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クラロワリーグ | Rolaporon(ロラポロン)- 私のCRLベストゲーム

2018年12月1日。CRL World Finals 2018の準決勝、対Vivo Keyd戦。
「世界大会会場の幕張メッセで、12,000人のお客さんに見られながら試合したのは一生の宝です」


2021年、『クラロワリーグ』の仕組みが大きく変わって、3年間続いた”チーム戦”の歴史が終わり、全く新しい”個人戦”の年間大会が始まることになりました。新しいものは新しいもので楽しんでいくにしても、そうは言ってもさびしいなあ、という感情がファン的には残っています。

そこで、このタイミングで、3年間のプロリーグ団体戦の思い出だったり”CRLでのベストゲーム”だったりという共通のテーマで、プロ経験者の方々にお話をうかがってみたいと思いました。

第9回は、Rola(Rolaporon)選手編です。

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Rola(Rolaporon、ローラ) TwitterYouTube
「クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ(CRL)」で活躍した日本人プロ選手。日本のeスポーツチームPONOSで2018年の1年1シーズン、その後GameWithに移籍し1年2シーズンを経験した。プロでは1v1を主戦場とし、リーグ最速決着試合の勝利者としても知られる。また、ゲーム実況においては公式戦後に自身の試合を解説するふりかえり動画を発表したさきがけでもあった。
2021年現在、東京で美容学生として腕を磨く日々を送っている。クラロワ以外のゲームでは、Apexにハマっているそうだ。




1.プロリーグでチーム戦を闘ってきて

――クラロワリーグ(CRL)の仕組みが今年2021年に大きく変わって、3年間続いたチーム戦が終わり、個人戦の全く新しいフォーマットになりました。
プロチームに所属してリーグ戦を闘ってきたプロ経験者として、この大きな変更をどう受け止めていますか?

Rola
チームがなくなるのは寂しいですけど、
全プレイヤー平等にCRLへ挑戦できるので良いと思います。

いつかチーム戦と個人戦の両方あってほしいですね笑

――プロチーム所属の経験者として、チーム戦と個人戦にはどのような違いがあると思いますか?

Rola
選手目線では、チーム戦は仲間がいることの楽しさとモチベーションに繋がり、協力して練習や支えあう事ができます。

個人戦になると基本的に自分で全て判断するのでハードそうだったり、自分のように1人でいる時間も好きな人がいると思うので気が楽になる人もいると思います。

ファン目線では、チームの仲良さそうな瞬間や熱心な姿が見られなくなっちゃいそうです。

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――思い返せば、CRL初年度2018年はアジア3拠点を転戦、2019年は韓国開催で外国暮らし、2020年はコロナ禍のオンライン開催と、同じリーグ戦と言っても毎年コロコロ仕組みが変わる中で選手の皆さんはリーグを闘ってきました。
いまふりかえってみて、あれは特に大変だったなーという思い出はありますか? 逆に、あれは最高に楽しかったなという思い出はありますか?

Rola
僕の場合2018年は、(住んでいた)岡山→海外ではなく、岡山→東京(チームメイトと合流)→海外だったので大変でした。

そして、その3倍ほど過酷だったのが2019年の韓国生活です。最近は韓国が流行ってるので羨ましがる人は沢山いますけど、暮らすとなると話は変わりました。

日本食の圧倒的美味しさに気づかされましたし、乾燥しやすい気候や、初めての共同生活、ゲーム漬け生活だったので、いろんな原因が重なってストレスが溜まり、今まで全然できなかったニキビが酷くできてしまいました。帰国した時に親に心配されたのを今でも覚えてます笑

けど、そのおかげでスキンケアをするきっかけになったので今ではそんな経験もして良かったです。

――おお、そこで美容への道につながってきますか!

――プロリーグの団体戦を長期間のシーズンにわたって行っていくと、練習などでチームメイトと過ごす時間は非常に長くなります。
一番印象に残っているプレイヤーをチームメイトから1人挙げるとすればどの選手になるでしょうか?

Rola
チームメイトからは多分全員のエピソード言えるくらいあるんですけど、みかん坊やさんとのエピソード話します。

2018年に海外への出航前日にみかん坊やさん宅へお邪魔していて自分1人泊めて頂いたんですけど、早朝から空港集合なのに爆睡して電話かけられても起きず、みかんさんをマンション前で待たせた挙句2人とも飛行機に遅れるところでした。あの飛び起きたときは、この世の終わりかと思いました。

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――みかんさん宅にRolaさんお一人で泊まって朝起きれなかった、ってことですか? 海外便の飛行機に遅刻だなんて想像しただけでぞっとします笑

Rola
そうです!笑
みかんさんの荷物が全部家にあったので2人揃って危なかったです。


――相手チームの選手たちとも試合会場などで何度も顔を合わせるうちに、敵でありつつ好敵手のような存在になっていったのではないかと思います。対戦相手から1人印象的だった選手を挙げるとすれば誰ですか?

