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【企業分析】Facebook

FB (NYSE)
時価総額:1兆600億ドル

売上高:860億ドル
営業利益:327億ドル
(2020年)

創業:2004年

目次
○概要
○業界動向 
○事業内容・ビジネスモデル
○競争力
○経営者 
○決算内容
○今後の見通し 
○直近の株価 


○概要
2004年に当時ハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグによって設立。元々ははハーバード大学内だけのソーシャルネットワークサービスとして展開していたが、2021年現在では世界中に30億人以上のユーザーを抱えている。Google、Apple、マイクロソフト、Amazonと並び、アメリカの情報技術産業のビッグ・ファイブ企業の一つとされている。
カリフォルニア州メンロパークに本社をおく。
2012年NASDAQに上場。 

世界最大のソーシャルネットワーキングサイト「Facebook」を運営、月間アクティブユーザー数は20億人を超える。 
海外ユーザーの比率は約85%。世界中に15,000人の従業員を有する。 

○業界動向
Smartly.io が世界中のマーケターの方に行った 2021 年の展望についてのアンケート調査をまとめたインサイトを紹介している。これによると、74% のマーケティングチームが、予算の 3 分の 1 以上を SNS 広告に費やしている。

・ネット広告の市場規模推移

電通グループは1月28日、世界59カ国・地域から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」を発表。同社は、世界の広告市場は、コロナ禍の影響で2020年は8.8%の減少となる見通しだが、2021年には5.8%の成長が見込まれ、世界の総広告費は約5,790億ドルになると予測している。

また、2022年には広告市場全体がコロナ禍前の水準に戻る見通しで、6.9%の成長により、総広告費は約6,190億ドルになるとの予測が示されている。


2020年は媒体別でデジタル広告が唯一プラス成長だったが、2021年もデジタル広告の2ケタの成長が見込まれる。これを原動力として、広告市場全体が回復軌道へ転換する見込み。

また、世界の総広告費に占めるデジタル広告費の媒体別シェアは初めて50.0%に達する見通しとしている。デジタル広告の内訳として、ソーシャルメディア広告(18.3%増)、検索連動型広告(11.0%増)、動画広告(10.8%増)が大きく成長する見通し。


【国・地域別の成長率予測 資料:電通グループ】

【媒体別のシェア予測(全世界) 資料:電通グループ】

・世界のSNSユーザー数ランキング
SNS(ソーシャルネットワークサービス)のユーザー数は全世界で38億人を突破。また国内におけるSNSの利用者数は7,975万人となり、2022年末には8,241万人へ拡大する見込み。

※DAU(デイリーアクティブユーザー):1日の利用者数※QQはスマートデバイスのユーザー数

全世界で見た主要SNSのユーザー数トップは27.97億人のFacebook。

続いて20億人のWhatsAppとYouTube、12億人を超えるWeChat、10億人のInstagramが並ぶ。

○事業内容
Facebook(フェイスブック)は、世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である『Facebook』を中心としたWebサービスの運営を主な事業として展開している。ユーザーが友達や家族とつながり、コミュニティを探し、ビジネスを成長させるため、FacebookはWebサービスを起点とした広告ソリューションやハードウェア製品等も提供している。

【製品・サービス】
Facebookが具体的に展開する主な製品は以下の通りである。

・Facebook(フェイスブック)
『Facebook(Facebook)』を使用すると、モバイルデバイスやパーソナルコンピューター上で人々が相互に接続、共有、発見、および通信できる。ニュースフィード、ストーリー、マーケットプレイス、ウォッチなど、Facebookのユーザーと交流するにはさまざまな方法がある。

・Instagram(インスタグラム)
『Instagram(インスタグラム)』は、人々を愛する人々や物事に近づける。ここは、人々が写真、ビデオ、Instagramフィードやストーリーなどのプライベートメッセージを通じて自分自身を表現し、ビジネス、クリエイター、ニッチなコミュニティへの関心を探求できる場所である。

・Messenger(メッセンジャー)
『Messenger(メッセンジャー)』は、人々がプラットフォームやデバイスを越えて友人、家族、グループ、企業とつながるためのシンプルでありながら強力なメッセージングアプリケーションだ。

・WhatsApp(ワッツアップ)
『WhatsApp(ワッツアップ)』は、世界中の人々や企業がプライベートな方法で通信するために使用する、シンプルで信頼性が高く安全なメッセージングアプリケーションとされている。

