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【ライブレポ】FRUITS ZIPPER 2nd ANNIVERSARY 超めでたいライブ~NEW KAWAII~

武道館って、こんなに広かったんだ。

地下アイドルオタクのかべのおくです。


2024年5月19日、日本武道館で行われた「FRUITS ZIPPER 2nd ANNIVERSARY 超めでたいライブ~NEW KAWAII~」に、行ってきました。

この物語、まだまだ先があるな。


彼女たちにとっては念願の武道館公演。しかしそれすら通過点と思わせるほど、伸びしろをまだまだ感じさせる内容でした。詳しくは各種ネット記事に載っていると思うのでそれは参照してもらうとして、本noteはあくまで一オタクの感想を記すものとします。


概要

FRUITS ZIPPER2周年を記念するライブは、日本武道館での2days。チケットは前売りで完売。

公演に合わせてグッズも各種用意。ちびぬいが販売されるのはふるっぱー(ファンの方)のニーズを的確に捉えているなと。


会場前から物販には長蛇の列。武道館の表を通って、裏側まで並んでいた。

物販列


自分は並ばなかったが、中には「3時間並んだ」との投稿も…しかし開場してからグッズを手に自撮りしている人も沢山見られて、「みんな、ちゃんとグッズ買ってるの!?」などと少し驚いた。

運営側は、30分おきにグッズの完売状況をアナウンスするという神対応ぶり。


FANLIGHTの当日配布は、思ったよりもスムーズ。

以前の専用ペンライトのサイズをイメージしていたので、思ったよりも大きめ。

FANLIGHTとFCノベルティ

なぜか単四電池が3つ裸のまま渡されて、「これは何?」となったけど、難なく点灯できるようになった。振ると中に入ったシリコン粒のおかげで、独特の手ごたえを感じるので振り心地がいい(なんか赤ちゃんのおもちゃみたいだけど)。


開場は、想定していたよりもスムーズ。指定席かつ物販が終わっていないこともあって、結果的に分散入場につながったのでは。

開演前の場内

自分の記憶では、武道館でセンターステージを使っているライブを初めて見た。いつも半分くらい潰したライブを見慣れているせいで、360度開いていると「え、これ全部埋まるの…?」とあまりの席数に圧倒された。


ライブ振り返り

セトリは、OTOTOYのライブレポートから引用。

M01 NEW KAWAII
M02 うえるかむとう~ざ♥ふるっぱー!
M03 君の明るい未来を追いかけて
M04 BABY I LOVED
M05 We are Frontier
M06 Re→TRY & FLY
M07 ふれふるサマー!
M08 ずっと、ずっと、ずっと!
M09 CO-個性
M10 完璧主義で★
M11 ぴゅあいんざわーるど
M12 RADIO GALAXY
M13 Going!
M14 ハートのローラーコースター
M15 世界はキミからはじまる
M16 skyfeelan
M17 キミコイ
M18 ハピチョコ
M19 わたしの一番かわいいところ
M20 超めでたいソング~こんなに幸せでいいのかな?~
ENCORE
M21 わたしの一番かわいいところ
M22 虹
M23 NEW KAWAII

OTOTOYより

正直、最初の「NEW KAWAII」が一番感動したかもしれない。「武道館で、ふるっぱーがライブをしている…!」ということを早い段階で実感して、そのあとはグループの世界観に持ち込む狙いを感じた。斜め前で見ていた仲川推しのおじさんも目頭を押さえていて、勝手に「わかるよ…!」と共感していた(仲川推しなのもポイント高い)。


「うえるかむとう~ざ♥ふるっぱー!」の鎮西さんの入荷ワインの一発ギャグ、過去一よかった(何が)。


個人的に「君の明るい未来を追いかけて」を武道館で聞けたことの特別感は大きかった。

書きかけだった僕独りの物語に
続きをくれたのは君だったんだ

Uta-Netより

この歌詞を聞くたびに、月足天音さんの過去を重ね合わせて胸が熱くなる。FANLIGHTがちゃんと自動で赤に切り替わったので、全力でコールできた。


新曲「BABY I LOVED」は、アルバムに収録されていたのを聞いた途端に「これは、つばきファクトリーかJUICE=JUICEが艶っぽく歌うやつだ…!」となった、お気に入りの楽曲。初披露はこのタイミングしかないと思っていたが、その通りだった。

武道館の演出付きで見ると、ますます山崎あおいのおしゃれな世界観が表現されていて、メンバーとグループの新たな一面が垣間見られた気がした。


「ふれふるサマー!」では昇降ワゴンを使ってスタンド2階までメンバーがせりあがるギミックを使用。2番で乗っていない4人が謎のじゃんけんをしてたけど、あれは何だったんだろう?