Rola
対戦相手からだと、Line選手です。

試合になると握手してゲーム始まりますけど、裏でも挨拶していて笑顔だったのでとても好印象でした。

撮影日の昼休憩では一緒にご飯食べていて、頑張って日本語で話してくれるので、自分も簡単な韓国語でコミュニケーションとって仲良くなりました。好印象すぎてまた会いたいです。

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――Line選手にそんな一面が!

Rola
彼が得意とするデッキが一般的に嫌いな人の多い遅延クロスってだけでコメント欄が酷かったですけど、彼はとても良い人なんです。


――Rola選手は1年1シーズンをPONOSで、その後1年2シーズンをGameWithでプロ選手活動されました。選手だけでなく、監督・コーチや他部門の選手、社員さんをひっくるめてのプロチームですが、2つのチームはあなたにとってどういう場所でしたか?

Rola
PONOSは知っての通りワイワイとしたチームで、自分にとっても”原点にして頂点”で、日本最強チームだったと今でも思ってます。

GameWithは初移籍だったので新しいチームの戦術や雰囲気を体感して、徹底したデータ分析の戦い方だったり、とても良い経験をさせて頂いた場所でした。

▽PONOS(2018 S2)

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▽GameWith(2019 S1,S2)

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◆ ◆

2.私のCRLベストゲーム

――Rola選手が出場したCRLの試合の中から、一番印象に残っている”ベストゲーム”を選ぶなら、いつのどの試合になりますか?

Rola
2018年世界大会のJavi選手との試合です。

――2018年12月1日。日本でおこなわれたクラロワリーグの公式世界大会、CRL World Finals 2018の準決勝、Vivo Keyd戦ですね。

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――あの試合を”ベストゲーム”に選んだ理由をおしえてください。

Rola
負け試合ですけど、世界大会でしたし、一番印象深かったのでベストゲームに選ばせて頂きました。

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――あの試合に臨むにあたってプロとしてどんな準備をされたのか、くわしくおしえてください。

Rola
オーダーが決まったのは開始約2時間前です。

その頃相手の情報が全然なかったので、「シード決定トーナメント」で行われたデッキ幅に合わせて穴を突けそうなのをチームで相談して選択しました。

使い込んでいたデッキを選んだので、練習量は具体的には分からないです。

――対戦相手、CRL LATAM(中南米)代表チーム Vivo Keydの大会前の注目度はそれほど高くありませんでした。ですが、シード決定トーナメントでエースのJavi14選手が6チーム中1位の好成績を上げ、「あの選手は何者だ?!」と注目度が急上昇していましたね。


――試合本番のことをくわしく教えてください。試合中はどんなことを考えていましたか? 勝敗を分けた要因は何だったのでしょうか?

Rola
「絶対勝つ、絶対勝つ。」って言いながら試合してました。

勝敗を分けた要因は、デッキの穴を逆に突かれていたり、Game2のスケラ戦の時では予想外のタイミングでライトニング使われたのを覚えてます。

こちらはうまくいかず、相手には逆に予想されていたと言われて...。試合後インタビューあったんですけど1人泣きながら受けていて、思い返せば恥ずかしいです笑

PONOS時代の自分は1vs1全勝で、デッキ選択やデッキ幅の広さ、プレイに自信あったんですけど、何もかも世界大会でやられました。

――2018年シーズン2にRola選手はゲーム勝率76.5%(13W-4L)でアジア1位の好成績でした。そんなRola選手をJavi14選手が圧倒してしまった訳で、ファンの僕らも彼のプレイには”驚愕”の2文字でした。
あと、Rola選手にはクールなイメージを持っていたので、「絶対勝つ、絶対勝つ。」と自分に言い聞かせていたというお話は意外でした。

Rola
感情をあまり表に出しませんが、内に秘める心は熱いです。


――Game1は、Javi14選手が遅延ゴレ、Rola選手がIT入りディガポイでした。当時ネットでライブ観戦していてたまげたのは、Rola選手のディガーをゆうに4度もJavi選手がユニットで受けてきたことです。当事者としてあれはどう感じていたのでしょうか?

Rola
ディガーを使い込んでいるので、当てられづらい位置を熟知しているつもりなんですけど、凄く当てられたので、

「まじかよ全部当ててくるやん、ダメージ通らんやんけ」

って思ってました笑

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――Game1からGame2への間は、タイムアウトや機材トラブルなどで25分以上のインターバルが開いてしまいました。セコンドに就いたみかん坊や選手・ライキジョーンズ選手と何を話したかや、開始までの待ち時間に何を考えていたか覚えていますか?

