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あたしの1番いいときはいつかしら

今年いっぱいでヴィレヴァンギャルちゃんまで退職することになってしまい、とうとう本格的に、同世代の女のコは後輩だけになってしまった(まだここ来て1年経ったとこだよ?!)。

それが原因というわけじゃないけれど、かなりこの頃は元気が尽きてきている。もう無印で買ったばかりのやわらかい敷マットと毛布にはさまれてかいこになりたい。。。
と、そんなことを本気で思うような中で、ちょっとだけすてきなことがあった。
全然大きなことじゃないけど、たとえるなら誕生日パーティの後の床に一粒だけころがってたアラザンみたいなカンジできらっと光るような。ちょっとしたこと。それを、書いておく。

遡って少し前、後輩のサキコちゃんがいつもよりもオシャレして来ていた日があった。
「かわいいね」て声をかけたら、実は今日誕生日なんですぅ、とのこと。夜に友達と恵比寿へ繰り出してお祝いする約束があるから、ファッションもいつもより気合を入れて来たというのだ。
私はサキコちゃんの誕生日をその時知って、何かあげたかったんだけど、何も持ってない。せめて仕事場の無人キオスクみたいなところでお菓子でもと思ったけど、ICカードの残高68円で(現金不可なのだ)、これじゃたべっ子どうぶつの小袋も買えないかもしれない。。と、しょうがないのでその場は断念した。

その数日後。仕事を早く上がれたので、帰りに伊勢丹へ行った。
サキコちゃんに何か誕生日プレゼントを買いたくて、そういえば彼女はこの前も背中に「anna♡sui」と書かれたカーディガンを着ていたし(なんだか泣きたいほどかわいい)、持ってる鞄とか化粧の雰囲気からしっかりめなブランドものが好きな気がしていたので、デパコスをプレゼントしようと決める。
化粧品売り場に着くと、人へあげるものって難しくて、口紅もアイシャドウも好みあるしなぁと悩んでうろうろした。無難すぎるのもせっかくだしどうかなぁ、かといって全然好みじゃないなってやつ買っちゃってメルカリで売られたらショックだなとか思いながら、ついには自分が欲しかったハイライトを手の甲に塗り始める始末。

しばらくしてようやく、いつものサキコちゃんのばっちりカールした黒い睫毛から手がかりを得た。そういえば黒しか見たことないけど、もしかしてブラウンマスカラもいいんじゃないかしらと。
たまたまフリーそうな男の子のスタッフが近くにいたので、色々聞きたくて声をかける。そしてびっくり。
…マスク越しでもわかる、なんかすごいきらきらした雰囲気!
カールした明るい髪に、すこしお化粧された顔。目尻にきらっとしたアイシャドウをひいていることに加えて肌がつやーっと白く綺麗なので、もう、存在が発光していた。

衝撃を受けつつも、マスカラ探しに協力してもらう。
はじめ、サキコちゃんっぽいかなとdiorのマスカラの色を見せてもらったら、ちょっと色が暗めだった。他にもよく買われているのがあるか聞くと、彼は目をバチバチ瞬かせて「アッございますよ、もちろん」とお客さんの間を抜けてすぐにthreeやaddictionのも出してくれた。身のこなしが軽くて、仕事、きっと楽しいんだろうなと思った。

化粧品ブランドのブースに囲まれた、眩しすぎる空間。周りのスタッフやお客さんとして来てる女のコたち(私も含めて)の中でもひときわ目立つ、存在の明るさと、身軽さ。
すてきだったなあ。なんだか彼の一番いい時代に遭遇したんじゃないかと思っちゃうような立ち上がった雰囲気にふれて、最近の気分が少し晴れたんだよね。ありがとうと思ったよ私は。


…そんなこんなで結局買ったのは、彼が紹介してくれたthreeのブラウンマスカラ。
サキコちゃんめちゃめちゃ喜んでくれた。
黒しか使ったことなくてブラウン欲しかったんですぅて言ってて、リップサービスかも、だけど私もうれしかった。
ここ数年で見た中で一番派手な文面、ハートと星と顔、絵文字いっぱいのLINEが来たんでした。いいね。

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