第85回 投資CF・財務CFの間接法

前回は、「営業CF」の間接法を説明しました。
今回は、残りの「投資CF」、「財務CF」の間接法を説明します。
どちらも、「営業CF」ほど複雑ではないので、直ぐに理解できると思います。

「投資CF」は、現在手元にある資金を、将来のより大きな資金に生まれ変わらせるために行うものです。
ですから、基本的に多ければ多い方が良いので、マイナスが大きい方が良いとなります。
そして、「投資CF」に分類されるのは、主に固定資産や有価証券の購入が該当します。
その「投資CF」は、以下の数式で求めることが出来ます。

➀有価証券の購入(-)    or 売却(+)額
②貸付金の貸付(-)     or 回収(+)額
③土地等不動産の購入(-)  or 売却(+)額
④その他固定資産の購入(-) or 売却(+)額
⑤繰延資産の増加(-)    or 減少(+)額

➀有価証券の購入額は多ければ多いほど良い
有価証券は、株式や国債などが該当します。
株式や国債を購入することを投資と言うのですから、購入額が「投資CF」に位置づけられるのは当たり前のことです。

②貸付金の貸付額は多ければ多いほど良い
貸付金は、つまり金貸しです。
他者に貸せば利息が取れるので、貸付は投資とみなされ、「投資CF」に位置づけられます。

③土地等不動産の購入額は多ければ多いほど良い
企業が土地や建物などの不動産を購入するのは、明確な目的を持って行うはずです。
例えば、会社の事務所にしたり、工場にしたり、販売店舗にしたりするために購入するはずです。
これらは全て、将来の売上高の増加に寄与するはずなので、投資とみることが出来、「投資CF」に位置づけられます。

④その他固定資産の購入額は多ければ多いほど良い
これは、土地建物と同じ考えです。
機械やパソコン等、複数年に渡って利用する目的で購入するものは、将来の費用負担を軽減し、「売上原価」を押し下げる働きがあるので、投資とみることが出来、「投資CF」に位置づけられます。

⑤繰延資産の額は多ければ多いほど良い
繰延資産とは、企業が支出した費用のうち、支出したサービスや品物の効果が1年以上に及ぶもののことです。
主に開発費や開業費が、これに当たります。
これも土地建物と同じように考えて良いので、投資とみることが出来、「投資CF」に位置づけられます。

このように細分化することによって、企業がどのような形で投資したのかが一目瞭然で分かります。
同じ投資でも、有価証券などの購入なら、本業に対して好影響は少ないと思います。
また、土地不動産の購入も、余り良い記憶は無いです。
自社ビルを建てた会社は、その後の経営が上手く行かないというアノマリーがあるくらいです。
やはり、投資と言うなら、機械などの純然たる設備投資が良いと思います。

続いて「財務CF」です。
「財務CF」は、本業と関係ない部分のキャッシュの増減を表しています。
その「財務CF」は、以下の数式で求めることが出来ます。

➀借入金の増加(+)   or 減少(-)額
②自己株式の取得(-)  or 処分(+)額
③増資の実施(+)  額
④配当金の支払い(-)額

➀借り入れをすれば増え、返済をすれば減る
銀行や金融機関からキャッシュを借り入れれば増加し、返済すれば減少するのは当たり前ですね。

②自己株式を取得すれば減り、処分すれば増える
自己株式を取得すれば、当然ながらキャッシュは減ります。
また、取得した自己株式を処分、つまり売り出しすればキャッシュは増えます。
但し、取得した自己株式を消却、つまり無かったものにしても、キャッシュは増えません。

③増資をすれば増える
新株発行などの増資は、新たに刷った株式を売ることなので、当然ながらキャッシュは増えます。

④配当金を支払えば減る
配当金は、企業が株主に対してキャッシュを配るのですから、当然減ります。

「財務CF」に関しては、単純に増えていれば良い、減っていれば良いというものではありません。
新規事業を立ち上げるために資金を集めていたら、「財務CF」はプラスになります。
また、余剰金で借入金を返済していれば、「財務CF」はマイナスになります。
つまり「財務CF」は、その増減の理由が、「営業CF」や「投資CF」以上に、重要となる訳です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?