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クラロワリーグ | Kitassyan(きたっしゃん)- 私のCRLベストゲーム

2020年9月20日。CRL East 2020 Fall Season Week6 Match34の対TTG戦。
「相手が開幕ロリババ切ってきてニヤニヤしてました」


2021年、『クラロワリーグ』の仕組みが大きく変わって、3年間続いた”チーム戦”の歴史が終わり、全く新しい”個人戦”の年間大会が始まることになりました。新しいものは新しいもので楽しんでいくにしても、そうは言ってもさびしいなあ、という感情がファン的には残っています。

そこで、このタイミングで、3年間のプロリーグ団体戦の思い出だったり”CRLでのベストゲーム”だったりという共通のテーマで、プロ経験者の方々にお話をうかがってみたいと思いました。

第4回は、きたっしゃん(Kitassyan)選手編です。

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きたっしゃん(Kitassyan) TwitterYouTube
「クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ(CRL)」で活躍した日本人プロ選手。日本のeスポーツチームFAV gamingに2019年~2020年の2年4シーズン在籍し、2021年からは同チームのストリーマー部門に転籍した。
アジア屈指の2v2スペシャリストとして知られ、2019年のシーズン2にはけんつめしとのペアで”2v2セット10勝1敗”という驚異的な勝率を記録した。公式世界大会「CRL世界一決定戦」に2年連続出場(2019、2020)。
熱烈な”おひさま”(日向坂46のファン)としても知られる。京都府出身。




1.プロリーグでチーム戦を闘ってきて

――クラロワリーグ(CRL)の仕組みが今年2021年に大きく変わって、3年間続いたチーム戦が終わり、個人戦の全く新しいフォーマットになりました。
プロチームに所属してリーグ戦を闘ってきたプロ経験者として、この大きな変更をどう受け止めていますか?

きたっしゃん
チーム戦の時みたいに皆んなで一つの事に向かって全力でぶつかる事が無くなるのは悲しいですし、何より一緒に集まってプレイする事が無くなるのは寂しいです。

でも決まった事やから新しいリーグ戦に期待って感じです。

――プロチームの所属経験者として、チーム戦と個人戦にはどのような違いがあると思いますか?

きたっしゃん
選手目線で言うと、選手の読み合いや2v2が無いしKOHみたいに色んな選手へのデッキを考えなくていいのは楽かなと思ったんですけど、自分が負けたらそこで終わりなのでチーム戦よりデッキ選択が鍵かなと思います。

チーム戦の2v2みたいに事前準備とPS(プレイスキル)でなんとかならないのが最近の環境やと思っています。

もちろんPSも大事やけど、ある一定まで行ったら”お互いに上手いから相性の通りになる”って感じなので運も必要なのかなと思います。


――思い返せば、CRL初年度2018年はアジア3拠点を転戦、2019年は韓国開催で外国暮らし、2020年はコロナ禍のオンライン開催と、同じリーグ戦と言っても毎年コロコロ仕組みが変わる中で選手の皆さんはリーグを闘ってきました。
いまふりかえってみて、あれは特に大変だったなーという思い出はありますか? 逆に、あれは最高に楽しかったなという思い出はありますか?

きたっしゃん
僕はどちらも断然(2019年シーズン2の)韓国での2ヶ月間滞在です。

大変だったのはタクシーです。
韓国語話せないので住所見せて英語で話すんですけど、スタジオ(試合会場)は有名なのか割と思い通りに行くんですけどスタジオから家に帰る時が地獄で。
住所見せてもわからんへんくて「話せへんからとりま行くで」みたいな感じで「okok」言うてたら、隣町くらいまで連れられてめっちゃぼったくられました。

――試合終わりで疲れて帰るところのタクシーなのに!笑

きたっしゃん
最高と言うか改めて振り返ってみると、韓国生活が何気に楽しかったな〜と後から思います。

滞在してる時は早く日本帰りたーいとか不満言ってたけど、やる事全てが初めてで新鮮でした。
休日に街に出かけたり、スーパーに行って自炊したり、夜練習終わりにけんつめしとジム行ったりとかも普通の事が地味に楽しかったです。

――青春そのものですね!


――プロリーグの団体戦を長期間のシーズンにわたって行っていくと、練習などでチームメイトと過ごす時間も長くなりますし、試合会場などで対戦相手と顔を合わせる機会も少なくなかったと思います。
一番印象に残っているプレイヤーをチームメイトから1人、対戦相手から1人挙げるとすればどの選手になるでしょうか?

きたっしゃん
チームメイトは、けんつめしです!
プロなりたてで何もわからなかったけど、何から何まで全て教えてくれたりめっちゃお世話になりました。ここでは語りきれないくらいありますね。

この動画(↓)で色々けんつと語ってます!

