マガジンのカバー画像

本のある日常

44
書店員として働く私が、本のことについて書いたエッセイ集です。
運営しているクリエイター

#休日

マンガを貪り読みたくなるときもある

「マンガを貪り読みたい」 その衝動に駆られた私は、ヨダレを垂らしながら近所のツタヤに向かった。 歳を重ねるにつれて理性が強くなり、休日でも何か生産的なことをしないと気がすまないようになってしまった。 例えば、堅苦しい本を読んだり、一日中外出をしたり。 常にどこか焦っていて、自分でも何をこんなに焦っているのかわからない。 そんな日々を積み重ねていると、どうしようもなく無為な時間を過ごしたくなるときがやってくる。 私はそんなとき、ひたすらマンガを読むようにしている。 それも堅

毎日本屋に行ってしまう

毎日本屋に行ってしまう。 書店員なんだから、仕事の日は当然本屋に行く。 だけど、休日も気がついたら本屋に足が向かっている。 これについては自分でも不思議に思い、「どうして私は休日にまで本屋に行くんだろう」と真剣に考えたことがある。 そして、出た結論は「本との出会いを楽しみたいから」だった。 同じ本でも本屋によって、その本への”意味”が異なる。 ある本屋では大事な本が、ある店ではその他大勢の本として扱われる。 そしてそれは本のディスプレイに表れる。 大事に思われている本は平

本が好きだと町が楽しくなる

私は社会人になってから本を読むようになった。 本を読むようになってから変わったことはたくさんあるのだが、その中でもうれしかったのが、”町”が楽しくなったことだ。 本が好きになると、当然のように本屋に行く頻度が増える。 そうなってくると、行きつけの店、ちょっと遠いけどそれでも通いたくなる店、入るのにちょっと勇気のいる老舗というように、本を通した町との関わりができてくる。 最近、近くの町に小さな古本屋ができた。 その町は、私が住んでいるところからは何駅か離れており、普段は行く