君に贈る火星の

　火星との電波による通信は、セキュリティ等の観点から一部の富裕層や国家機関のみに許され、一般人は電子媒体や手書きの手紙を定期便に乗せてやり取りをしている。
　そんな中で、4年前に火星に旅立った彼からの手紙を受け取ることができた。昔から相変わらず汚い文字だなぁ、とか思いながら手紙を読む。

　おげんきですか。ぼくだ。
　火星はとてもいいところ。地球のみんなもげんきですか？
　君がいない火星の夜に地球を見ている。君は地球のどこにいるだろう。
　火星に会いに来て貰えると嬉しいのだ。あと、今の地球の人口も知ってたら教えて。これは、君に贈る火星の

　気になるのは、何度も書き直されたように見えることと、こんなに文章下手だっけ。最後が”君に贈る火星の”で終わっているのも気になるし。よく見ると消す前の文字は…餌？

　私は絶対に信じてないけど、火星は異星からの侵略により、征服されたという噂がある。これは本当に彼が書いた手紙なのかなぁ？