「世界はキミからはじまる」「skyfeelan」「キミコイ」は、まるで連続ドラマを1クール見終えたような満足感。メンバー1人ひとりの表情がとても生き生きしていて、感情が乗っていることが伝わってきた。


アンコール明けの曲が始まる前には、アリーナ中に散らばったカメラが全て南側に集結。これが「私の一番かわいいところ」で各メンバー1台ずつカメラをつけてスイッチングするためであったことには後から気づいた。演出に対するこだわりが並々でない。

「虹」は、「skyfeelan」と同様の位置づけ?頻繁に歌われるわけではないけれども、グループを代表する、知る人ぞ知る1曲になりそう。 

メンバーのお手紙に、一言ずつ感想を。

  • 鎮西さん: 過去と現在、そして未来がよく見えている

  • 仲川さん: 地下からキャリアを始めた彼女らしいチームへの感謝と、今後の野心

  • 月足さん: 過去の告白、めっちゃ勇気振り絞ったんだろうな

  • 櫻井さん: アイドル10年、やっと高みたどり着けたというメンバーへの感謝、そしてプレッシャー

  • 松本さん: 大物

  • 早瀬さん: 弱みを見せられるようになったのは、彼女の成長

  • 真中さん: まとめ役が板に付いてきた感ある、立派だった

関連投稿まとめ


メディアのレポートまとめ

感想

ここからは、ライブ周辺で思ったことを適当に語っておきます。

FRUITS ZIPPERの「伸び率」

今回の武道館公演、皆さんはどれくらいすごいと思いますか?僕は「ありえないくらいすごい!!!」と怖くなっています。


今回の武道館公演での動員は、2日間で24,000人と発表されています。

昨年秋に開催された東京体育館公演が8,000人、ツアー全体でも16,000人だそうです。

そもそも、東京体育館の8,000人ですら十分すごいわけです。しかしその半年後に武道館公演を2Daysで成し遂げたのはまさに驚異的であり、紛うことなき成功と言えると思います。

レコード大賞の出演を皮切りに、Mステや地上波の冠番組などメディア出演も多くなり、もう地上アイドルと呼んだところで全く差し支えないでしょう。


これは数字だけじゃなく、僕の体感的にも近いものがあります。

ほんの1年前のふるっぱーは、普通に地下の対バンに出ていてチェキも撮れました。物販も人気メンでも当日に特典券が変えるくらいなので、「売れてはいるけど、まだ地下アイドルかな」くらいの規模です。具体的には、#ババババンビやAppare!、JamsCollectionとかと同じくらいのレベルでした。

それがここ半年で対バンでは特典会がなくなり、生誕祭では主役のチェキ列に400人が殺到するようになりました。そもそも地下アイドルが出る対バンではめったに見られなくなり、有名アーティストが出るフェスに名を連ねるようになりました。もはや「ふるっぱーは地上だよね」というレベルまで成長したのです。


私たちは、FRUITS ZIPPERというモンスターグループが瞬く間にスターダムを駆け上がる、アイドルシーンが大きく変わってしまった転換点にいたのだと、数年後には振り返ることになるんだと思います。


NEW KAWAIIとは何なのか?期待と不安

そんな彼女たちが掲げるキーワードといえば「NEW KAWAII」であり、1stアルバムのタイトルです。ところでNEW KAWAIIってなんなのでしょうか?


その答えは、曲中で既に出されています。武道館公演では、メンバーそれぞれの思う「NEW KAWAII」が声高らかに宣言されました(一般の方の投稿をお借りしています)。

@koya0411

〜5/18(土)FRUITS ZIPPER武道館ライブ NEW KAWAIIセリフ部分抜粋〜 最高のライブでした! #ふるっぱー武道館 #fruitszipper #ふるっぱー @FRUITS ZIPPER

♬ オリジナル楽曲 - Koya - Koya
@ichinose_shin7

5/19 NEW KAWAII 全員セリフver. FRUITS ZIPPER 2nd ANNIVERSARY 超めでたいライブ〜NEW KAWAII〜 @FRUITS ZIPPER #fruitszipper #ふるっぱー #newkawaii #武道館

♬ オリジナル楽曲 - 一ノ瀬 心【Shin】 - 一ノ瀬 心【Shin】

普通は「かわいい」と言われないけど、愛着を感じる。日常に溢れたそんなものをFRUITS ZIPPERは「NEW KAWAII」と定義しているのです。

「kawaii」は21世紀に最も広がった日本語とも言われていますが、これは世界の言語にぴったり当てはまる表現が存在しないからだそうです。日本人である彼女たちが「こんなことも、kawaiiと言っていい。つまり『NEW KAWAII』なんです!」と提唱するのは、まさに「kawaii」のアップデートを目指す世界的なムーブメントとも捉えられるでしょう。なんか少年漫画みたいでワクワクしますね。


しかし僕は、この流れは「kawaii」の衰退を招く恐れもあるなと一抹の不安を覚えています。かつて「オタク」が多様化して、その勢いを失った流れに似ているように思うからです。

