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クラロワリーグ | だに(DANI) - 私のCRLベストゲーム

2019年11月2日、CRL Asia 2019 Season2 Playoffs FINAL。BO5制のSet3。
「あの試合を選んだのは、自分の成長した姿を披露できたと思うからです」

2021年、『クラロワリーグ』の仕組みが大きく変わって、3年間続いた”チーム戦”の歴史が終わり、全く新しい”個人戦”の年間大会が始まることになりました。新しいものは新しいもので楽しんでいくにしても、そうは言ってもさびしいなあ、という感情がファン的には残っています。

そこで、このタイミングで、3年間のプロリーグ団体戦の思い出だったり”CRLでのベストゲーム”だったりという共通のテーマで、プロ経験者の方々にお話をうかがってみたいと思いました。

第1回は、だに(DANI)選手編です。

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だに(DANI) TwitterYouTube
「クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ(CRL)」で活躍した日本人プロ選手。日本のeスポーツチームFAV gamingに、2018年~2020年の3年5シーズン在籍した。2019年のシーズン2にはチーム初のアジア準優勝に貢献し、公式世界大会「CRL世界一決定戦2019」へとFAVを導いた。
趣味は野球観戦。そして、BiSHとEMPiREの曲を聴くこと。ゲームではクラロワだけでなく、プロスピAの腕前も相当な域に達している。


1.プロリーグでチーム戦を闘ってきて

――クラロワリーグ(CRL)の仕組みが今年2021年に大きく変わって、3年間続いたチーム戦が終わり、個人戦のまったく新しいフォーマットになりました。既に1月の1v1マルチから2021年シーズンのプロセスは始まっています。
プロチームに所属してリーグ戦を闘ってきたプロ経験者として、この大きな変更をどう受け止めていますか?

DANI
誰にでもチャンスがあるのが公平でいいと思います。

――プロチームの所属経験者として、チーム戦と個人戦にはどのような違いがあると思いますか?

DANI
今回の個人戦だと誰でも挑戦できますが、チーム戦であった逆転や、チーム・選手の成長などのドラマが減っちゃうかなと思います。


――思い返せば、CRL初年度2018年はアジア3拠点を転戦、2019年は韓国開催で外国暮らし、2020年はコロナ禍のオンライン開催と、同じリーグ戦と言っても毎年コロコロ仕組みが変わる中で選手の皆さんはリーグを闘ってきました。必然的にクラロワでもクラロワ以外でも、いろいろな経験をすることになったことと思います。
いまふりかえってみて、あれは特に大変だったなーという思い出は何ですか? 逆に、あれは最高に楽しかったなという思い出は何ですか?

DANI
毎週日本と韓国を飛行機で行き来して、時間と体力が削られるのがしんどかったです。※1

勝てない時期が続いた時(2018年デビュー直後)が1番しんどかったですが、その分初めて勝てた時が凄い嬉しかったです。※2

(※1:2019年のシーズン1、FAVは12チームで唯一試合地の韓国に滞在せず、試合のたびに日韓を行き来するハードスケジュールでした。)
(※2:初勝利は、2018年9月8日、CRL Asia 2018 シーズン2 Week3の対OGN戦のKOH3タテ。これはCRLでの日本選手初3タテでした。)


――プロリーグの団体戦を長期間のシーズンにわたって行っていくと、練習などでチームメイトと過ごす時間も長くなりますし、試合会場などで対戦相手と顔を合わせる機会も少なくなかったと思います。
一番印象に残っているプレイヤーを1人挙げるとすれば、どの選手になるでしょうか?

DANI
けんつめし選手です。
苦しい時期に励ましてもらったり、韓国やけんつめし選手の家で料理を作ってもらったりしてお世話になりました。

――だに選手は、3年間5シーズン、FAV gaming一筋でプロ選手活動されました。選手だけでなく、監督・コーチや他部門の選手、社員さんをひっくるめた「FAV gaming」というプロチームは、あなたにとってどういう場所でしたか?

