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生涯働き続けるために今できることは?かばたあきこ×山葉隆久さん対談

本記事は2024年6月15日にXのスペースで開催した対談内容をまとめたものです。
かばあきこ40歳、山葉さん64歳
親子ほど年の離れた2人で「生涯働き続けたいと思うのはなぜか?そのために必要なものは何か?」について話しました。

実際の対談の録音データはこちら。
「生涯働き続けるために今できることは?」

山葉さんは65歳の定年退職を前に62歳で独立し、現在はYamaha Labo代表。半導体大手のローム元常務取締役でいらした経験を活かして、現在は経営支援アドバイザーおよび大学の特任教授・客員教授としてご活躍中。
人生100年時代に向けて、キャリアやシニアの働き方についてのご講演などもされていらっしゃいます。


「生涯働きたい」その思いのきっかけは?


あきこ
「山葉さんが生涯働き続けるのを意識され始めたのはいつからですか?何かきっかけがあったのでしょうか?」

山葉「50歳の頃に聞いた先輩の言葉が大きいですね。その方は60歳で退職、老後は悠々自適に過ごすと、完全に仕事から引退された方でした。しかし実際にふたを開けてみると、やることがないというのはなかなか大変、パートナーと旅行に行くと言っても四六時中行くわけにもいかない、たまのゴルフの誘いもどんどん頻度は減っていく、意外と寂しいものだと言っていたんですよね。」

あきこ「悠々自適も長く続くとそうなってしまうんですね。」

山葉「この先輩からのアドバイスで定年後の生活を意識するようになりましたね。かばたさんは『シニアの きょういく と きょうよう』って知ってますか?」

あきこ「いえ、知らないです。教育と教養ですか?」

山葉「『きょういく』とは『今日行くべきところ』、『きょうよう』は『今日するべき用事』なんだそうです。シニアの生活には『きょういく』と『きょうよう』が必要なんです。たしかに予定のない生活は嫌だな、身体が動くうちは働いていたいなと思ったきっかけですね。若い頃は相談役みたいに会社に残してもらえたらいいなと漠然とした思いしかありませんでした。逆にあきこさんは40歳の今から生涯働くを意識されている?」

あきこ「そうですね。私は会社員歴15年ほどですが、入社当初は60歳で定年される方が多かったです。でも今は65歳や70歳まで働いている方がほとんど。70歳まで本当に会社員でいるの?さらにその先は?って今の時代だとどうしても意識しちゃいます。」

山葉「平均寿命は男性で81歳、女性は87歳。でもこの平均寿命って若くして亡くなった方も含まれているから実際はもっと長いんですよね。ある論文によると、今の60歳は元気に日常生活が送れる健康寿命でも男性は80歳なんだそうです。定年が65歳だとしても15年もあるんですよね。」

あきこ「15年!しかも女性だともっと長いってことですか?悠々自適で暮らすにはさすがに長すぎますね。でもその用事や予定が仕事である必要って何でしょうか?金銭面が問題なければ、ボランティアや趣味でもいいはずですよね?」

山葉「そこは社会への帰属意識でしょうか。あとは金銭が発生することへの緊張や責任感。働くからこその心地よいストレスが、私にとっては生きがいになっています。」

あきこ「生きがいを保つには仕事という適度な緊張感が必要、と。自分にとって何が生きがいになるのか?今から自分に問いかけていきたいです。」

みかじさんにグラレコを作ってもらいました!

62歳で独立を決意!そのパワーの源は?


