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【中国不動産の栄枯盛衰】

✔︎中国の不動産業界の状況

破産申請をした恒大集団


中国の不動産業界は、長年の「過剰融資」問題により、巨額の負債を抱えている。

不動産開発大手の恒大集団は、倒産寸前まで追い込まれており、碧桂園も債務不履行の危機に直面している。

特に、中国最大の不動産開発会社である碧桂園が社債の利息を払えない事件が起き、中国の不動産危機が再び高まっている。

地方政府の重要な財源である土地の譲渡益が減少していることに加え、不動産開発業者への補助金なども減少している。

デフレの兆しを見せている中国経済を揺るがす雷管になりかねないとの懸念が出ている。

→経済状況を数字から見てみる

7月の新規銀行融資は過去6年で最低


* 7月の不動産開発大手の売上総額は前年同月比で34.1%減。
* 7月の対外輸出は前年同月比で14.5%減。
* 7月の消費者物価指数は前年同月比0.3%下落。
* 7月の生産者物価指数は前年同月比4.4%下落。
* 7月の新規銀行融資は前月比89%減。

これらの数字は、中国経済が大きな危機に直面していることを示しています。

中国政府は、経済刺激策として金融緩和や財政出動を実施していますが、効果が表れるには時間がかかるでしょう。

✔︎中国の不動産市場の低迷の原因

中国の不動産融資規制



2020年8月に共産党政権が不動産融資規制を実施したことで、不動産市場は急速に冷え込んだ。

不動産価格は下落し、不動産開発業者の資金繰りも悪化。

景気低迷の影響による中国人の「頭金前払い」能力の低下。

中国の不動産ディベロッパーの巨額の負債。


✔︎終わりの始まり

中国住宅指数


・不動産バブルの崩壊
   ・2020年以降、中国政府は不動産融資規制を強化

   ・不動産開発企業の資金繰りが逼迫、デフォルトリスクが高まる

   ・2023年8月、中国最大手の不動産開発企業である恒大集団が破産申請


・対外輸出の失速
   ・米中貿易摩擦の再燃、新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーンの混乱

   ・2023年7月、中国の対外輸出は14.5%減少


・企業の投資意欲の低下
   ・不動産バブルの崩壊、対外輸出の減少

   ・2023年7月、中国の新規銀行融資は前月比89%減


✔︎碧桂園の不渡り

利払いができなかった碧桂園


・売上高基準で中国最大の不動産開発会社である碧桂園(カントリーガーデン)は、2社に対する社債の2250万ドルの利払いを履行できなかった。

・会社の規模に比べて少ない金額を定められた時期に返済できないほど資金難が深刻であり、会社側は今後の償還計画も明らかにしていないが、債務の再編を行う可能性に言及している。

・碧桂園が今後30日間の猶予期間内に利払いができなければ不渡りとなる。

・1~6月期の最終損益が450億~550億元(9000億~1兆1000億円)の赤字に転落。


✔︎碧桂園の負債

実は恒大集団よりもインパクトがある


・碧桂園は昨年末基準でマンション建設など3千個のプロジェクトと関連して1兆4千億元(1990億ドル)の負債がある。

・来月には58億元の債務満期が到来し、利子4800万元を払わなければならない。

・また、34億元相当の債務について返済か延長を決定しなければならないオプションもかかっている。

・2024年末までに中国国内で24億ドル、海外で20億ドルの債務を返済しなければならない。


✔︎碧桂園の不渡りへの懸念

碧桂園の株価は大暴落


・市場では碧桂園の不渡りへの懸念が急速に広がり、同社の社債価格は暴落している。

・昨年末と比較すれば株価が70%も下落。

・ドル建ての中国ハイイールド債券は、今年に入って最低の1ドル当たり平均67セント前後で取引され、碧桂園問題が伝染する様相を呈している。


✔︎碧桂園の破綻の可能性

プロジェクトが多数頓挫している


・ブルームバーグ・インテリジェンスは「碧桂園には恒大集団よりも4倍も多いプロジェクトがあり、支払い不能事態も恒大集団の崩壊よりもさらに大きな衝撃を中国住宅市場に加えるだろう」と見通した。

・特に、碧桂園は恒大問題の際に当局が不動産市場の崩壊を防ぐために取った資金支援などの最大受恵者となり、これまで市場を支えてきたが、資金難に陥り市場の崩壊が憂慮される。


