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中小不動産株に優良銘柄アリ? 割安株の探し方 vol.9

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 さて、vol.1の記事では、私独自の以下の基準で22業種105社をピックアップしました。

(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下
(3)実績PBRが1倍以下
(4)配当利回りが4%以上
(5)1単元が100万円以内

 ただし、ピックアップされた105社は業界の偏りが大きく、それぞれの業種特有のリスクがないか自分自身で分析することが重要ということでしたね。

 vol.2〜vol.4にかけて商社株、vol.5~7にかけて銀行株、vol.8では建設株について分析を行いましたが、本記事では、4番目に多かった(8社)不動産株について書いていきたいと思います。

①不動産業の概要について

 不動産業の企業は大きく3つに分類することができます。

内閣府は不動産業を以下の3つに分類しています。

①不動産仲介(ディペロッパー業及び管理業を含む)
②住宅賃貸
③不動産賃貸(住宅賃貸以外)

 これらの①から③のうち特定の業務を専門的に行う不動産がある一方で、すべてをこなす総合不動産も数多く存在します。

※ディベロッパー業
 不動産の販売や仲介、管理と言った役割ではなく、売主や事業主の立場にある者のことを意味します。
 
【ディベロッパーの商流上の立ち位置】
 顧客 ⇄ 不動産販売会社 → ディベロッパー(不動産業)→ ゼネコン(建設業) → 下請け(工務店等)

 最大手ですと、三菱地所、三井不動産、住友不動産などが有名ですね。

 さて、ではこちらの前提を踏まえて、各種指標が割安であった不動産業銘柄を見ていきましょう。

②割安な不動産株の内容は? 

 vol.1の記事でピックアップした不動産株8社の内訳は以下のようになっております。

 なし

―――――――――――時価総額1,000億円の壁

 なし

―――――――――――時価総額500億円の壁

(3284)フージャースホールディングス   389億円 ※地方都市のマンション開発
(8935)FJネクスト 382億円 ※首都圏の投資用ワンルームマンション(『ガーラ』)
(3299)ムゲンエステート 164億円  ※首都圏の投資用不動産、区分所有マンション
(8999)グランディハウス 145億円 ※北関東の戸建て住宅販売
(8869)明和地所 139億円 ※関東地盤のマンション

 ―――――――――――時価総額100億円の壁 

(3271)THE グローバル社 65億円 ※マンション、戸建て、ホテル
(3294)イーグランド 46億円 ※首都圏地盤のマンション・戸建て中古再生
(3467)アグレ都市デザイン 27億円 ※東京・神奈川地盤のデザイン性高めた中価格帯戸建て分譲

  一覧で見てみると、全て時価総額500億円以下の中小不動産会社であることがわかりますね。 

 ちなみに、最大手クラスの不動産会社の指標は以下のようになっております。 

<時価総額1兆円超>※総合不動産業
(8802)三菱地所  PER 20.6倍、PBR 1.60倍 
(8801)三井不動産 PER 15.5倍、PBR 1.13倍 
(8803)住友不動産 PER 13.2倍、PBR 1.53倍 

 最大手ディベロッパーは、PERも10倍をゆうに超え、PBRも1倍を超えていますね。

 比較するとよくわかりますが、不動産業界全体が割安なわけではなく、中小不動産(特にマンション系)のみが割安な指標になっていることがわかります。

③中小不動産株(主にマンション系)の業績推移

(3284)フージャースホールディングス 一株利益は19.3期で半減後苦戦。配当は増配傾向。
(8935)FJネクスト 一株利益右肩上がり。増配継続。
(3299)ムゲンエステート 一株利益は17.12期をピークに右肩下がり。配当は維持。
(8999)グランディハウス 一株利益緩やかに右肩上がり。増配継続。
(8869)明和地所 一株利益17.3期をピークに苦戦。配当維持。
(3271)THE グローバル社 一株利益18.6期は好調だったがその他は低調。緩やかに増配傾向。
(3294)イーグランド 一株利益横ばい。配当維持。
(3467)アグレ都市デザイン 一株利益横ばい。減配傾向。

 総括としては、一口にマンション系と言っても業績は明暗が分かれているようです。

 ただ、一株利益が右肩上がりの見込みでもPERなどの指標が割安になっている銘柄もあることから、業界特有のリスクがありそうです。

④なぜ中小不動産株(主にマンション系)の投資指標は割安なのか?

 それでは次に中小不動産株が割安な理由を見ていきましょう。大きく以下の2点になります。

(1)人口減による需要低下リスク

 今更言うまでもないことではありますが、現在の日本は人口の減少が続いております。

 ※参考『人口 10年連続減少 外国人は増え総人口の2%超』
 
 人口が減少するとマンションが売れにくくなるのは誰でも分かりますよね。

 ちなみに、首都圏であっても駅から5〜7分ほど離れると販売に苦戦しており、首都圏の初月契約率は27年ぶりの低水準となっております。

 また、特に中小不動産の場合は海外展開をしていないので、収益の軸を海外に移すことも容易ではありません。

 これは海外展開しやすい食料品メーカーとは大きな違いですね。

(2)金融政策変更による住宅ローン金利の上昇リスク

 銀行業の記事でも触れましたが、今の日本は低金利政策を取っており、長らく低金利の時代が続いております。

 低金利政策の場合は住宅ローン金利が下がるので、不動産を売りたい側にとっては追い風です。

 ただし、いつまでこの低金利が続くかはわかりませんし、国が金融政策の方針を変えるなどで景気回復より先んじて金利が上昇するなんてことがあれば、個人の住宅購入も減少するでしょう。

 以上、2点を見てきました。
 特に①の人口減が強烈ですね。実際に空室数も年々増加していますし、構造的な問題なので改善はすぐには難しいと思われます。

⑤結局、中小不動産株は買わない方がいいの?

 ここまで、中小不動産株(特にマンション系)がなぜ割安なのかを見てきました。

 マンション業界全体としては構造上の問題で今後も苦戦が続きそうです。

 ただ一方で、各社同様に業績見込みが悪化して株価が下落トレンドなのかと言うと、そういうわけでもありません。

 一口にマンションと言っても地盤となっている地域次第では人口増加しているエリアもありますので、むしろ同じ業界において明暗が分かれていると考えられます。

 その証拠に、③で挙げた通り、各社業績及び配当の推移にかなり差があります。
 特に、(8935)FJネクスト、(8999)グランディハウスの2社は買いを検討できる推移だと考えられます。

 ただし、FJネクストは直近の値上がりで当初のスクリーニング条件である配当利回り4%を割ってしまっているので、さらに分析を行うのであれば(8999)グランディハウスの方が良いかと思います。

⑥まとめ

 以上、簡単に中小不動産株が割安な理由を見てきました。
 ほとんどがマンション系でしたが、その株価は明暗が分かれていると言えそうですね。

 次回の記事では、割安不動産株のうち最も買い検討できそうだった(8999)グランディハウスついて詳細分析をしていきたいと思います。


※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)

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