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子どもが学びの機会に出会うということ

この記事は、Kacotam × 寄付月間2023アドベントカレンダーの24日目【最終日】の記事です。

最終日は、理事長の髙橋が活動への想いを綴りました。

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 これまでの10年間「すべての子どもが学びの機会に出会い、自己実現にむけて挑戦できる社会」を目指し、特に「学びの機会に出会う」ことに重点をおいて活動してきました。設立当初から子どもが学びの機会に出会うということ自体難しく、学びの機会に出会うためには様々な入口が必要であると考えて、活動をつくってきました。その結果、2012年~2021年で1,300名以上の子どもと関わってきました。

学びの機会と出会う入口

 これまで大きく分けて2つ「拠点型」・「訪問型」の学びの場づくりを行ってきました。

①拠点型
 ひとり親家庭や生活保護世帯の子どもを対象とした学習支援「スタサポ」や一時保護所における学習支援「ポル」、受験対策に特化した学習支援「受験カコタム」を行ってきました。また、中高生のオープンスペース「ゆるきち」のような居場所づくりも行っています。

②訪問型
 訪問型学習支援では、社会的養護に関わる児童福祉施設や里親家庭に訪問して行う学習支援「学ボラ」や自宅に訪問して行う学習支援「テラス」があります。対面だけでなくオンラインで行う学習支援「あうるねっと」もあります。

 もともと団体を立ち上げた当初からあったスタサポ・学ボラ以外は、子どものニーズや地域情勢の変化から生まれています
 例えば、テラスやあうるねっとは、感覚過敏や過去のトラウマ的な経験から複数人がいる所にしんどさを感じたり、引きこもり状況が長くどこかに出かけるだけの体力が無かったり、近くに学習支援の拠点がなく利用することができなかったりと、拠点型学習支援では関われない子どもたちにアプローチするために開始しました。
 また、近年、児童養護施設等を運営する法人が児童相談所からの一時保護委託児童のための施設をつくり始めており、以前から連携している法人から一時保護施設内での学習支援の依頼があったことから、ポルを開始しました。

入口がつながって大きな入口となる

 活動の数が増えると、入口同士がつながり、大きな入口となって、学習の機会につながり易くなります。例えば、一時保護施設内での学習支援「ポル」ができたことによって、Kacotamとしては直接子どもと関係を構築することができるようになり、子どもは、Kacotamの学習支援がどのようなものなのかを体感することができます。それによって、Kacotamを利用するハードルが大きく下がり、家庭に戻る場合はスタサポに、施設に措置される場合は学ボラにつながり易くなりました。
 また、スタサポを利用していて、Kacotamの拠点がない地域に引っ越しをした場合、つながりが途切れてしまうことが多くありましたが、あうるねっとができたことによって、オンラインで継続して関わるという選択もできるようになりました。
 このように学びの機会につながる入口が複数できることによって、子どもの状況に合わせて柔軟に対応することができます

五教科の学習以外の学びの機会の出会い

 子どもと関わっていく中で、将来やりたいことがなかったり、興味はあるけど具体的なイメージがなかったりする子が多くいます。それは今の子どもに限ったことではなく、自分自身もそうだったし、今子どもたちをサポートしているボランティアメンバーにもいえることだと思います。だからこそ、少しでも興味がある職業があれば、その職業の方に話を聞きに行く「お仕事カコタム」を行っています。

 特に学年が上がるにつれて、自身の家庭環境や能力などを認識するようになり、周りの子どもが当たり前のように手にしているモノや経験が得られないことを日々の様々な生活場面で感じている子どもがいます。そのような日々が積み重なることによって、「やりたい」と発することが難しくなったり、そもそも興味を持たないようにしたり、ただ何かをしたいと言うことが難しくなります。だからこそ、私たちとの関わりの中で発せられた子どもの「やりたい」はしっかりと受けとめなければならないし、受けとめた「やりたい」を具現化するために企業や団体、個人のつながりなど、あらゆる社会資源を活用していきます。

入口から進められない子どもたち

 入口に入ることができたとしても学びの機会の活用につながるには、ストーリーやタイミング、子どもとの関係性の深さも必要になります。ただ単純に子ども(家庭)に情報が伝われば良いという話でもありません(もちろん、情報が伝わるだけで自ら学びの機会に出会うことができる子もいます)。
 様々な困難を抱えている子どもほど難しくなり、ちょっとしたことで学びにつながることもあれば、つながらないこともあります。その子の特性や状況などによって、ストーリーを考えて、学びとの出会い方を考える必要もあることを実感しています。言葉では簡単ですが、実践は難しく、日々試行錯誤しています。

入口への案内役をつくる 

 学びの機会に出会うための案内役をつくり、その数を増やしていきたいと考えています。
 テラスの活動を通して、Kacotamを含めた社会資源の案内役を務めることがあります。案内役が存在することによって、社会資源につながりやすくなり、子どものニーズと社会資源とのズレも抑えることができます。
 子どもが求めていたこととは違う対応をしたことによって、ネガティブな感情を一度でも抱くと他の社会資源に対してもネガティブなイメージが生まれ、支援につながりにくくなってしまいます。そのようなズレをなくすためにも案内役が重要となります。

学びの機会の入り口がそもそもない地域への展開

 これから札幌市近郊だけではなく、他の地域に展開していきます。特に社会資源が少ない地域では、これまで以上に運営上の難しさがあります。
 運営していくうえで、①必要としている子ども(家庭)と接点をいかにつくるか、②子どもと直接関わる人を確保することができるのかが求められます。
 これらの課題は、地域の社会資源との関係構築が必要とされ、一朝一夕にはいきません。その難しさがあるからこそ、なかなか学びの場が生まれない現状があります。逆に言えば、そのような社会資源が少ない地域で学びの場をつくり、継続することができれば、他の地域へと応用することができます。

思い描いている姿

 子どもと関われば関わるほど新たな課題を発見します。その発見した個別課題を地域課題化し、活動をつくってきました。それは今後も変わらないと思います。
 活動を生み出していくことによって、学習支援の拠点や児童養護施設などの施設だけではなく、企業や学校、自宅、病院などあらゆる場所が子どもの学びの場となっていきますあらゆるものが学びの場となる可能性を秘めています。それを社会資源が豊富な札幌近郊だけではなく、北海道全域でそのような地域が広がるように目指しています。


 

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