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クラロワリーグ | 天GOD - 私のCRLベストゲーム

2018年5月11日、CRL Asia 2018 Season1 Week3の対OP.GG戦。
「咄嗟にあんなプレイが出せて、自分でも本当に驚いています」


2021年、『クラロワリーグ』の仕組みが大きく変わって、3年間続いた”チーム戦”の歴史が終わり、全く新しい”個人戦”の年間大会が始まることになりました。新しいものは新しいもので楽しんでいくにしても、そうは言ってもさびしいなあ、という感情がファン的には残っています。

そこで、このタイミングで、3年間のプロリーグ団体戦の思い出だったり”CRLでのベストゲーム”だったりという共通のテーマで、プロ経験者の方々にお話をうかがってみたいと思いました。

第2回は、天GOD(TENGOD)選手編です。

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天GOD(TENGOD) TwitterYouTubeMildom(3/1-)
「クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ(CRL)」で活躍した日本人プロ選手。日本のeスポーツチームPONOSに、2018年~2020年の3年6シーズン在籍した。PONOSでは特に2v2のスペシャリストとして活躍し、”天下一のジャイ使い”として名を馳せた。2018年と2020年の2度、公式世界大会「CRL世界一決定戦」へとチームを導いた。
趣味はゲーム。根っからのゲーマーであり、流行りのゲームは大体触れている。いつか実際に生配信もやってみたいそうだ。



1.プロリーグでチーム戦を闘ってきて

――クラロワリーグ(CRL)の仕組みが今年2021年に大きく変わって、3年間続いたチーム戦が終わり、個人戦のまったく新しいフォーマットになりました。既に1月の1v1マルチから2021年シーズンのプロセスは始まっています。
プロチームに所属してリーグ戦を闘ってきたプロ経験者として、この大きな変更をどう受け止めていますか?

天GOD
コロナ禍という事もありオフラインで集まる事が厳しい状況になったので、この運営の判断はとても素晴らしいものだと思います。ただチーム戦を3年間戦ってきたのが突然終わってしまうと、とても寂しいものを感じます。

しかし今年から新たなリーグが始まる事へのワクワクはもちろんあるので、今年はクラロワ一筋!とまではいけないですが、個人として出来る所まで挑戦してみたいと考えてます!

――プロチームの所属経験者として、チーム戦と個人戦にはどのような違いがあると思いますか?

天GOD
チーム戦に比べて個人戦は比較的プレッシャーがかからないのかなと思います。3年前の「日本一決定戦」の時は個人戦だったので、気楽に挑めたのを覚えています。

ただ、上位に行くに連れて負けられないという気持ちの強さはチーム戦同様のものになります。


――思い返せば、CRL初年度2018年はアジア3拠点を転戦、2019年は韓国開催で外国暮らし、2020年はコロナ禍のオンライン開催と、同じリーグ戦と言っても毎年コロコロ仕組みが変わる中で選手の皆さんはリーグを闘ってきました。必然的にクラロワでもクラロワ以外でも、いろいろな経験をすることになったことと思います。
いまふりかえってみて、あれは特に大変だったなーという思い出はありますか? 逆に、あれは最高に楽しかったなという思い出はありますか?

天GOD
大変だった事はとにかく食です。
自分は食べ物の好き嫌いが激しい方なので偏ったものしか食べれませんでした。(辛い、苦いNG)

楽しかった事はホテルでチームメンバーとお菓子をつまみながら会話していた事です。みかんさんが台湾のホテルでピスタチオばかり食べてた事は今でも覚えていますw(ピスタチオ坊や誕生秘話?)※1

(※1:”ピスタチオ坊や”というのは、みかん坊や選手が公表しているクラロワのサブアカウントのうちの1つの名前です。)

――2019年の韓国滞在ではフチ監督がコックを兼任されてたんですよね。フチ監督の手料理はいかがでしたか?

