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ゆるきち——再考

この記事は、Kacotam × 寄付月間2023アドベントカレンダーの19日目の記事です。

 中高生のオープンスペースゆるきちで、コーディネーター(有償ボランティア)を担っている「わたるん」が、「ゆるきち」について書きました。

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 いつだったかゆるきちのリビングにて、「あれ今何年目だっけ?3年目か?」「いや、2年目じゃない?」みたいな会話をした。結局3年目だった。ゆるきちで流れている時間はゆるっとしすぎていて、もしかしたら本当に2年目なのかもしれない。
 そんなこんなでゆるきちに関わってきて3年目になるが、「ゆるきち」とは何ぞやというのは常に考えていきたいところである。「『ゆるきちらしさ』、『ゆるきちっぽさ』を維持しつつ...」みたいな話がなんとなーく言われてきたが、じゃあそもそも「ゆるきち」ってなんなのというところに3年目にして問いを立てて言語化して著しておきたいところである。

 ゆるきちのWEBページには、

「自分の考えや行動が大事にされ、思いや感情を表現できるゆるい空間。」

とある。この「ゆるきちとは」を考えたとき、わたるんはいなかった。ここにある言葉の意味をそれぞれ再考していくことで「ゆるきちらしさ」をわたるんの中で定義できるんではないかと思った次第である。

 「ゆるきちとは」を改めて見てみて、行動はなんとなくわかるが、考えとか思いとか感情とかってそれぞれ何が違うんだろう...???と率直な感想を抱いた。

 こういう時は辞書を開こう。
 ゆるきちにあった「学研現代新国語辞典 改訂五」を開き「考え」「考える」「思い」「思う」「感情」「行動」の意味を調べた。

 「ゆるきちとは」のそれぞれの言葉を辞書的な意味で展開すると、

「知的・理性的に心を働かせた事柄や内容及び、意思を持って行うこと」が大事にされ、「心の中でうかべたこと、あることをしようと心に決めたこと、心の中にまとめたこと・感じたこと、期待、願い、恋心、心配事、執念、経験及び、心の中に起こる、嬉しい・悲しい・楽しい・さびしいという気持ち」を表現できる

というような場所が「ゆるきち」である。

 辞書的な意味に表現してみると、わたるんの中で定義がしやすくなったように思う。
 
 わたるんの中ではこう解釈した。
「考え」や「行動」は「知的・理性的に」「意思を持って」などというところから、繰り返し心の中でうかべた上で能動的に起こす身体的・精神的な動きであることがわかる。ゆるきちでは、この能動的に起こす・起こしたものを大事にしようということであろう。

「能動的に先のことを考えて行動した」、「率先して準備した、片付けた」

「考え」や「行動」というのは、実はその背景には起こした本人にしか分からない出来事がたくさん含まれているかもしれない。こういったことを大事にしようということであると推測する。

 前段を、「自発的に〜」と考えると、後段はやはり、「心の中でうかべた」「心の中に起こる、嬉しい・悲しい・楽しい・さびしいという気持ち」というところから、ふと受動的に、自動的に心の中でうかぶ精神的な動きであると推察できる。ゆるきちでは、この浮かんできた心の中の動きが表現できるというようなことが推奨される。

「自分はこう考える、こう思う」

 心の中に浮かんできたもの、何かを思ったその感情が、時にはどこかで否定されてしまうかもしれない、否定されてしまうと自分の感情は間違っているんじゃないか、もう誰かに何かを伝えるのはやめたほうがいいんじゃないか、そう思ってしまい表現が閉ざされているかもしれない。
 個人が抱く思いや感情は自由である。その自由は誰にも侵してはならない。そんな思いや感情を思うがままに表現できるという場であることがゆるきちなのだろう。

 まとめると、ゆるきちは、「自分の考えや行動が大事にされ、思いや感情を表現できるゆるい空間。」であり、これは、「能動的に起こす身体的・精神的動き」が大事にされ、「受動的に起こった精神的動き」を表現できる空間であるとわたるんは解釈した。

 3年目ともなると、徐々にゆるきちで活動することが当たり前になってきて、日常化してしまう。私は特段、心理のことに詳しくもなければ何か資格を持っているわけでもないただの理系大学院生である。少し油断してしまえば、慣れてきてしまう。日常化する、慣れてくるというのは良いことではあるのだが、段々と自身がなぜ活動を始めたのかという意識的な何かが薄れてきてしまうことは往々にしてある。一方で、ゆるきちの利用者は毎週顔を合わせるとはいえ、状況・環境は変化していっている。その中でのメンバーと利用者の関わり、人と人との関わり、何かがあれば一瞬で崩壊してしまうこともある。

 今一度ここで、わたるんの中でゆるきちを再定義することで3年目という経験を持ちつつ常にリフレッシュされた意識を持ちながら活動していきたい。

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