27.ロボを見分ける方法
友人の鈴木は絶対にロボットだと思う。
最近のロボットは生身の人間と区別がつかず、普通に人間と同じように暮らしている。最新のロボットに関していえば、話し方は当然のこと、見た目や体温・呼吸・心拍まで正確に再現されており、区別がつかない。
その上、鈴木に聞いても本当のところは教えてくれず(そうプログラムされているんだろうが)、生身の人間であると言い張るのだ。
そこまで言うなら、人間かロボットなのか見極めさせてくれ!ということで、勝負を行うことになった。鈴木がロボットである証拠が見つけられれば、僕の勝ち。証拠が出せず、人間なのかロボットなのか分からなければ鈴木の勝ちということである。
そこで、僕は本気を出して、鈴木には体温・心拍・呼吸が分かる時計を装着してもらい、僕の指定したシチュエーションでどういう反応をするかを見極めることになった。
用意したのは、まんまバラエティ番組で出てくる「落とし穴」である。この落とし穴に落ちて、どんな反応をするかによって生身の人間なのか、それとも、そんなレベルの状況には驚かないロボットなのかを見ようと考えたのである。
そして約束した待ち合わせの場所にその落とし穴を用意し、鈴木が来るのを待った。鈴木は約束の時間ちょうどに現れ、期待どおりにキレイに穴に落ちていった。
結果、その時の体温・心拍・呼吸がどうだったのか?見事に生身の人間のように激しい反応があった!そう、見事な反応(の再現)だった。
くそぉ~。ここで、僕はあることを思いついた。
あることをすることによって、「勝てる」と思った。それは、鈴木には「落とし穴」があることが分かった上で、「初めてのように」もう一度落ちて欲しいと頼んだのだ。
すると、鈴木は見事に初めて落ちた時と同じように、穴に落ちた瞬間、激しい驚きの体温・心拍・呼吸の変化を「再現」してみせた。事前に落とし穴があると分かっている人間にはできない芸当である。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?