DANI
貴重な経験をさせていただき、自分を成長させていただいた場所です。


◆ ◆

2.私のCRLベストゲーム

――だに選手が出場したCRLの試合の中から、一番印象に残っている”ベストゲーム”を選ぶとしたら、いつのどの試合になりますか?

DANI
2年目シーズン2アジア決勝のDandelion選手とのロイジャイ対決です。

――あの一戦ですか! 2019年11月2日、CRL Asia 2019 Season2 FINAL。BO5制のSet3。FAVにとって初のアジアの決勝戦でしたね。ロイジャイのミラー対決と言うと、勝負のかかったGame3でしょうか?

DANI
その試合です。

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――BO5マッチの0-2という、もう後のない状況で登場して意地を見せたあのSet3の勝利には本当に痺れました。
だに選手にとっては、特に出場機会が限られた難しいシーズンだったのに、最後の最後の最も重要な場面で最高の結果を出された訳ですから!
ドズルさんの切り抜き動画でもピックアップされましたし、公式ドキュメンタリーでもあのシーンが取り上げられましたね。


――あの試合を”ベストゲーム”に選んだ理由をおしえてください。

DANI
自分の成長した姿を披露できたと思うからです。

――大納得しました。

――あの試合に臨むにあたって試合前にどんな準備をされたのか、くわしくおしえてください。

DANI
オーダーがいつ決まったのは覚えてませんが、数日前には決まってたと思います。
使うデッキは、相手が得意なメガナイト枯渇を意識して決めました。
対策としては、おそらく5日ぐらいグラチャレをやって体に染み込ませるようにしてました。

――対戦相手がDandelion選手だったのは予想通りでしたか?

DANI
相手チームのオーダーは予想通りでしたが、2v2(Set1)のポイズンBANは驚きでした。

――この日のBO3でだに選手は、ディガーWB・ジャイディガー・ロイジャイオーブンの3デッキを使われました。この3つのデッキで行くことはあらかじめ決めていたのでしょうか? 

DANI
おそらく5つ組んでその中から相手のデッキを見て選んだと思います。
(ファルチェデッキを見たので、3戦目にラヴァは選択肢から消えました)

――Game1の前には舞台上で心臓の辺りをさするようなシーンもありました。やはりいつもに増して緊張がすごかったのでしょうか?

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DANI
緊張はあったので落ち着いて集中するためです。

――試合中はどんなことを考えていましたか? 勝敗を分けた要因は何だったのでしょうか?

DANI
試合中は練習してきたことを信じてプレイしてました。
勝因としては、JACK選手から学んだ許容をすることで勝てました。
1戦目に得意なメガナイト枯渇に勝てたのが大きかったと思います。
プレイ面では、トリトン読みのバルキリーが特にうまくいきました。

――トリトン読みのバルキリーというのは、延長残り2分45秒のプレイですね?

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――Game1の後にはOGN側が、Game2の後にはFAV側がタイムアウトを取る重苦しい試合展開でした。タイムアウトのとき、おこめちん監督やけんつめしキャプテンとどんな会話をしたのか覚えていますか?

DANI
会話は覚えてないです。

――「この試合勝った!」と思った瞬間、逆に「負けた!」と思った瞬間はありましたか?

DANI
トリトン読みからの2周目ロイジャイでいけると思いました。
ヤバイとは思いました。

――試合に勝てた時の気持ちをおしえてください。

DANI
勝った時は次に繋ぐことができたのと、応援してくれるファンやチームの期待に応えられて良かったと思いました。

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――勝利の儀式である”だにポーズ”にもいつも以上に力が入っていたように見えました。けんつめし選手が勢いよく飛びついてきた抱擁シーンも熱かったです。
会場は韓国の観客がほとんどのアウェイでしたが、どんな雰囲気になったか覚えていますか?

