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中小ゼネコン株って実際どう? 割安株の探し方 vol.8

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 ※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)

 

 さて、vol.1の記事では、私独自の以下の基準で22業種105社をピックアップしました。

(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下
(3)実績PBRが1倍以下
(4)配当利回りが4%以上
(5)1単元が100万円以内

 ただし、ピックアップされた105社は業界の偏りが大きく、それぞれの業種特有のリスクがないか自分自身で分析することが重要ということでしたね。

 vol.2〜vol.4にかけて商社株、vol.5~7にかけて銀行株について分析を行いましたが、本記事では、3番目に多かった(11社)建設株について書いていきたいと思います。

①建設業界の3区分について~「ハウスメーカー」「工務店」「ゼネコン」~

 建設業の企業は大きく3つに分類することができます。

(1)ハウスメーカー
 住宅建設を行う企業になります。家の販売が目的で、実際の施工は下請けの工務店が行うというパターンが通常になります。

(2)工務店
 ハウスメーカーが家を販売する企業であるのに対して、工務店は家を建てる企業と言えます。公共施設や商業施設など大規模な案件をこなす工務店もありますが、大部分の工務店は地域密着型の個人宅の施行のみを行っています。

(3)ゼネコン
 元請として各種の工事を一式で受注し、工事全体のとりまとめを行います。

 さて、ではこちらの前提を踏まえて、各種指標が割安であった建設業銘柄を見ていきましょう。

②割安な建設株の内容は? 

 vol.1の記事でピックアップした建設株11社の内訳は以下のようになっております。

(1820)西松建設 1,199億円 ※大手ゼネコン

―――――――――――時価総額1,000億円の壁

(1887)日本国土開発 ※中堅ゼネコン

―――――――――――時価総額500億円の壁

(1870)矢作建設工業  ※中堅ゼネコン
(1852)淺沼組  ※中堅ゼネコン
(1898)世紀東急工業 
(1805)飛鳥建設 ※中堅ゼネコン
(1813)不動テトラ ※中堅ゼネコン
(1448)スペースバリューホールディングス  
(1847)イチケン  中堅ゼネコン

 ―――――――――――時価総額100億円の壁 

(1814)大末建設  ※地方ゼネコン
(1972)三晃金属工業 ※屋根の建設

  一覧で見てみると、ほとんど時価総額100~500億円の地方・中堅ゼネコンであることがわかりますね。 

 ちなみに、最大手クラスの建設会社の指標は以下のようになっております。 

<時価総額1兆円超>
(1925)大和ハウス工業 PER   9.51倍、PBR 1.48倍 ※ハウスメーカー
(1928)積水ハウス   PER 11.11倍、PBR 1.27倍 ※ハウスメーカー
(1878)大東建託    PER 11.09倍、PBR 3.73倍 ※ゼネコン

<スーパーゼネコン>
(1801)大成建設    PER 8.5倍、PBR 1.22倍
(1803)清水建設    PER 8.0倍、PBR 1.05倍
(1802)大林組     PER 7.1倍、PBR 1.01倍
(1812)鹿島建設    PER 8.2倍、PBR 0.98倍

 最大手ハウスメーカーは、PERも10倍前後、PBRも1倍を超えていますね。
一方でスーパーゼネコンクラスでも若干指標が割安であることがわかります。

 比較するとよくわかりますが、建設業界全体が割安なわけではなく、ゼネコン(特に中小ゼネコン)のみが割安な指標になっていることがわかります。

なぜ中小ゼネコン株の投資指標は割安なのか?

 それでは次に中小ゼネコン株が割安な理由を見ていきましょう。大きく以下の3点になります。

(1)オリンピックが開催される2020年以降、需要が頭打ちになる可能性があるため
 これはイメージがしやすいかと思いますが、五輪効果で特に東京を中心に建設業界の受注は順調でしたが、2020年をピークに右肩下がりになるのではと懸念されています。

(2)企業側が業績予想を低めに出してくるため
 建設業は業界全体として、利益が大きく出ていることを隠したがる傾向にあります。これは、儲けすぎていると国民からのバッシングが大きくなることを恐れているためと考えられています。

(3)東京都関連の公共工事で、価格が相場よりも高すぎると批判が出ているため
 東京五輪や築地新市場関連の工事で、相場よりも高いのではないかと問題視されており、こうしたニュースがゼネコン業界全体にネガティブな影響を与えています。

 以上、3点を見てきましたが、中小特有のリスクというよりはゼネコン業界全体のリスクで、規模の小さい中小はより影響を受けやすいため、指標が割安になっていると考えられます。

結局、建設株は買わない方がいいの?

 ここまで、建設株がなぜ割安なのかを見てきました。

 特に東京五輪後の需要がリスク要因として大きいと考えられます。
建設業といったオールドビジネスは銀行業と同様、あまり収益構造が変わりにくいので、現状のPERが割安とは言え、楽観できないと言えます。

 中小ゼネコンですと特に、収益性の劇的な改善は難しいと思われるので、個人的には中小ゼネコン株は触れない方がいいと感じます。

まとめ

 以上、簡単に建設株が割安な理由を見てきましたが、やはり業種特有の事情(リスク)がありました。

 特に、割安として抽出された中小ゼネコン株はなかなか今の水準で買うのはリスクが高いと考えられます。他の銘柄を探す方が無難でしょう。

 次回の記事では、vol.1の記事で抽出された業種のうち、建設業の次に多かった不動産業の銘柄ついて簡単に見ていきたいと思います。


※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)

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