全然もっとちゃんと生きれるなっていつも思ってるよ!

昼休み、コンビニのおにぎりのごみを捨てて仕事場へ戻る道すがら、ポカポカした日差しと北風の中で聴いた、神経をそっとなでて流れるニールヤング。

残業を終えて最寄駅のホームに降りた時に、電車の屋根の上に三日月が見えて、その瞬間にイヤホンから聴こえていた高円寺のシンガーソングライターの曲。

家に帰りヒートテックにモコモコズボン姿で毛布をかぶり、すっすっと文字を打ちこむスマホから鳴ってる椎名林檎の「○地点から」。

かな。今日1日で印象に残った場面と音楽!  

♢ ♢ ♢


今日は、毎月月初に必ずひらかれる会議があった。
SNSの数値報告とか広告物の内容決めとかをするもので、私は担当しているメルマガとか諸々のデータを報告しなきゃいけないのだけど、これがけっこう緊張する。なんでだろ、そろそろ慣れてもいいものなのに、この会議はもっとも本能的に心臓がウッとなるのだ。ウッ。て。

ところでこの会議はいつもヴィレヴァンギャルちゃんが司会をやっていた。先輩であり、じつは同い年でもある派手なGALちゃん。
今月末退職する彼女は、今日、会議の始まりにまず
「それでは これが私が出る最後の会議になりますけどもーー笑」
と言いながらずっとこっちを見ていた。
なんでこっちを笑、と思いながら私もウンウンとうなづいてにやっと笑い返す。同席していた上司がそれを見て「なんで〇〇(私)さんの方だけ見て言うの笑」と言い、みんながくすくす笑う。

そうして少し空気が軽くなって、会議が始まる。私もなんだか、緊張がゆるんでいる。
ヴィレヴァンギャルちゃんは、こんなふうに何人もいる場のムードを楽しく変えられる才能があるのだ。


彼女は個性的な女の子だ。まず見た目からいってもそうで、髪は青が抜けてアッシュの銀色のようになった色味が定番。服装もおしゃれで、私が一番好きなコーデは、チャイナ風のフリフリトップスにブーツカットパンツ、オニツカタイガーの銀色のスニーカー、というやつだ。フロアを通ってるのを見ると、いいなー欲しいーって思う。デスク周りは、私がヴィレヴァンギャルちゃんと仮名をつけたくなったくらい、おもちゃや雑貨で溢れている。ジョジョのブチャラティのスタンド、シルバニアのお人形たち、ケロロ軍曹のフィギュアなどが定位置にディスプレイされている光景は、まるでお部屋みたい。それから何故か、彼女の向かいの席の、上司のデスクとの間にあるコロナ予防の透明アクリル板に、"彼に向かって"110番のピーポくんのシールを貼っている。これじゃ上司が要注意人物として見張られてるみたいじゃん、と私は気になっている。

そして彼女の才能は、なんといっても先のとおりムードメーカーなところだ。例えば私や退職したやなせ先輩が言うと本気っぽくなってしまう〈できない!!!〉とか〈かえりたい。。。〉といった素直な言葉を、彼女ならフロアでガツンと叫んでもなんだか笑えて、愛される。残業でみんな息を止めてるのかというほど黙々と仕事に追われてる時も、彼女が「かえりてー!!やだぁあ」といきなりおっきい声で言うとちょっとみんなの肩の荷がおりる。ね、ほんとそれ笑、と。
誰かを頼ったり、あえて気を遣いすぎない(むしろかなりのズケズケ、彼女はビートルズのパイセンのことをきもおたと言う!)絶妙なバランスで人とめちゃ打ち解けたり、そういうことが上手だった。こんなふうにみんな思い思いに言い合いながらもほい、ほいって仕事できる雰囲気になったらいいよなぁ、と思ったりもしたな。

同じになろうとかじゃないけど、彼女を見習いたいなぁと思う。若手の退職率が役員たちの会議の議題にのぼるほどになってきてしまってる今で、私もそりゃーー色々考えるけど、働いているうちは、なるべく私らしく仕事場を渡っていきたいな。

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