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おじさん投資術初心者編:覚えておこう

 こんにちは。
 いよいよ新NISA始まりますね。初めて投資する人の中には「株って儲かるらしい」「テスタ君みたいになりたい」といった軽い気持ちでやってみようという人も多いと思います。実際、証券会社の広告を見たら、これからは投資をやるのが当たり前のように感じて、知識がないのに「乗り遅れたらいけない」なんて人もいるかもしれません。
 おじさんはたまに職場で株のレクチャーをやっているのですが、初心者の間に新NISAブームのようなものが来ているのを見て、少し心配しています。

 今回は少し趣向を変えて、初心者に注意してほしいこと、忘れないでほしいことをお伝えしたいと思います。なんだか夢のない内容が多いのでご承知おきください🥹。

初心者は子羊

 初心者の皆さん、狼に狙われています。実は、何を隠そうおじさんも狼の一人です。
 狼たちはいま、新NISAが始まって初心者が買いそうな株に狙いを定めて仕込んでいます。「高配当株」「お宝銘柄」そんな風に言われる銘柄をいま買い集めています。
 どういうことでしょうか?
 初心者が一斉に株を始めたら、みんな遅れてなるものかと評判のいい株を買いますよね。人気銘柄にドッと買い注文が集まります。そして株価が上がります。狼たちが待っているのはこの瞬間です。
 狼たちは安値で買った株を高値で売ります。そして株価は下がります😢。

お金の奪い合い

 株取引というのは、買う人と売る人がいないと成立しません。つまり、株券という商品を個人間で売ったり買ったりしていることを忘れないでください。
 「安く買えて得したな」と思っている人に株券を売った相手は、「高く売れて得したな」と思っているのです。必ず価値が上がり続ける株券があったら、換金の必要があるとき以外は誰も売りませんよね。自分がこれからその株で得をする(値上がり)と考えているとき、売った相手はこれからその株で損をする(値下がり)と考えているのです。
 あなたの読みが当たって株で100万円儲けたとします。その100万円はどこから来た100万円でしょうか。そうです、その100万円は自然に発生した100万円ではなく、どこかの誰かが100万円失っているから手に入るのです。
(相手は1人とは限りません。100人が1万円失っているのかも。)

 お分かりいただけたでしょうか。乱暴な言い方ですが、株市場は情報戦によるお金の奪い合いなのです。情報戦に負けたらお金は取られます😢。

 株で儲けるには、企業が頑張って収益が増えて配当金をもらうという方法もありますが、これは後ほど説明します。

機関投資家にはかなわない

 2023年12月15日、東京証券取引所の3市場(プライム、スタンダード、グロース)の株価合計額は約4兆円上昇して合計額は約858兆円となりました。1億人が全員858万円を株投資するとこの額になりますが、そんなことないですよね。株式市場の主役は、巨額のお金を動かしている機関投資家と呼ばれる人たちだということは知っておいてください。銀行への預貯金、保険会社への保険金、つみたてNISAで買う投資信託、といった大量の資金が株市場やその他の市場(債券、不動産、Gold、先物など)で運用されていて、個人が投資する額の数十・数百倍のお金が動いています。(東証上場株式の個人投資家の保有率は20%以下です。)

12/15の東証時価総額(©日経新聞)

 個人投資家の人気を集めて少しずつ株価が上がっている株があったとします。しかし、ある情報をつかんだ機関投資家がやってきて、個人の数十倍の株を売りに出せばアッという間に株価は下がります。逆も同じです。株価操作は法律で禁止されていますが、正当に大量の売買をすることは何の問題もありません。
 機関投資家はこれを仕事にしているプロですので、あなたよりもずっと多くの情報を持っています。株取引は情報戦と言いました。勝てるわけがないのです。
 機関投資家には海外の投資家も含まれます。円安ドル高の時は日本株が安いですから、今のうちに買ってやろうとどんどん買います。先日のnote(おじさん株投資術初心者編:銘柄選び)で少し触れましたが、株価には政策や世界情勢まで織り込まれているので、個人の力で機関投資家に太刀打ちするのは難しいですよね。
 では子羊のあなたはどうするか。機関投資家がいない株はほとんどないので、機関投資家の影響が緩和されるような出来高の大きい株を選んだり、機関投資家がどう動くのかを読んだり、機関投資家に対抗できる知識と情報を得ることで対抗できますよね。機関投資家は狼の群れのようなものです。初心者のうちは絶対に戦ってはいけない相手です。

高配当株の誤解

 株式会社からは株主に配当金が出ます。高配当銘柄が人気ですが、概ね株価の3.5%以上の年間利回りだと高配当と呼ばれます。株で儲けるには配当金というもう一つの方法がある、と先ほど書きましたが、配当金はお金の奪い合いから得られるお金ではなく企業の利益から出てきたお金ですので、株を持っていれば(ほぼ)確実にもらえるお金で、損をするリスクがないように見えます。
 ところが、配当金をもらうために株を保有している間も株価は変動しています。1日で株価が3%程度変動することはよくあることですので、1年間頑張って保有した株で5%の配当金をもらっても、株価が買ったときの価格から5%を超えて下がっているケースはいくらでもあって、これではトータルでは損をしていることになってしまいます。それなら同じ資金を使って1年間トレードした方が初心者でもずっと儲かりますよね😊(おじさん投資術初心者編:トレード方法)。