天GOD
とても美味しかったです。なるべく日本っぽい味にしてくれたので、とても韓国で生活してるようには思えないレベルでした。


――プロリーグの団体戦を長期間のシーズンにわたって行っていくと、練習などでチームメイトと過ごす時間も長くなりますし、試合会場などで対戦相手と顔を合わせる機会も少なくなかったと思います。
一番印象に残っているプレイヤーを1人挙げるとすればどの選手になるでしょうか? もし何かエピソードなどがありましたら、それもぜひ。

天GOD
チームメイトで言えばみかん坊やさんですね。とにかく自由で沢山振り回されましたw
練習試合もみかんさんのわがままで相手に迷惑をかけたこともありました。ただ、誰よりもクラロワ好きで、深夜にずっとマルチを回して力尽きたように寝ていたのが印象に残っています。

――天GOD選手とみかん坊や選手の2v2は息が合っていたし強かったです。普段からいい関係ができていたからこそのパフォーマンスだったのですね。

天GOD
そうですね。みかんさんの掛け声で攻めや守りを柔軟にできるようなデッキ構成にしていました。
扱いが繊細なカードを握らせるとみかんさんの上に出る人がいなかったので、ペアとして最大限彼の強みが引き立つデッキ構成がベストだと考えてました。


――天GOD選手は、3年間6シーズン、PONOS一筋でプロ選手活動されました。選手だけでなく、監督・コーチや他部門の選手、社員さんをひっくるめた「PONOS」というプロチームは、あなたにとってどういう場所でしたか?

天GOD
所属した時からずっと暖かく僕を支えて下さって、手取り足取り身の回りの事までやって頂きました。マネージャーさんは自分が東京で暮らすための手伝いをして下さったりと本当に感謝してもしきれません。
おかげさまで史上最高の環境でクラロワに打ち込めたと思います。


◆ ◆

2.私のCRLベストゲーム

――天GOD選手が出場したCRLの試合の中から、一番印象に残っている”ベストゲーム”を選ぶとしたら、いつのどの試合になりますか?

天GOD
1年目にDDaBOngTV(ダボンティービー)選手と戦った時の、スケアイスピでバレルを完封した試合です。

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――あのプレイですか! 2018年5月11日、CRL Asia 2018 Season1 Week3 対OP.GG戦のSet1 Game1ですね。
ダメージリードを取られてタワーの残りHPがわずか47、相手のゴブリンバレルを完封できる呪文も手札にない... という絶体絶命の場面で、スケアイスピでゴブリンバレルを完封するあのスーパー防衛を見せてからの劇的逆転勝利は、大きく話題になりました。

天GOD
振り返ってみても今からやろうとしてもなかなか出来ないプレイだったなと自分でも思います。

――あの試合を”ベストゲーム”に選んだ理由をおしえてください。

天GOD
咄嗟にあんなプレイが出せて、自分でも本当に驚いています。
あのプレイをきっかけにファンになって頂いた方もいたりしたので、1番印象に残っています。

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――あの試合に臨むにあたってどんな準備をされたのか、くわしくおしえてください。

天GOD
咄嗟に出来たので準備等は一切ないです。当時高回転クロスは練習していたのですが、本番は緊張で全くいいプレイは出来ていませんでした。ただ本当に最後の最後に奇跡が起きたように勝てました。

――普段からあの防衛テクニックを練習されていたわけではなかったのですね。

天GOD
本当に咄嗟にって感じでしたね。
クラロワをずっとプレイしてきてあの瞬間初めて出来ました。

――あの瞬間に初めて、ですか!

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――試合中はどんなことを考えていましたか? 勝敗を分けた要因は何だったのでしょうか?

天GOD
とにかく試合中考えていた事は目の前の相手に勝つという事です。

誰が相手でも得意なデッキでなるべくリラックス出来るようにしていました。ただ、普段立って固定された端末を使ってクラロワをする機会が無かったので違和感しかなかったです。

勝敗を分けたのは最後まで諦めない気持ちだと思います。

――勝った時の気持ちをおしえてください。

天GOD
自分でも「何が起こったんだ?」という感情の後に、「チームに貢献できた!」という達成感を感じました。
その時は本当に嬉しかったし、客観的にアーカイブを見直した時はこんな事してたのかとビックリしました。
喜びの大きさを伝えるとすれば、初めて天界に行った時と同じくらいですかね…

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3.プロ選手経験から得たもの

――「eスポーツ」という言葉が新語・流行語大賞のトップ10に入ったのは2018年のことで、男子中学生のなりたい職業2位が「プロeスポーツプレイヤー」になったのは2019年のことです。CRLはクラロワにとって初のプロリーグでしたが、そもそも日本ではプロゲーマーという存在自体が黎明期で今も発展途上のあたらしい職業です。
そんな「プロゲーマー・eスポーツ選手」を実際に経験してみて、なる前の予想通りだったことと、予想と違っていたことを挙げるとすれば、どんなことでしょうか?