――その動画は公開されてすぐ拝見しました! 中でも、チーム加入当初のきたっしゃん選手が「けんつさん!」と呼んでいたところ、先輩のけんつめし選手が「けんつでええよ、けんつで」と言って即「わかった、けんつ」と返したエピソードがやっぱり好きです。

きたっしゃん
別チームならBenzer選手です。
これ言って良いのか分からないですが・・・、対戦した印象と言うよりトイレで出会った時に手を洗わず出ていったんですよね。これはビックリしてめっちゃ覚えてます笑。

――・・・。
おっと、想定外の回答が来て一瞬頭が真っ白になりました。広いアジアのいろいろな文化・背景の選手が集まっているリーグならではの実話、ですね。
配信を観ているだけでも、試合中にガムを噛む選手、すぐヘッドフォンを外す選手、1v1でも大声でしゃべりながらプレイする選手、負けても相手に拍手を贈れる選手・・・、実に色々な選手がいたことを思い出します。


――きたっしゃん選手は、2年間4シーズン、FAV gaming一筋でプロ選手活動されました。選手だけでなく、監督・コーチや他部門の選手、社員さんをひっくるめた「FAV gaming」というプロチームは、あなたにとってどういう場所でしたか?

きたっしゃん
成長させてくれる場所です。色んな事を教えて頂いたり、連れて行ってもらったり学ぶことが多かったです。


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2.私のCRLベストゲーム

――きたっしゃん選手が出場したCRLの試合の中から、一番印象に残っている”ベストゲーム”を選ぶとしたら、いつのどの試合になりますか?

きたっしゃん
クラロワリーグ イースト2020フォールシーズンのMatch34のTTG戦です。

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――昨シーズンの試合ですか。2020年9月20日。CRL East 2020 Fall Season Week6 Match34の対TTG戦ですね。


――あの試合を”ベストゲーム”に選んだ理由をおしえてください。

きたっしゃん
フォールシーズンのKOH初出場で2タテし、2v2でも勝ちでMVPを初めて取れたからです。

――そうでした! マッチMVP受賞も初でしたし、きたっしゃん選手のKOH初3タテにもあと一歩だった試合でした。

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――あの試合に臨むにあたってどんな準備をされたのか、くわしくおしえてください。

きたっしゃん
オーダーが決まったのは2日か3日前で、使うデッキは自分のデッキに刺さる遅延スケラのメタでババ小屋スケラ(メタのメタ)にしました。
そのデッキは割と前から練習してました。
対策は皆んなでやってましたね。

――「遅延スケラ」デッキが来るだろう読みの「ババ小屋スケラ」デッキ採用、ですか。その読みがズバっと的中した訳ですね! 

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――試合本番についてくわしく教えてください。試合中はどんなことを考えていましたか? 勝敗を分けた要因は何だったのでしょうか?

きたっしゃん
開幕ヒースピ切ったら、相手がロリババ切ってきてニヤニヤしてました。ロリババ入ってるデッキで待ってくるのは相性良いのしか無かったからです。デッキ読みは完璧でした。
予想通りでしたが最後の試合は外れました。

――きたっしゃん選手が初手ヒールスピリットで、ほぼ同時に相手が初手ローリングバーバリアンだったのは、KOH1人目のHouyi選手戦ですね。初手交換の時点で勝利を確信されていたとは!

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――KOHの1戦目2戦目と同じデッキをつづけて勝ったあと、3戦目でデッキを変えて負けてしまいましたが、変えた理由を覚えていますか?

きたっしゃん
三戦目はその場の流れでした。


――試合に勝った時の気持ちをおしえてください。

きたっしゃん
リーグ史上のベスト3には入るくらいうれしかったです。

――ちなみに、ベスト3のあと2つは何でしょうか?

きたっしゃん
例えただけで特にありません。
でも、ベスト1はロサンゼルスの世界大会で勝った時です。

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(△「クラロワリーグ 世界一決定戦 2019」。2019年12月8日)


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3.プロ選手経験から得たもの

――「eスポーツ」という言葉が新語・流行語大賞のトップ10に入ったのは2018年のことで、男子中学生のなりたい職業2位が「プロeスポーツプレイヤー」になったのは2019年のことです。CRLはクラロワにとって初のプロリーグでしたが、そもそも日本ではプロゲーマーという存在自体が黎明期で今も発展途上のあたらしい職業です。
そんな「プロゲーマー・eスポーツ選手」を実際に経験してみて、なる前の予想通りだったことと、予想と違っていたことを挙げるとすれば、どんなことでしょうか?

きたっしゃん
あんまり予想していなかったので強いて言うならば、ゲーム漬けの毎日なのかなーとは思っていたんですけどその通りでした。
割とずっとクラロワしてました。息抜きはもちろんしてましたがゲームはクラロワしかしてませんでした!