・Oculus(オキュラス)
『Oculus(オキュラス)』はVR(バーチャルリアリティ)を体験できるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)やサービスを提供する。ハードウェア、ソフトウェア、および開発者エコシステムにより、世界中の人々がOculusバーチャルリアリティ製品を通じて集まり、相互に接続できる。

【ビジネスモデル・収益構成】
マーケティング担当者に広告枠を販売することで、ほとんどの収益を生み出している。広告により、マーケティング担当者は、年齢、性別、場所、興味、行動などのさまざまな要因に基づいてユーザーにアプローチできる。マーケティング担当者は、Facebookが提供するサービスやサードパーティのアプリケーション、Webサイトなど、複数の場所に表示される広告を購入する。

他のコンシューマ向けハードウェア製品や、拡張現実、人工知能(AI)、接続性の取り組みなど、多くの長期的な取り組みにも多額の投資を行っており、長期にわたってFacebookの使命をよりよく果たすのに役立つと信じているテクノロジーを開発している。

・Advertising(広告収益)
Facebookの広告収入は、『Facebook』『Instagram』『Messenger』およびサードパーティが提携しているWebサイトやモバイルアプリに広告商品を表示することで発生する。マーケティング担当者は、配信されたインプレッション数、またはユーザーが行ったクリックなどのアクションの数に基づいて、直接、または広告代理店や再販業者との関係を通じて広告商品に対して支払いを行なう。

インプレッション型広告の表示収益は、インプレッションが配信された契約期間に認識している。インプレッションは、広告がユーザーに表示された時点で配信されたものとみなされる。アクション型広告の配信からの収益は、ユーザーがマーケターと契約したアクションを行った期間に認識する。広告表示数は、広告事業の進化や広告商品の構造の変化に伴い、方法論が変更される可能性がある。

広告単価は、広告収入の総額を広告配信数で割ったものであり、インプレッションやアクションなどの目的に関わらず、マーケターがインプレッションあたりに支払う効果的な価格を表している。Facebookがプリンシパルではない広告収入の取り決めについては、純額ベースで収益を認識している。

また、特定の収益取引については、契約上の約束額よりも低い対価を受領する場合があり、また、特定の顧客がキャッシュベースのインセンティブやクレジットを受領する場合がある。これは収益計上すべき金額を見積もる際に変動対価として会計処理される。Facebookは、変動対価の見積りに重要な変更はないと考えている。

・Other Revenue
Facebookにおける広告以外の収益は、コンシューマー向けハードウェア機器の販売、決済インフラを利用しているデベロッパーから受け取る純手数料、およびその他の様々なソースからの収益で構成されている。

○競争力
実名制であり、世界最大のユーザー数を誇るSNSであることや、広告配信では、ほかのSNSに比べて高いターゲティング精度を誇っている。
国内では主にビジネスパーソンを中心に使用されている。総務省の調査によると、30代の約半数が利用しているメディアである。友達だけでなく、同僚・取引先ともつながるなど、リアルな関係性が反映されやすいため、比較的フォーマルな場として使われる傾向がある。
BtoB企業による活用も増えており、オーガニック投稿と広告を活用して、企業の認知やブランディング、リード獲得に使われている。

・圧倒的精度の個人情報
名前、住まい、現在地、年齢、職業、趣味…今後、”能動的”にこれだけの個人情報を登録させられる物が他にない。“能動的”というのがポイントで、自身から任意で登録したものをターゲティングされる。この面に関して言えば、Googleが太刀打ちできるものではないだろう。例えばGDN(Google ディスプレイネットワーク)は主にさまざまな行動履歴などを軸にユーザーがどのような属性であるかを導き出すものであるため、Googleが正確性でFacebookに太刀打ち出来るものではない。
また、Facebook上でアクティブに投稿をしたり、いいね!などの行動をおこなさいユーザーも多い印象ですが、そんなユーザーもタイムラインは見ている。更には3.11以降、インフラとして利用する側面もあるFacebookは今後もアクティブ性をある程度保ちながら勢力を拡大していくと期待される。

フェイスブックは、人々の注意を引きつけて、製品の認知を高め、購入を検討してもらうといった広告主のあらゆるニーズに対応できるよう、11タイプの広告形態を取り揃えている。

写真や動画をメインに使ったこれらの広告はすべて、商品を表示し、閲覧者にクリックさせて広告主のサイトまで誘導するうえで理想的。パブリッシャーのサイトで一般的な、テキストばかりのつまらないバナー広告とは違う。