あきこ
「山葉さんは退社を決意されてから半年間で準備して独立されたんですよね。そんな短期間で準備できるものなのでしょうか?」

山葉「もうやるしかない、という感じでした。シニア向けの仲介業者に登録したり、何か紹介してよと友人知人に頼んだり。独立直後は社外顧問1社しか決まっておらず、会社の肩書きがないのはこんなに心許ないのかと思いましたね。それでも今は社外顧問は3社にまで増えました。書籍の商業出版につながりましたね。」

あきこ「山葉さんのように華々しい実績のある方でも最初は大変だったんですね。独立に迷いはなかったのでしょうか?」

山葉「先程話した通り『働かないという選択肢はない』と考えていましたからね。そこに迷いはありませんでした。
…でもそうは言っても弱気になったことはありました。話はそれますが、独立前に娘たちに仕事をリタイアしようと思うとLINEしたんです。するとすぐに『お父さんが働かないなんてできないでしょ』『働かないなんてできない性格なんだから、できもしないこと言わなくていいよ』と返事が来て。そんな風に娘たちに背中を押してもらったこともありました。」

あきこ「娘さんたちから見ても、仕事に情熱を傾けてきたお父様だったんですね(笑)」

山葉「あと僕はどこかで楽観的な部分があるんだと思います。」

あきこ「それは、楽観視できるほどの努力や行動力といったパワフルさの裏返しなんでしょうね。チャレンジを続けるために楽観的な部分を持っておく、そしてその楽観性を保つための努力の必要性は私も日々感じています。」

生涯働き続けるのに必要なマインドとは?


あきこ
「私は本業では60歳前後の方とお話する機会が多いのですが、やはり山葉さんの変身資産※はすごいなと思います。歳をとると自分の考えに固執したり、変わることに抵抗のある方が多い傾向を感じます。60歳を過ぎて新しい挑戦ができる秘訣は何ですか?」

※変身資産;「変身資産」とは、自分の中にある変化し成長し続けるための「見えない資産」

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著、池村千秋訳/東洋経済新報社)

山葉「自分は半導体業界という比較的会社の吸収合併が多い業界で長く会社員をしてきました。なので意外と環境の変化には慣れているのかもしれません。それに自分はもともと飽きっぽい性分なんだと思いますよ。」

あきこ「飽きっぽいがとても好意的に聞こえますね。」

山葉「そうですね、他にも好奇心や冒険心、失敗しても前向きでいる楽観性、やり切る持続性、他人の意見を受け入れる素直さ、といったあたりも重要ではないでしょうか。」

あきこ「それらを保つには新しいチャレンジを絶えず続けていく必要がありそうですね。」

山葉「あきこさんの場合も副業で挑戦していますよね、これからも色んな方面にチャレンジして自分の立ち位置を強固なものにされていくんだろうなと期待しています。」

あきこ「ありがとうございます。私は今40歳。世間的にはもう40歳なのでしょうが、80歳まではまだまだ人生折り返し地点です。シニアになってそれまでの経験やスキルを活かしながら働こうと思うと、今から積み上げていくに越したことはありませんね。仮に会社員としての定年を65歳だと考えるとあと25年。今から副業などを通じて、準備をしていきたいと改めて思いました。」

あきこ「本日はありがとうございました!」



いかがだったでしょうか?
スペース自体は終始和やかな雰囲気だったのに、文章にすると「仕事・チャレンジ・どうしたらいい!?」と情熱的な内容になり書いた本人がちょっと焦っています(笑)
人生の先輩からの実感のこもった話を聞けてとても有意義な1時間でした。
せっかくの長い人生、自分が何に生きがいを感じるのか、じっくり考えながら、それを実践できるような内省とチャレンジを続けていかなければいけないと感じました。



対談者紹介

山葉隆久さん

Yamaha Labo 代表。ローム元常務取締役でいらした経験を活かして定年前の62歳で独立し、現在は経営支援アドバイザーおよび大学の特任教授・客員教授としてご活躍中。現在は64歳。人生100年時代に向けて、キャリアやシニアの働き方についてのご講演などもされていらっしゃいます。
2023年には「誰とでもどこででも働ける最強の仕事術」という書籍も出版し、好評発売中です。

かばたあきこ

製造業向けのBtoB企業様を中心に記事執筆を手掛けるWebライター。本業は大手製造業の品質保証エンジニア。プライベートでは小3年中の姉妹を育てるアラフォーママ。

画像協力
サムネイル:こなゆきさん
グラレコ:みかじさん

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