後はゲームしてお金稼げて楽やな〜みたいなのをたまに言われるんですけど、そんなに現実は甘くないです。結果を出し続けないと仕事無くなりますからね。
実際ゲームは楽しいしいくらやっても苦ではないですが辛い事もたくさんありますし、ハートが強くないと難しいかなと思います。

――プロとしての活動には、公式戦や試合に向けた練習はもちろん、写真撮影や取材対応に、チームの動画撮影やイベント参加なども含まれ、多岐にわたり忙しかったことと思います。
プロ選手としてのありとあらゆる活動の中で、「今、自分はプロゲーマーをやっている!」ともっとも実感できたのはどんなときでしたか? 

きたっしゃん
プロゲーマーとしてイベントに参加する時はめっちゃ感じますね。有名な方とのイベントでコラボ(日向坂46さんとかすゑひろがりずさんなどなど)した時は自分はプロゲーマーなんだと改めて感じます。
後は地元に帰った時とかはめっちゃ有名人いじりされるのでめっちゃ感じますね笑笑。

――プロゲーマーとして頑張っている延長線上で、憧れのグループと仕事で共演できるなんて最高じゃないですか。


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(△「【高校生ぃぃeeeee!】#出ようよステージゼロ​ 〜eスポーツの甲子園」。テレビ東京。2020年6月21日)

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(△「【 クラロワ 】すゑひろがりずがけんつめし&kitassyanとクラッシュ・ロワイヤルを攻略してみた」。2020年11月20日)


――プロとアマチュアの大きな違いの1つは、注目度の大きさとファンの存在だと思います。きたっしゃん選手にとってファンとはどういう存在でしたか? 

きたっしゃん
ファンの皆さんは僕の原動力ですね。皆んながいるから僕が活動出来てるので欠かせない存在です!

ファンとのやり取りと言うか全体的にコメントやリプライ、dmなどで応援メッセージだったり反応してくれる方々はめちゃくちゃ嬉しいです!!
特に試合前に声援を送ってくれて、終わった後に勝ち負け問わずに讃えてくれる方々は大事にしたいなと思っています!
なのでいつもコメントや反応してくれる方々の名前とかはほぼ覚えています(記憶力良いので!)

僕は反応してくれないと悲しんじゃうかまってちゃんなので、皆んなこれからもよろしくうううう!!!!

――きたっしゃん選手の発言は常にファンへの感謝を意識してますよね。名前を覚えてもらえるというのもファン的には最高のご褒美だと思います!


――プロとして活動していくということは常に結果を突き付けられることでもあるので、緊張感や重圧は大きいでしょうし、結果のよしあしによって周りの評価が180度かわるようなアップダウンも激しかったことと思います。
難しい状況や苦しい時に心がけていたことや、何が支えになって乗り越えることができたのか、おしえてください。

きたっしゃん
僕はめっちゃプラスに考えてました! 中々結果出せずに苦しい時に色々言われましたが、お前ら見とけよってずっと思って励んでました。

支えになったのはファンの皆さんの声援です。
どんな時でも励ましてくれて次こそは次こそは待ってくれる方の為にも頑張らなきゃと思って頑張れましたし、その方達に恩返しする為にもっともっと頑張らないといけないと思っています。


――最後の質問です。2020年12月をもって、「プロゲーマー・eスポーツ選手」としての冒険にひと区切りがつきました。この冒険で持ち帰ることができた”宝”や、この経験から得られたものがあるとすれば、きたっしゃん選手の場合、それは何でしょうか?

きたっしゃん
強いハートです。

元々めっちゃネガティブでちょっとの事に凄い敏感だったけど今はめっちゃポジティブになりましたし、大抵の事なら何も思わなくなりましたし、人の前に立ったりするのはめっちゃ嫌いだったんですけど今は好きでもないですが嫌いではないです!

ポジティブになったのは多分けんつめしの影響かなと思っています。彼は凄い前向きで考え方が大人で自分自身凄い変わりました。

――いまの姿からは「元々」を全くイメージできません。とても意外でした。きたっしゃん選手の前向きな姿勢は、プロ経験などを通じて身につけていかれたものだったのですね。


――さいごに、読者のみなさんに宣伝したいことなどありますか?

きたっしゃん
今年はYouTubeに力入れて、別ゲームもしていこうかなと思っています。
目指せチャンネル登録者5万人です!

――みなさんよろしくお願いします! 本日はありがとうございました。■

【取材日:2021年2月6日。DMでのやりとりをインタビュー形式に編集】


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Information

きたっしゃん(Kitassyan)
・CRL: FAV(2019-)
・Clan: Kitassyanふぁみりぃ
・Best Trophies: 8308 
・Best Season: 14th (2019/8)
・Titles: 「FAV gaming CUP 2019」ベスト8, 「CRL世界一決定戦2019」ベスト4, 「同2020」ベスト8
・SNS: TwitterYouTubeMildom


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Good game!


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