ビジュアルを重視したフェイスブック広告。
このような広告形式を採用することで、フェイスブックはユーザー1人あたり、毎月10回以上、広告をクリックさせることに成功しているとレポートは指摘した。

1000回表示あたりの広告コスト。フェイスブックはYouTubeに次いで高い。

・Polar, various source
ビジネスにおける強みとしては、「スマートフォンとの抜群の相性」「デバイスをまたいだターゲティング」「パーソナルなクリエイティブ」「ROIの計測」の4つを挙げている。スマートフォンとPCとタブレットを併用するクロスデバイスがユーザーに浸透しているが、Facebookではいずれもが追跡可能であり、顧客が商品やブランドをどう認知し、接点を持つのかというカスタマージャーニーが把握できるという。またニールセンの調査によると、通常のオンライン広告が指定したターゲットにリーチできる割合が38%なのに対し、Facebookでは89%にもなるそうだ。

 ニュースフィードにはユーザーに合わせてカスタマイズされた広告を表示できる。活用事例として紹介された花王のシャンプー「エッセンシャル」のケースでは、11種類の広告をユーザーに合わせて表示したことでシェアが1.5倍に伸びたという。コミュニティツールとしてのSNSから、企業の課題解決に使えるツールへと進化しており、認知度の向上、ダウンロード数と購入数の増加などでも成果が出ているそうだ。また、リクルート、日産自動車、キリンビールが主要メディアとしてFacebookを活用しているとも言っていた。

 ビデオ視聴も急増しており、世界での1日あたりの動画再生回数は10億回にもなっている。2014年5~7月の成長率は50%で、そのうち65%がモバイルからの視聴である。米国では8月にPC上での動画再生回数がYouTubeを追い越し、ナンバー1プラットフォームとなっている。日本でもこの9月に動画投稿数が130万回と、1年で2倍に成長している。

 当然ながら動画広告にも力を入れており、Reach(リーチ)、Relevance(適切さ)、Remarketing(リターゲティング)の3つの「R」を特徴とした展開を狙う。また、ターゲットへの精度の高いリーチとフリークエンシー(接触頻度)を設定できるのはFacebookだけであるとし、クリエイティブ配信が可能になると説明。オートプレイ広告も視野に入れ、動画広告そのものを進化させたいとの意気込みを見せている。

 Facebook全体の方向性としては、2013年8月にザッカーバーグ氏が設立を発表したInternet.orgの取り組みを進め、発展途上国の50億人に対して引き続きインターネットのアクセス普及を目指すほか、デバイスの進化をリードするとしている。今年7月に買収が完了したOculus VRの技術を使ったバーチャルリアリティに向けた技術開発のほか、Instagramをはじめとしたマルチアプリ戦略にも力を入れる。

○経営者
Facebookの共同創業者兼会長兼CEOであるマーク・エリオット・ザッカーバーグは、ハーバード大学在籍中にソーシャル・ネットワーキング・サービスサイト「Facebook」を立ち上げた。

12歳でソフト開発、18歳で自身が開発した「Synapse Media Player」はマイクロソフトから100万ドルの買収額を提示された。

ハーバード大学に入学後は、大学生ならではのサービスをふたつ開発する。ひとつは、どの学生がどの授業を履修しているかをリスト化した「CourseMatch」。

もう一つが、学生の容姿が“Hot”かどうかを格付けするサービス「Facemash.com」だ。後者が大学内で批判を呼んだ上、画像を無許可で使用していたことで大学からサイトを4時間でクローズされる。

しかし、ザッカーバーグは諦めなかった。情報のオープン性を主張しフェイスブックを19歳で開発。ハーバード大学内にて、学生と学生を繋ぐサービスとして誕生した。他大学や多く企業からも大きな反響があったという。

その後、フェイスブックの開発やサービス向上に注力するため、立ち上げ1年後にはハーバード大学を中退。フェイスブックは世界中の人々をオープンに、そしてより近づくサービスとして発展していった。

フェイスブック設立後、多くの企業が買収を持ちかけた。初期メンバーの多くは買収額の大きい企業に応じるよう求めたが、ザッカーバーグは応じなかった。利益を求めるより、役立つサービス作りを優先したかったのだという。