 普通預金の利率が0.001%という世の中ですので配当金の利回りは超魅力的に見えますが、これは「株を売らなければ銀行預金に比べてはるかにお得」というだけのことであって、お金持ちだけに意味があります。

普通預金金利(MUFJ)

 3億円あれば年5%利回りの高配当銘柄を保有しておくと、配当金だけで1200万円(税支払後)の収入が得られます。FIREを達成したようなお金持ちはすでにお金の奪い合いをしなくてもよいので、株価が多少下がろうが関係ないし、当面は使う予定のない資金を長期保有しておく手段として意味があるのです。
 お金を大きく増やそうとしている段階の投資初心者は、高配当株を買っても資金は全然増やせませんし、おじさんは、それなら年利回り7%くらいの投資信託をやった方がよいと思っています。
(※ どれくらいのペースで資金を増やしたいかにもよりますが、年15%の利益率で複利運用できれば資金は5年で2倍になりますので、数百万円の資金で目標をこの辺りに設定される方が多いという前提にしています。高配当株投資を否定しているわけではないですよ😅。)

 但し、優良銘柄が高配当銘柄であることは多いので、銘柄を選んだ結果が高配当銘柄だったというケースはたくさんあります。高配当株を買わない方がよいという意味ではありませんので誤解されませんように😉。

利回りが高ければ資金が増えるのも早い

そのうち病

 初心者にありがちな過ちの一つ、それが「そのうち病」です。おじさんも株を始めたころはこの病気に罹っていました😅。
 この病気は「そのうち株価が上昇するはず」と思い込んでしまう症状が特徴で、自分に都合の良い情報ばかりを集めてきて、自分に言い聞かせてしまう病気です。
 買った株の株価が上昇したとします。永久に上がり続ける株はありませんので、時が経てば株価が下がり始めます。「そのうち病」に罹ると「そのうちもっと上がるだろう」と思って保有し続けてしまいます。
 逆に株価が下がったとします。「そのうち病」に罹っていると「そのうちまた上がるだろう」と保有し続けてしまいます。下がったらさらに追加で買うという重症患者のやりがちな手法(ナンピンと言います)もあります。これを素人がやると失敗することがほとんどです。
 狼たちから見るとどうでしょう。株価が下がり続けて損が出続けているの に売らずに持っていてくれるなんて、最高のごちそうですよね。

 下がってきたら売りましょう。株価が急激に変動することはほとんどありませんので、売った後に上がる兆候が出たら買い戻せばよいのです。例えば、いま1000円の株が500円まで下がって800円まで戻ったとします。ずっと持っていた「そのうち病」患者は200円のマイナスですが、900円まで下がったときに売って600円で買い戻した人は100円のプラスです。途中で売買するだけで、1000円の株が1100円になったのと同じ効果になりました。先に書いたように、株保有をずっと続けても問題ないのはお金持ちだけです。
 買った後は「上がったら売る」「下がったら切る」これが資産を増やす鉄則です🥸。

相場を眺めているのは株投資ではない

 もう一つ、初心者にありがちな過ちがあります。それは相場全体が上昇して利益が出ているときに「自分って株のセンスがあるのかも」と思ってしまうことです。もちろん、相場を読んで利益が出ている場合はセンスあり😊です。でも、日経平均が全体的に上昇していて含み益が増えているだけの場合、残念ながらそれはあなたの実力ではないのです。
 逆もそうで、相場が下げているだけなのに「自分は株投資に向いていない」と思ってしまうのも間違いです。
 相場の値動きそのものはあなたの実力とは関係ありませんよね。株を買ったらそれで満足してしまう人がいますが、売買せずに相場の動きで一喜一憂しているのは「宝くじ当たらないかな」と願っているのと同じです。相場の動きを見て、タイミングよく売買するのが株投資ですよ😉。このタイミングを読む力と、どの銘柄にいくら投資するのかという戦略を立てる力があなたの実力です。
 おじさんの先生は、よくドッジボールに例えていました。ドッジボールをやっているはずなのに逃げ回るだけで、気が付いたらチームが勝ったり負けたりしている。これはあなたの実力ではなく、どちらのチームに入っていたかだけで決まる運ですよね。自分でボールを取る・投げる、それが株投資!

最初に何を考えるべきか

 ここまで読まれて「株投資は打ち出の小槌ではない」ことはお分かりいただけたと思います。おじさんは、将棋や麻雀と同じで相手のいるゲームに近いと思っています。情報戦に負ければ狼たちの餌食になってしまいます。

 今ある資金を「何年後までにどれくらい増やしたい」という目標を定めて、そのためには年利でどれくらいの利回りが必要で、自分に適している株投資方法がどんなものなのか「よく調べて、納得して、自分で決める」ことが何よりも重要です。そして「慌てて株を始める必要はない」ことも知っておいてください。

 ブームに乗って株に手を出したけど損をしてしまった、というようなことにならないように、参考にしてもらえたらうれしいです😊。
 大切な資金を着実に増やしてください。

ではまた!😊


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