天GOD
予想通りだった事は、会場で戦う緊張感です。プロになる前、「日本一決定戦」の決勝トーナメントの舞台で感じたものと似たような緊張でした。試合直前トイレに何度も行くぐらい緊張で腹痛になっていました。

予想と違った事は、ファンという存在のありがたさです。一人一人の応援がこんなに励みになるのかと痛感しました。負け続けた時も前向きなコメントを頂けたおかげで立ち直ることも出来ました。

――天GOD選手にとってファンとはどういう存在でしたか?

天GOD
TwitterのコメントやYouTubeのコメントで「頑張れ!」の一言や「ずっと応援してます!」などの言葉を見た時は気持ちの支えになりました。後はPONOSのファンミーティングで実際に会って「応援してます」と言われた時は、まだまだ頑張りたいと心から思いました。


――プロとしての活動には、公式戦や試合に向けた練習はもちろん、写真撮影や取材対応に、チームの動画撮影やイベント参加なども含まれ、多岐にわたり忙しかったことと思います。
プロ選手としてのありとあらゆる活動の中で、「今、自分はプロゲーマーをやっている!」ともっとも実感できたのはどんなときのどんなことでしたか? 

天GOD
報道陣のカメラの前で喋る時です。喋った言葉がそのまま記事になるのを見て、自分はプロとして今生きているんだという実感が湧きました。


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――プロとして活動していくということは常に結果を突き付けられることでもあるので、緊張感や重圧は大きいでしょうし、結果のよしあしによって周りの評価が180度かわるようなアップダウンも激しかったことと思います。そんな荒波の中でメンタルを元気に保ちつづけるというのは簡単なことではなかったはずです。
難しい状況や苦しい時に心がけていたことや、何が支えになって乗り越えることができたのか、についておしえてください。

天GOD
負け続きでメンタルがやられていても、試合の反省はしっかりとしていました。そして、自分は試合前に常に勝った時を想像しながら戦うようにしてました。

支えになったのはファンの方々の優しい言葉と親や親戚から届くメッセージです。

――天GOD選手の2020年シーズンに特に感じたのですが、勝っても負けても自分の出番があってもなくても試合後にていねいなツイートを発信されていたのが印象的でした。実際にお会いしたことはありませんが、まじめな人柄なのだろうなと伝わってくる気がしました。
親御さんや親せきの方から応援されるというのも心強いです。天GOD選手の頑張りが伝わっていたんですね。

天GOD
PONOSには表で活躍する選手が沢山いたので「自分は自分に出来ることをやろう」と心がけていました。その結果試合後のまとめツイートを代表してやっていた感じです。分かりやすく何が良かったか悪かったか伝える必要があると思いました。


――最後の質問です。2020年12月をもって、「プロゲーマー・eスポーツ選手」としての冒険にひと区切りがつきました。この冒険で持ち帰ることができた”宝”や、この経験から得られたものがあるとすれば、天GOD選手の場合、それは何でしょうか?

天GOD
自分が1番得られたものは人前で喋る事です。

小中高とリーダー的な役割から逃げていた部分がありました。それがプロという職を経験し、自分の言葉で今の考えや気持ちを発言する事が必要になった時に自然とその力が身についたと感じます。

まだまだ苦手な分野ですが、以前の自分とはまるで別人なくらい喋れるようになったと自負しています。YouTubeの存在も大きいのかな?と思います。

――2018年のプロ入り初期には天GOD選手の声の小ささがチームのネタの1つになっていたのを覚えています。あれは遠い過去の話になってしまいましたね!

天GOD
昔からボソボソ言ってて聞き取りづらいと言われてきたので💦
しかし人前で話す機会が増えたので、余裕を持って話す事が出来るようになってきたかも知れません。


――さいごに、読者のみなさんに宣伝したいことなどありますか?

天GOD
最近YouTubeを再開したので是非チャンネル登録してご覧下さい!

――みなさんよろしくお願いします! 本日はありがとうございました。■

【取材日:2021年1月27日。DMでのやりとりをインタビュー形式に編集】


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Information

天GOD(TENGOD)
・CRL: PONOS(2018-2020)
・Clan: トレジャーハンター
・Best Trophies: 8022
・Best Season: 172nd (2019/10)
・Titles: 「CRL Asia 2018 S1」優勝、「CRL世界一決定戦2018」ベスト4、「CRL Asia 2019 S1」優勝、「CRL世界一決定戦2020」3位
・SNS: TwitterYouTubeMildom(3/1-)


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Good game!



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