ザッカーバーグは、フェイスブックは会社にする為でなく、世界中がオープンで繋がったものにするために作ったのだと述べている。

売上高ほぼゼロの「インスタグラム」を買収

ザッカーバーグの成功はフェイスブックだけに留まらない。12年4月、写真中心のSNSサービスを提供する「インスタグラム」を10億ドルで買収。社員13名、売上高ほぼゼロの当時小さな会社を巨大な額で買収したことは、世界に衝撃を与えた。

「最大のリスクはリスクを取らないことだ」という名言からもあるように、ザッカーバーグの先見性と行動力の高さが伺えるエピソードである。

○決算内容
・第2四半期決算

フェイスブックの売上は98.3%が広告収入であることを考えると、広告収入が伸びていることがわかる。

フェイスブックは4Q(10月-12月期)はクリスマスがあるので広告収入が増えやすい傾向にあるので、今回の決算発表2Q(4月-6月期)は過去の2Qと比較した方がわかりやすい。

前年同期比で55.60%増。

純利益も絶好調。

フェイスブックの収益の源泉と言えば、アプリの会員数である。まずはフェイスブック単体のアクティブユーザー数を見てみる。

フェイスブック単体のデイリーアクティブユーザー数

フェイスブック単体のマンスリーアクティブユーザー数

次にフェイスブックファミリーの会員を見てみる。

フェイスブックファミリーとは、フェイスブック、フェイスブックメッセンジャー、インスタグラム、ワッツアップのこと。

※ 重複しているアカウントはカウントされていない。

フェイスブックファミリーのデイリーアクティブユーザー数

フェイスブックファミリーのマンスリーアクティブユーザー数

フェイスブックファミリーのアプリを毎日27億6000万人も使う人がいたら企業(広告主)は広告の掲載を依頼することは当たり前である。

1ヵ月に1回はフェイスブックファミリーのアプリを使う人は35億1000万人という驚異的な数字である。

地域別の売上高を見てみる。

会員数が多い、アジア太平洋・その他の地域など新興国での収益化が出来ていなかった。

地域別売上高(金額ベース)

金額ベースではアジア太平洋・その他の地域の売上高も着実に伸びてきていますが、構成比率でも調べてみます。

地域別売上高(比率ベース)

売上高の比率はほぼ変わっていない。

上記に載せているユーザー数を見ると、米国・カナダ、ヨーロッパのユーザー数は増えていない。

そのため今後はユーザー数も伸びていて、且つまだ思うように収益化できていない新興国での売上高の伸びがポイントになってくる。

なぜこれだけの好決算なのに決算発表後、株価が下がったのか。
→下期から広告の成長率が鈍化すると、フェイスブック自体が発表しているから。
→ iOSアップデートにより、広告ターゲティングの逆風が増加するため

○今後の戦略
今後の広告収入が大きく減少すると見込まれる中、Facebookは新しい事業にかじを切ろうとしている。FacebookのVRおよびAR製品担当ヴァイスプレジデントであるアンドリュー・ボスワース氏は2021年7月26日に、「Facebookが新しく開発しようとしている仮想空間『Metaverse(メタバース)』を専門とするチームを結成しました」とFacebookで発表した。

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOによると、Facebookが開発中のメタバースとは、「デジタル空間で人々が一緒に過ごせる仮想環境」とのこと。その実現に向けて、Facebookは同社のVRデバイスであるOculusに多額の投資を行っており、メタバース完成後はメタバース内のVR空間で取引されるデジタル製品やサービスから収益を得る考えだとしている。

ザッカーバーグCEOは投資家に業績を説明する電話会議の中で「今後数年間で、人々は当社をソーシャルメディア企業ではなくメタバースの会社だと見なすようになることでしょう」とコメントした。

○直近の株価

コロナショックでフェイスブックの株価が大幅下落したご、10年間で株価は約12倍になっており、S&P500と比べても圧倒的に大きく伸びていることがわかる。
ただ2018年に8700万人に及ぶユーザー情報流出問題が発覚。欧米諸国が個人情報保護の動きを強める中で業績が一時的に悪化した。2018年7月には1日で18%以上も減少するなどフェイスブックの株価は大幅に下落。

この個人情報流出により、米連邦取引委員会(FTC)がフェイスブックに対して50億ドル(約5400億円)と過去最大の制裁金を科されたこともあり、この時期の株価軟調でほとんど横ばいの状態であった。
ただ、その後はリブラ計画が暗礁に乗り上げたもののコロナショック後は株価は右肩上がりで上昇している。

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