第71回 4583カイオムバイオS

私が抽出した銘柄の中で、今期から来期に向けて、最も売上高の伸びが大きい銘柄は、6085アーキテクツSJです。
これは既に紹介したので、今回は第2位の4583カイオムバイオSを紹介しようと思います。

4583カイオムバイオSは、創薬ベンチャー企業です。
はい、この時点で、私は4583カイオムバイオSを投資対象から外します。

いつ頃だったでしょうか!?
ITの後はバイオだと言われて、バイオ関連企業が買われた時期がありました。
4974タカラバイオがその時の中心銘柄なのですが、結局、株価的には大きく伸びていません。
時折、突発的に買われることはありますが、直ぐに売り戻されています。
これは、創薬ベンチャー企業の特徴で、研究開発が主であるため業績が安定せず、株価的にも右肩上がりにならないという現実があります。

他にも、4563アンジェスなんかは、目も当てられない状況ですね。
大阪大学発の創薬ベンチャー企業で、東証マザーズの「赤字上場」第1号という鳴り物入りの企業でした。
この頃は、ITベンチャー中心に人気化していたので、将来性のあるベンチャー企業なら赤字でもOKにした訳です。
が、そんな波に乗って投資したら、惨憺たる有様ですね。
2003年には5,595円という最高値を付けたものの、今の株価は45円。
ざっと1/100という状況です。

新型コロナ感染症が拡大した時、大阪市が4563アンジェスに対して、新型コロナの創薬開発費を援助したと発表がありました。

- 大阪市は税金をドブに捨てた -

そう思った経験の長い投資家は多かったと思います。
結果的にも、4563アンジェスの開発は失敗に終わったことから、税金をドブに捨てたという理解は正解だったと思います。

- 創薬は「high risk=high return」の事業なのだから、税金をドブに捨てたは言い過ぎじゃない!? -

そう思う人がいるかと思いますが、「high risk=high return」だからこそ、実績を確認して「risk」を「hedge」するべきなのです。
大阪市が何の実績もない4563アンジェスに投資したのは、単に大阪大学発のベンチャー企業だからでしょう。
血縁や地縁を優先にして「risk」に目を瞑るのは、最も避けるべき行為です。
税金は、市民にとって大事なお金なのに、それを意識していないからこそ、「hedge」することなく、「high risk=high return」の勝負に出たのでしょう。

さて、かなり話が逸れてしまいましたが、こういう事情で私は創薬ベンチャー企業を信じていません。
それでも、例外はあるかもなので、4583カイオムバイオSの業績を確認してみます。

     売上高  営業利益 経常利益 純利益 1株益(円) 1株配(円)
単20.12   480  -1,283  -1,291  -1,293  -36.1   0
単21.12   712  -1,334  -1,329  -1,479  -36.7   0
単22.12   630  -1,258  -1,243  -1,242  -28.3   0
単23.12   682  -1,205  -1,217  -1,220  -24.6   0
単24.12予  1,700    -200     -200     -200    -3.5   0
単25.12予  2,800   800      800       800   14.2   0

前期までが赤字で、今期から売上高が大幅に増えて黒字化するという予想です。
12月決算企業なので、第1四半期の数字が出ています。

     売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 対上期進捗率
22.01-03  128  -486  -491  -492  -11.7   -
23.01-03  169  -225  -227  -227   -4.7   -
24.01-03  129  -322  -303  -304   -5.6   -

第1四半期の数字ですが、業績改善の兆しはまだ見えていないですね。
第1四半期の発表と同時に公表されている補足説明書では、4502武田薬品との契約で年間の売上高は720百万円になると書かれています。
その中で、第1四半期分が129百万円とあったので、決算書と一致します。

そうなると、残りの10億円ですが・・・・・。
実は、4583カイオムバイオSは通期業績予想を発表していません。

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当社の業績予想は、創薬事業における現時点で合理的な業績予想の算定が困難であるため、創薬支援事業の数値(売上高720百万円)のみ公表しております。
それに伴い、全社の業績予想についても記載しておりません。
なお、直近に公表されている業績予想からの修正はありません。
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つまり、業績予想の数字は、会社四季報編集者の予想ということになります。
うん、やっぱり買えないですね。

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