い追従性を発揮します。

ちなみにX-H2と従来機のX-T4を比べるると、X-T4のX-Trans CMOS 4センサーのほうが僅かにセンサーの読み出し速度が高速ですが、より処理能力の高いエンジンと最新のAFアルゴリズムを持つX-H2のほうがAF性能は格上。

X-H2Sと比べて動体に対するAF性能では差がありますが、その一方で本機の「画素数が多い」という特徴は「像面位相差画素も多い」ということも意味します。そのため、被写体に追従しないAF-S時にはX-H2のほうがより合焦精度で有利です。

なお、X-H2もメカシャッターで15コマ/秒、電子シャッター時には1.29倍のクロップにはなるものの最高20コマ/秒の連写が可能ですので、X-H2Sの40コマ/秒は別格としても、高画素機でありながらかなりの高速性能を備えています。

X-H2 + XF56mmF1.2 R WR ISO250 F1.8 (撮影:豊田慶記)

バッファ性能を実測してみました

簡単にX-H2のバッファを測定してみました。撮影環境の照度や感度設定によっても異なりますが、ISO3200でロスレス圧縮のRAW+JPEG FINEで15コマ/秒の連続撮影を室内で行ったところ、UHS-IIのSDカード(ProGrade Digital 64GBゴールド)で平均してちょうど5秒間、約75コマまでコマ速が落ちること無く連写し続けられました。CFexpressではもっと撮影可能枚数に余裕ができるので、予算に余裕があればCFexpressを選択するのも効果的です。

この時のJPEGとRAWデータは1ショットにつき、それぞれ約20MBと約40MBでしたので、バッファ量はかなり潤沢。UHS-IIのメディアであればSDカードでも特に不都合はなさそうに感じました。

記録メディはSDカード(UHS-II対応)とCFexpress (画像提供:富士フイルム)

8Kをいかして高品質な4Kを生成するモードも

X-H2はAPS-C機として初となる8K30p 4:2:2の10bit記録に対応しています。HDMI出力時には8K 30p 12bitのRAWデータ出力すら可能というハイスペック。
本機だけの動画機能として、8Kオーバーサンプリングによる高品質の4K映像を生成する「4K HQ」モードを搭載しており、4K解像度を維持したまま2倍のデジタルズームも実現しています。

動画まわりでX-H2Sが優れているのは4K120pで記録できることです。本機は4K60pまでなので、そこが選択を分けるポイントになるかも知れません。
こういった実用的なレンズ交換式でAF可能な8K動画機として、本機は非常にリーズナブルという見方もできるでしょう。

なお、X-H2Sに装着が可能な、長時間の動画撮影でオーバーヒートを防ぐ外付けファン「FAN-001」を取り付けることで動画の撮影時間を拡大することが可能です。

X-H2実写インプレッション:4000万画素の立体感

皆さんは「40MP」という言葉の響きから、画質についてどのような印象や期待をもつでしょうか? おそらく多くの人は「解像感が高い」もしくは「シャープである」と思い浮かべると思います。

X-H2+XF16-55mmF2.8 R LM WR  ISO250 F4.0(撮影:豊田慶記)
合焦部分の拡大(Photoshopで100%表示したスクリーンショット)

しかし、撮影後に筆者が思ったX-H2の画質のイメージは、シャープというよりも「立体的」という少し漠然とした印象でした。実際に画素数がある程度以上の領域になると、解像感よりも立体感の方が印象的になります。これには理由があり、同じ面積を例えば2400万で分割するのと4000万で分割するのとでは、後者の方がより滑らかな再現が可能になるからです。

少し極端な例ですが、グレーのスケールで画素数が多いのと少ない状態を説明しますと、スケール上部の階調がわかりやすく段になっているものが画素数の少ない状態、スケール下部の階調がスムースなグラデーションになっているものが画素数の多い状態を表しています。同じ面積をより細かく分割記録できればそれだけ階調は滑らかに繋がるということが分かりやすいかと思います。

グレーのスケール(上段が従来機、下段がX-H2のイメージです)

もちろん40MPにしっかりと対応するレンズや、高解像に対応するディスプレイなど出力先のポテンシャルにある程度の依存があります。そういった難しいことを抜きにして画像をA4程度のサイズで眺めていても、やはり立体的だという印象を持ちました。あと白の再現がとてもキレイだと思いました。

なお、富士フイルムから推奨レンズが発表されています。

以下レンズご使用時に、X-H2の4020万画素高解像をフルにお楽しみいただけます。
XF16mmF2.8 R WR / XF18mmF1.4 R LM WR / XF23mmF1.4 R LM WR / XF23mmF2 R WR / XF27mmF2.8 R WR / XF33mmF1.4 R LM WR / XF35mmF2 R WR / XF50mmF1.0 R WR / XF50mmF2 R WR / XF56mmF1.2 R WR / XF80mmF2.8 R LM OIS MACRO / XF90mmF2 R LM WR / XF200mmF2 R LM OIS WR / XF8-16mmF2.8 R LM WR / XF16-55mmF2.8 R LM WR / XF18-120mmF4 LM PZ WR / XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR / XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR / XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR

https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/x-h2/

ボディのつくりの良さはX-H2S同様(同じボディですから!)