DANI
嬉しくて力が入りました。
試合中は集中しててほとんど聞こえませんでしたが、勝った後は歓声が凄くて最高でした。

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◆ ◆ ◆

3.プロ選手経験から得たもの

――「eスポーツ」という言葉が新語・流行語大賞のトップ10に入ったのは2018年のことで、男子中学生のなりたい職業2位が「プロeスポーツプレイヤー」になったのは2019年のことです。CRLはクラロワにとって初のプロリーグでしたが、そもそも日本ではプロゲーマーという存在自体が黎明期で今も発展途上のあたらしい職業です。
そんな「プロゲーマー・eスポーツ選手」を実際に経験してみて、なる前の予想通りだったことと、予想と違っていたことを挙げるとすれば、どんなことでしょうか?

DANI
3年で濃い経験や思い出ができたのはよかったですが、終わったらその分学業が3年遅れて響きそうで辛いです。※3

(※3:だに選手は大学を休学してプロ活動に専念してきました)

――プロとしての活動には、公式戦や試合に向けた練習はもちろん、写真撮影や取材対応に、チームの動画撮影やイベント参加なども含まれ、多岐にわたり忙しかったことと思います。
プロ選手としてのありとあらゆる活動の中で、「今、自分はプロゲーマーをやっている!」ともっとも実感できたのはどんなときのどんなことでしたか? 

DANI
試合中が実感できます。

――だに選手はアマチュア時代から大会荒らしとして有名でしたし、プロ時代も公式戦以外の招待大会などに参加された経験がおありと思います。そういった大会で試合をするのと、プロの舞台で試合をするのと、違いがあるとすれば何が違っていたのでしょうか?

DANI
最初の1勝さえできれば自信がつくので、そこまで変わらないと思います。
会場の雰囲気に慣れることですね。

――プロの試合、しかも観客がいると緊張はするけれど、それがまたプロでしか味わえないものでもあって良かった。ということでしょうか?

DANI
そうです!


――プロとアマチュアの大きな違いの1つは、注目度の大きさとファンの存在だと思います。だに選手にとってファンとはどういう存在でしたか? また、特に嬉しかったファンとのやりとりや交流があればお聞かせください。

DANI
苦しい時に支えてくれる存在です。
3タテした時に多くのDMをいただいたのが嬉しかったです。

――プロ初勝利のKOH3タテといい、”3タテ”と言えばだに選手でしたし、”3タテからのだにポーズ”はだに選手の真骨頂でしたね。ファンとしてもリーグでの盛り上がりどころの1つでした。


――プロとして活動していくということは常に結果を突き付けられることでもあるので、緊張感や重圧は大きいでしょうし、結果のよしあしによって周りの評価が180度かわるようなアップダウンも激しかったことと思います。そんな荒波の中でメンタルを元気に保ちつづけるというのは簡単なことではなかったはずです。
難しい状況や苦しい時に心がけていたことや、何が支えになって乗り越えることができたのか、についておしえてください。

DANI
とにかく練習をやり込むことです。
ファンにいい姿を見せたいので練習を頑張れたと思います。

――同じプロ選手から見ても練習量の多さに定評のあっただに選手がそうおっしゃると、言葉の重みを感じます。


――最後の質問です。「プロゲーマー・eスポーツ選手」としての冒険で持ち帰ることができた”宝”や、この経験から得られたものがあるとすれば、だに選手の場合、それは何でしょうか?

DANI
始めよりは話せるようになったことです。

――プロ入り直後のだに選手からは、将来YouTubeを始めることになろうとは恥ずかしながら全く予想できませんでした。YouTubeのトークでも日々成長されていて、陰ですごい努力をされているのだな、すごいなあと拝見しております。

DANI
YouTubeやるとは想像出来ませんでした。
Supercellの方にサポートしていただけて感謝してます。

――本日はありがとうございました。■

【取材日:2021年1月26日。DMでのやりとりをインタビュー形式に編集】


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Information

だに(DANI)
・CRL: FAV(2018-2020 S1)
・Clan: アトミックボム
・Best Trophies: 8089, 8243
・Best Season: 59th (2020/7)
・Titles: 「CRL世界一決定戦2019」ベスト4
・SNS: TwitterYouTube


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Good game!


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