これは岡田斗司夫さんが2006年に新宿で行った公演会で述べた内容をもとにしています。一応動画は貼っておきますが、長いので全て見ることはすすめません。

簡単に上記の動画の要旨を説明すると、

かつて「オタク」と呼ばれた人々(現在の50~60代くらい)には、「基礎教養」がありました。このSFは読んで当たり前、深夜アニメ、子供向けアニメも含めて全部見て当たり前、というコンテンツがあったわけです。彼らは自分が好きなものを自分たちで決めていることに誇りを持ち、ある種高貴な存在であったと考えられます。

しかし、メディアが混在している時代に生まれた人々(現在の30~40代くらい)になると状況が変わってきます。1クールに星の数ほどのアニメが放映され、かつてのSFが読まれなくなり、全てを追いかけることは事実上不可能になりました。その結果、各々が好きなコンテンツだけを消費するようになり、「SFオタク」「鉄道オタク」「アイドルオタク」など、分化が進みました。結果として「オタク」の世間的な認知が進み、生きやすくなるようになりました。

しかし分化が進んだ結果、かつての共通認識や概念、言語は失われ、「オタク」は個人的な趣味に貼られるラベルになりました。したがって、かつて力強く生き方を選択していた高貴な「オタク」は死んでしまった、と岡田さんは考えているのです。


これと同じように、あまりにも「kawaii」が多様化すると統一概念が失われてしまわないか?という不安があります。もちろん、彼女たちがそこまで成し遂げたとしたらそれはそれですごいと思うんですけども。


今後のライブアイドルを占う

最後にもう少し大きい話をしておきます。FRUITS ZIPPERが武道館という1つの高みを見た中、そこに続くアイドルは現れるのか?今後のライブアイドル界隈はどうなるのか?ということです(ここでは地上アイドル以外のその他のアイドルを論じるため、あえて地下アイドルではなく「ライブアイドル」としています)。


一言でいえば、「FRUITS ZIPPERをトップとして、ライブアイドル界のホワイト化が進む」と考えています。ここには2つの意味が込められています。


まず、FRUITS ZIPPERに比肩するアイドルが現れるのは難しいということです。

ふるっぱーのブレイクはTikTokでのバズが全てと思われがちですが、そんなことはないと思います。事務所のコネクションと資金力、運営の絶妙なマネジメント、メンバーのステージングに対する並々ならぬこだわりなど、様々な要素が組み合わさった成果であり、おいそれと真似できるものではないでしょう。

ふるっぱーのように売れたいと思うと、「結局、可愛い曲でバズって、キラキラ女子を引っ張ってくればいいんでしょ?」と考えがちですが、それはそんなに簡単なことではないと思います。



一方で、FRUITS ZIPPERのようなアイドルはこれからも増えるし、現場はどんどんクリーンになると思います。これは今回の武道館公演に行って、「ふるっぱー→(ファンの人々)は、明らかにこれまでのアイドルオタクとは違う人種だな」と感じたためです。

私見ですが、地下アイドルオタクは、オタクが生活の一部であり生き方になっている人が多いように思います。地下アイドルオタクであることを自ら選び取り、自分にはこの世界しかないという覚悟のようなものが感じ取れるのです。そんなオタク仲間は、決して友達ではありませんが、同じ場所・時間を共有する戦友のような存在と感じます。

しかし、武道館に集まった人々には、地下アイドルオタク特有の悲壮感や意志が感じられませんでした。彼らはおそらく「選べる立場」にある人間です。別にふるっぱーを応援しても、応援しなくてもいい。だけど友達が、彼女が、パートナーが、娘が、一緒に行こうというからその場にいる。言うなれば「アイドルオタク」というパッケージを利用して、僕らよりも遥かに上手く人生を楽しんでいると言えます。

もちろんこれはFRUITS ZIPPERがそのレベルの人々もうまく取り込んだことの証明でもあります。武道館公演を2日間フル動員するには、そこまで知名度を拡大する必要があったのでしょう。


こういったクリーンなオタクは、これからライブアイドル現場に益々広がってゆくんじゃないかと思います。男臭い、うるさい現場ではなく、キラキラした女子が沢山通うような現場が相対的に増えてくると予想します。過剰な振りコピも横移動も、マサイも、大声でのコール・Mixもいらない。ただ黙々とサイリウムと団扇を振り続けて、推しメンには全肯定するオタクが優遇される、そんな時代がくるのかもしれません。

もちろんこれは現場が通いやすくなるということであり、いい傾向だと思います。僕が現場に通いだした2019年と比べても、アイドルの情報発信は格段に増え、新規オタクが参入する敷居はどんどん下がってきています。ライブのマナーもだいぶ良くなり、横移動しなければ潰される、みたいなライブもだいぶ少なくなりました。

しかしこの流れは、僕にとっては少し寂しく感じます。汚い声を張り上げて、全力で汗を飛ばしたあの日々はもう帰って来ない。そんな喪失感のようなものを覚えるのです。

しかし、ライブが好きなアイドルと、そんなアイドルたちが死ぬほど好きな人たちは必ず残ります。そんな中でかつての「オタク」たちは、これからの身の振りを考えなくてはいけないのかもしれません。


おわりに

まとめます。

秋ツアー、どうしよっかな?

以上です。

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