X-H2Sと同様の感想になりますが、まず、ファインダーを覗いた時の気持ち良さに感心しました。やはり576万ドットのEVF表示は眺めていて気持ち良く、MFするにしてもピントの山が掴みやすいので注視すること頻度が下がり眼の疲労軽減に貢献しています。

またボディの剛性感の高さとサイズ、重さのバランスが良いので、グリップした時の感触が良く使っていて安心感があります。こうした部分は富士フイルムが「フラッグシップモデル」を謳うだけのことはある、と感じさせる部分です。

iPhoneで撮影したX-H2SのEVF表示(スマホで撮影しているので歪みもでています本当はもっと綺麗です)

従来機(X-H1やX-T4)ユーザーにとってはおなじみの前後の電子ダイヤルのプッシュ操作は、X-H2Sと同様に省略されました。従来機では可能だった前ダイヤル押し込み→ISO感度設定という便利な操作スタイルがX-H2シリーズでは不可能になったため、従来機と混在で使う場合やISO感度を頻繁に設定する場合には少しイライラするかもしれません。一方、省略されたメリットもあります。それはダイヤル操作時の剛性感が従来機から大きく改善したこと。他社のカメラでは「前後の電子ダイヤルのプッシュ操作」という操作がそもそもできないため、他社のフラッグシップモデルからX-H2シリーズに乗り換えるようなユーザーにとって剛性感のアップのほうが望ましいでしょう。

右上のダイヤルがプッシュ操作が不可能になった後ダイヤルです(画像提供:富士フイルム)

X-H1やX-T3などではおなじみの3軸チルトモニターから一般的なバリアングルモニターに変更されたことも、従来機のユーザーが敬遠するポイントになります。前後ダイヤルのプッシュ操作と共にX-H1ユーザーの筆者はすごく気になりました。

このように、X-H2シリーズは他のXシリーズと比べて、良くも悪くも他社機とよく似た操作デザインになっています。そのため、他社機ユーザーがX-H2シリーズを導入する場合にはスンナリと馴染むことができそうですが、その一方で従来機ユーザーにとっては操作性の違いを受け入れなければなりません。少しシリアスに表現しましたが「慣れ」で解決することが多いというのも事実です。ボディの操作感や使用感についてはX-H2Sのレビューも参考にしてみて下さい。

AF性能はやはりX-H2Sのほうが「少しずつ良い」

AF性能は直接比較した訳ではありませんが、X-H2S時の記憶と比べても若干の差は感じました。やはり高速モデルであるX-H2Sの方が捕捉の速さ、粘り強い追従性能、被写体が大きく動いた際のAFレスポンスなどすべての点で少しずつ良いという感触です。これは動体でなくてもスナップシーンでも少し使い比べれば誰でも「X-H2Sの方がちょっと良いぞ」と体感できることだと思いました。

従来型であるX-H1と比べた場合は、シーンや被写体に依らず比較にならないくらいの差はありました。X-H1は撮像センサーも画像処理エンジンも第3世代のもの。X-H2は第5世代です。デバイスは2世代変わると誰でも事前知識ナシでも体感できるレベルで性能差が現れます。

これはAF-CかつIS3200で撮影した写真です X-H2 + XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR 450mm相当 F5.6(撮影:豊田慶記)

発売前のファームウェアだから? AF周りに不具合がある

X-H2Sにはやや及ばないものの、AF性能は最新のハイエンドミラーレスカメラとして好印象を抱けるものでした。しかし、AF-C時や被写体認識AF時には頻繁にAFがフリーズして動作しない・操作を受け付けない、撮影後にカメラがハングアップするといった不具合が何度も発生したのも事実です。撮影していてとても気になりました。

今回テストした個体は発売前のファームウェアなので、こうした小さなトラブルは付き物です。しかし、同様に発売前の個体でテストした、X-H2と同じAFアルゴリズムを持つX-H2Sでは、AFに関するトラブル症状にほとんど遭遇しなかったので、本機のトラブルは正直予想外。作例ではソコソコ撮れているように見えるかも知れませんが、動物園以外に飛行機や車など、他の被写体で試しています。X-H2SゆずりのAF性能を実感出来るシーンもありましたが、どちらかと言えば期待通りに撮れたシーンは少ないというのが実情です。

