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本は題名が9割

『心配事の9割は起こらない』
なんて簡潔で分かりやすいタイトルなのだろう。

私は心配性である。
旅行のときは余分に着替えを持っていくし、
駅のホームでも(いま誰かがぶつかってきたら線路に落ちてしまうかもしれない……)などと考えたりする。
しなくていい心配をし、余計に備えてしまいがちだ。

だが心配しすぎるのも疲れる。
疲れたときにこの本の題名を思い出すと少し落ち着く。

『心配事の9割は起こらない』

本当にそのとおりである。
旅行で余分な着替えが役立ったことはほとんどないし、
幸いホームで転落したこともない。
考えすぎていたな、と落ち着くことができる。

ただ、この本には欠点がある。題名が完璧すぎるのである。

題名に全てが込められているので買っていないし、立ち読みすらしていない。何度も本屋で見かけることで、この言葉が刷り込まれていった。
本屋に足を運ぶと売れ筋の本を何度も見かける。地元の本屋で、出先の本屋で、ああどこに行っても見かけるからよく売れている本なのね、そして心配事の9割は起こらないのね、と心に染み込んでいったのだ。
心配事の9割は起こる、という題名じゃなくて良かった。そんな世の中であって溜まるか。

それにしても、私のような心配性の人間に向けて書かれた本のはずだが、買わなくても満足できてしまう題名というのも完璧すぎる。
私が自分で思っているより楽天家なだけかもしれないが。



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