Rola
Game1のゴレが想定外だったので次のデッキ選択を一緒に考え直したり、リラックスさせてくれようとして頂いたのを今でも覚えています。

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――Game2は、Javi14選手がロイジャイオーブン、Rola選手がボウラースケラでした。予想外のライトニングというのは、スケラのターゲットを橋前で消しに来た最初の一発でしょうか? あの試合はJavi14選手の左右攻めの圧も凄かったです。

Rola
記憶力ないので試合内容まではあまり覚えていませんが、おそらくそうです。

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――当時すこし話題になったRola選手の試合中の笑みについてなんですが、僕は「笑ってしまうくらい相手が上手すぎた」という苦笑いかなと思って観ていました。
実際のところ、あれはどういった笑みだったのでしょうか?

Rola
多分それもありますが、一番は戦ってるのが心底面白くて笑っていました。

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◆ ◆ ◆

3.プロ選手経験から得たもの

――ここからは”プロ選手経験から得たもの”についてお聞きしていきたいと思います。

Rola
それはかなりありそうなので、1つをあげると人間関係の大切さです。

元々1人でいる時間が好きだったり、他人と仲良くなりたい、好かれたいって感情がなかったので、だんだん人と距離ができたりして良いことなかったので深く悩んで大切さに気づかされました。


――「eスポーツ」という言葉が新語・流行語大賞のトップ10に入ったのは2018年のことで、男子中学生のなりたい職業2位が「プロeスポーツプレイヤー」になったのは2019年のことです。CRLはクラロワにとって初のプロリーグでしたが、そもそも日本ではプロゲーマーという存在自体が黎明期で今も発展途上のあたらしい職業です。
そんな「プロゲーマー・eスポーツ選手」を実際に経験してみて、なる前の予想通りだったことと、予想と違っていたことを挙げるとすれば、どんなことでしょうか?

Rola
プロリーグがいつかなくなってしまう事は想定していました。

予想外だったのは、プロになってみたら本当に夢がある世界だったってことでした。


――プロとしての活動には、公式戦や試合に向けた練習はもちろん、写真撮影や取材対応に、チームの動画撮影やイベント参加なども含まれ、多岐にわたり忙しかったことと思います。
プロ選手としてのありとあらゆる活動の中で、「今、自分はプロゲーマーをやっている!」ともっとも実感できたのはどんなときでしたか? 

Rola
試合です。

(△「WCG 2019 - CRL Invitational」


――プロとアマチュアの大きな違いの1つは、注目度の大きさとファンの存在だと思います。Rola選手にとってファンとはどういう存在でしたか?

Rola
ファンがいるだけで心底嬉しくて特別な存在なので、一人一人を大切にしてました。

特に嬉しかったのは手紙を頂いたり、サインをお願いされたり、街中で声かけられる事です。今では気づかれなくなりましたけど!笑

――街中で声をかけられたことが! それは東京ででしょうか、地元の岡山ででしょうか?

Rola
岡山です。
田舎あるあるだとよく言われる遊ぶ場所がイオンしかなく、嬉しいことにイオン行く度に声かけて頂けてました。

――おおー。自分も田舎なのでイオンの立ち位置はよく分かります笑


――プロとして活動していくということは常に結果を突き付けられることでもあるので、緊張感や重圧は大きいでしょうし、結果のよしあしによって周りの評価が180度かわるようなアップダウンも激しかったことと思います。
難しい状況や苦しい時に心がけていたことや、何が支えになって乗り越えることができたのか、についておしえてください。

Rola
チームメイト同士で支えあっていたり、Twitterでは温かいメッセージ頂けていたので心の支えになっていたと思います。

――最後の質問です。「プロゲーマー・eスポーツ選手」としての冒険で持ち帰ることができた”宝”や、この経験から得られたものがあるとすれば、Rola選手の場合、それは何でしょうか?

Rola
世界大会会場の幕張メッセで、12,000人のお客さんに見られながら試合したのは一生の宝です。

これを超える緊張感は一切ないので、自分に余裕などもできました。

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――本日はありがとうございました! ■

【取材日:2021年2月11日。DMでのやりとりをインタビュー形式に編集】


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Information

Rola(Rolaporon、ローラ) 
・CRL: PONOS(2018)、GameWith(2019)
・Clan: ホワイトルシアン❤、RoIand
・Best Trophies: 7848 
・Best Season: 40th (2017/03)
・Titles: 「RPL」APAC III 2nd, 「闘会議2018クラロワ日韓戦」日本代表,「CRL世界一決定戦2018」ベスト4
・SNS: TwitterYouTube


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Good game!



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