発売後に何かしらのアップデートがあるか、もしくは製品ファームで改善されていると期待したいところです。

X-H2 +  XF16-55mmF2.8 R LM WR ISO250 F4(撮影:豊田慶記)
X-H2 +  XF16-55mmF2.8 R LM WR ISO250 F4(撮影:豊田慶記)

手ブレ補正はカタログスペック通りの強力さです

ボディ内手ブレ補正の効果について、スペック上はX-H2Sと同じ最大7段の手ブレ補正効果ですが撮影した感触ではX-H2Sより少しだけ効果が強力な印象です。

少しマニアックな話になりますが、手ブレ補正効果については、カタログではCIPA基準でXX段とアピールされる場合が多いです。CIPA(カメラ映像機器工業会)の評価方法では、ブレ量をピクセル数で評価しています。この評価方法の問題点はセンサーの画素数によって1ピクセルのサイズが変わってしまうことにあります。例えば「5ピクセルのブレ」は24MPと40MPでは40MP機の方がブレ量としては小さくなってしまいます。これでは同じ5段の補正効果があったとしても画素数の多い方が実際には効果が弱い事になっていまいます。
画素数が少ない時代は手ブレ補正の効果が小さかったこともあり、特に問題とはなりませんでしたが、現在では手ブレ補正の効果が大きく、画素数も増え1ピクセルのサイズは小さくなっています。こうした実情に即して評価方法はアップデートされるべきである、と筆者は考えています。

ということでスペック上は同じ補正効果であっても、画素数によって体感や効果が違う場合があります。この観点で言えば画素数の少ないX-H2Sの方が体感での補正効果は良いハズですが、実際にはX-H2の方が僅かに良いという印象を持ちました。とは言え、全くの同条件で比較したワケではありませんし、体調や撮影者の手ブレの傾向によっては補正効果の感じ方が異なります。

ともあれ、X-H2の手ブレ補正効果は非常に強力で、カタログスペックに偽りなしです。

X-H2 +  XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR 450mm相当 ISO400 F5.6(撮影:豊田慶記)

試写したまとめ

X-H2Sと同様に本機についても基本的には良い印象しかありませんでした。正直に言いますが、画素ピッチが3.0μm台になると回折現象といって、絞り込みによって光が拡散してしまう現象の影響を受けやすくなるため、APS-Cで4000万画素というスペックには筆者は懐疑的でした。今回の試用でもf/5.6が最高解像でそれよりも絞り込むと解像感は下がる傾向にありました。

高解像センサーの特徴として、絞り込んでも被写界深度はそれほど深くなりません。ピンぼけや収差などによる僅かな滲みは「僅かな滲み」として正しく精密に記録出来てしまうからです。

X-H2 + XF35mmF1.4 R ISO250 F2.0 (撮影:豊田慶記)

レンズとの相性はあるが、APS-Cとは思えない画質を堪能できる

筆者の大好きなXF35mmF1.4Rというレンズを組み合わせた場合に、筆者の好きな絞り値(f/2.0)とカメラの解像性能のマッチングが悪く、少しパッとしない絵になってしまうことがありました。このように画素数によって写りの印象や使い勝手が変わることがあります。

その一方で、条件がハマれば本当にAPS-Cなのか?と思うほどスゴイ画質で応えてくれました。強力なIBIS(ボディ内手ブレ補正機構)によって本来は微小な手ブレまで記録されてしまう4000万画素を拍子抜けするほど簡単に手持ちで楽しむことができます。X-H2S譲りの高いAF性能や覗き心地の良いEVFなど、撮影の快適性も申し分無いレベルです。

動画性能を重視するユーザーにとって、8K30pのハイクオリティな記録ができるカメラとしては驚くほどリーズナブルで、静止画を重視するユーザーにとっては高いバランスに仕上がったカメラとなっています。

気になるのはバグが多かったことと、従来機ユーザーにとっては快適とは言えない操作性だったことの2つです。10月初旬に発売後の製品版でテスト予定ですので、後編としてそちらの結果を踏まえて真の実力をお伝えします。

コストパフォーマンス

静止画性能・動画性能のどちらも分かりやすくハイスペック。それでいてフラッグシップモデルを謳うのに十分な品格を持っていながらボディ単体で26万円台というのはお買い得感が高いと思いました。ミラーレス機には様々な製品がありますがX-H2は「手の届くフラッグシップモデル」。これまでフジに興味がなかった人にとっても興味をそそられる選択肢ではないでしょうか。

X-H2をおすすめできるユーザー

  • 他社機からの乗り換え

  • X-T4ユーザー

  • 動画性能を重視するユーザー

  • X-H2Sほどの高速性は必要ないユーザー

X-H2を見送った方が良さそうなユーザー

  • X-H1やX-Tシリーズのようなアナログ操作を好むユーザー

  • バリアングルが嫌いなユーザー

X-H2 + XF56mmF1.2 R WR ISO250 F1.2 (撮影:豊田慶記)

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