✔︎負のスパイラル


・デベロッパーは資産の売却を強化せざるを得ない。

・住宅の価格は下落し、建設途中で放棄される物件が増えたり、企業の倒産件数も増えたりする。

・労働市場の悪化懸念は高まる。

・資産価格下落により、金融機関は債権回収を急ぐ。

・返済に追われる個人、企業などは増える。

・債務返済を優先し、消費や投資を減らさなければならない経済主体は増える。

・中国ではマンションの竣工前に購入契約を結ぶ人が多いといわれる。

・住宅を買ったものの完成した物件が引き渡されないケースが増えて、社会心理は悪化し、個人消費も冷え込む。


✔︎中国経済への影響

第二次産業が大きい


・碧桂園の不渡りは中国経済に大きな影響を与える可能性がある。不動産関連分野はGDPの3割程度を占めるとの試算もあり、経済に与える負の影響は大きい。


✔︎地方財政の悪化


・土地譲渡益の減少によって地方財政も悪化した。地方政府がインフラ投資などの景気刺激策を発動することは難しくなった。


✔︎不良債権処理の必要性


・共産党政権は経済成長率の低下を食い止めるため、不良債権処理を本格化し規制緩和などを進めることが必要だろう。

✔︎中国経済の回復には時間がかかりそう


・足許、中国の経済全体で債務の返済を優先し、支出を抑制する個人や企業が増えている。



国内情勢

✔︎若年層の失業率上昇

あまりの酷さに若者の失業率の公表をやめた


・不動産市場の低迷は、雇用にも悪影響を及ぼしている。

・不動産業界の失業率は高まっており、若年層の失業率も上昇している。


✔︎瀋陽のゴーストタウン

マンション工事中断で各地に「ゴーストタウン」


・中国東北部瀋陽の郊外には、建設工事が中断された邸宅が放置されている。

・ゴーストタウンの様相を呈するこのプロジェクトは、2010年に着工されたが、2年後に頓挫した。

・中国全土では、住宅計画のうち約4%弱が中断されたままとなっている。

・これは土地面積に換算すると、2億3100万平方メートルに相当する。

・かつて、碧桂園の販売窓口として使われていたオフィス内部の壁はぼろぼろだ。

・あちこちに落書きがあり、地元農家以外の人もここを訪れていることが分かる。



✔︎中国の不動産業界の債務不履行が台湾の鉄鋼業界に与える影


・中国の不動産業界の債務不履行は、台湾の鉄鋼業界に大きな影響を与えている。

・台湾の鉄鋼業界は、中国市場への輸出が大きく、中国の不動産業界の停滞は、鉄鋼需要の減少につながっている。

・台湾の鉄鋼業界は、中国経済の低迷による影響も受けており、経営環境は厳しい。


✔︎台湾の鉄鋼業界への新たな需要


・インドのインフラ用鉄鋼の需要増加

・電気自動車や新エネルギー産業の拡大


✔︎最悪のシナリオ中国の台湾侵攻

支持率確保のための強行か


・中国のインフラ・不動産開発中心の成長が終わり、経済危機が悪化すれば台湾への侵攻の可能性が高まると予想されている。

・習近平主席は経済成長で世界最大経済国を目指しており、その野望が達成できなければ支持が弱まる可能性があるとされている。

・中国では若者の失業率が高く、不動産危機も現実味を帯びており、共産党統治への支持を集めるために台湾問題が焦点になるかもしれない。

・バイデン大統領も中国の経済問題が指導者にとって「時限爆弾」である可能性を指摘している。

・中国は台湾に対する武力示威を継続し、台湾周辺で軍事演習とパトロールを行っている。

・また、台湾への報復として台湾産マンゴーの輸入中断を決定したとの報道もある。

・“支持率確保のため“の台湾問題は緊迫している。



✔︎日本のバブル崩壊の経験と比較


・中国はセーフティーネットが十分に整備されていないため、個人の不安や不満が爆発する可能性がある。

・中国政府は、債務問題の処理や規制緩和などの対応を積極的に行う姿勢を見せていない。

・米欧の金融政策の引き締めや対中制裁の影響も大きい。


✔︎中国の不動産不況がシャドーバンキングに飛び火する兆候が見え始めた。


・中国最大級の資産運用会社の一つである中植企業集団の傘下の信託会社が組成した高利回りの信託商品で、支払いが履行されなかった(デフォルト)。

・信託会社は、家計から資金を集めて融資に回したり、不動産や株式、債券、商品に投資したりする、規制が比較的緩い業態。

・中国の信託会社の資産は、今年3月時点で約2兆9,000億ドル(約422兆円)に上る。

・不動産市場の低迷を背景に、不動産関連の投資商品にはここ数年デフォルトが増加しており、多くの融資信託は不動産への投資を縮小してきた。

・中融国際信託の信託運用資産のうち、不動産は11%を占める。同社は昨年、少なくとも10件の不動産プロジェクトに出資したが、不動産不況によってその当てが外れたようだ。

✔︎中国政府の対応

政府は見て見ぬふり


・政府は経済危機に対して無関心であるかのように振る舞っている。

・8月17日の会議では水害対策が議題であり、経済問題は焦点ではなかった。

・習主席はその後も国際会議に参加するなど、経済問題から逃れる様子を見せている。

・習主席の経済問題への無関心な姿勢は、政府全体や共産党の幹部たちにも波及する可能性がある。

・中国経済は破綻に向かう可能性があり、習近平個人独裁体制の存続が中国の衰退と破綻を避けられない原因であると指摘されている。



✔︎中国経済の今後

バブル崩壊は不可避か


・中国政府は、景気対策として金融緩和や財政支出の拡大を実施しているが、効果は限定的だ。

・不動産市場の低迷や地方政府の財政悪化は、中長期的に中国経済に大きな打撃を与える可能性がある。

・中国の不動産業界の債務不履行は、台湾の鉄鋼業界に長期的な影響を与える可能性がある。

・台湾の鉄鋼業界は、中国市場への依存度を低め、新たな市場開拓に取り組む必要がある。

・中国の不動産市場の低迷は、中国経済の低迷につながり、鉄鋼需要の弱体化につながる。

・中国市場への依存度が高い台湾の鉄鋼業界は、特に影響を受けるとみられる。

・台湾の鉄鋼業界は、中国市場への依存度を低下させるなどの対策を講じる必要がある。


付記


✔︎日中バブルの共通点と相違点


⚫︎共通点
・安価な労働力を武器に輸出主導型経済を成長させていた

・輸出競争力の低下と米国の圧力により内需主導型経済への転換を模索

・政府による不動産取引規制がバブル崩壊の引き金になった可能性が高い


⚫︎相違点
・バブル崩壊の影響が金融セクターに集中する可能性が高い日本に対し、中国ではより広範囲に及ぶ可能性が高い


⚫︎ミクロ的視点
・日本のバブル崩壊は金融セクターの不良債権処理に手間取り、失われた30年を招いた

・中国のバブル崩壊が金融セクターに集中しない場合、より深刻な経済的混乱を引き起こす可能性がある

あとがき

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