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[米国株投資#1]CRM(顧客関係管理)って何?って話

以前Five9の10-kを調べていたとき、私たちのビジネスはCRMのニーズの高まりにより大きく成長していると書かれていた部分がありました。Five9の10-kを読んでいた元々の目的はコンタクトセンターって何?という疑問を晴らすことだったのに、そもそもCRMとは何かが理解できなくて困ってしまったのです。

この記事は自分がCRMとは何か?という疑問を晴らすために、図書館に行って調べたことを簡単にまとめたものであり、コンタクトセンタービジネスとは何か?そして、$ZMがなぜFive9を買収したのか?について深く理解するための足掛かりになる知識を提供する記事です。

また、それ以外にもCRMが関係してくる銘柄として$ZI, $CRM, $VEEV, $AI, $ZS, $APPSなどがあります。これらの銘柄をホールドしているという方はそれらの企業を分析する上で、知っていて損はない内容になっているかと思います。

CRMとは何か?

初歩中の初歩ですが、CRMはCustomer Relationship Managementの略で日本語では「顧客関係管理」と翻訳されます。ビジネスの世界ではCRM(色んなサービスがあります)を導入するとたくさん良いことがあって、最近ではどんな企業でもCRMを導入してるよって話です。まぁそれだけ聞いてもなんのこっちゃ?となっている人が多いと思うので、まずはCRMの言葉の定義を紹介します。

CRMとは顧客を適切に識別し、ターゲットとする顧客の満足度と企業収益の両方を高めるための経営における選択と集中の仕組みのことです。

まだ難しいですね。ひとまず、言葉の定義はそのまま鵜呑みにしてもらって、CRM戦略には「顧客の識別」「顧客リレーションの構築」の2つの要素があるんだなぁーくらいの認識でいてください。

では、企業がCRMを導入するとどんなメリットがあるのでしょうか?それは、CRMを上手く実践できるとLTV(Life Time Value : 顧客生涯価値)を最大化することができるという回答になります。つまり、「顧客の識別」と「顧客リレーションの構築」が上手くできれば、企業の業績を上げることができるということです。

「顧客の識別」とは何か?

さてCRMの細かい中身を見ていきましょう。初めは「顧客の識別」についてです。簡単そうに見えて実は奥が深いのが「顧客の識別」なのですが、今回は簡単のために、既存顧客のうち誰が優良顧客なのかを考えることが「顧客の識別」だということにしておきましょう。

要するに、たくさん買ってくれる人が優良顧客なのか、継続的に買ってくれる人が優良顧客なのか、早く買ってくれる人が優良顧客なのかなど、自社の考える成長戦略に則して、良い顧客とそうでない顧客を分けて考えましょうというのが「顧客の識別」です。なんとなくイメージが湧いてきたでしょうか?

なぜこんなことをするかというと、ビジネスにはニッパチの法則と言って、80%の売上は20%の顧客が生み出しているという経験則が存在し、だとすると、優良顧客にターゲットを絞って商品を売った方が効率良く売上を伸ばすことができると考えられるからです。

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実際、多くのECビジネスでは70%の売上が30%の顧客から生み出されているという事実があり、また、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持・拡大するコストよりも5倍以上かかってしまいます。このようなことからも優良顧客を識別することの重要性が理解できると思います。

ちなみにZoomInfoやSalesforceがメインでビジネスを行なっているのがこの領域です。ZoomInfoを使うことで、今どの顧客に営業をかけるべきかを知ることができます。Veevaは製薬企業向けのCRMですね。Digital Turbineは最適なスマホユーザーを見つけて広告を打つことができます。

また、C3.aiは従来型のCRMを最新のAI技術を使って再構築しようとしています。トーマス・シーベルに言わせてみれば従来のRCMなんてもう時代遅れだということなんでしょうね。イケおじです...。

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「顧客のリレーションの構築」とは何か?

次に「顧客リレーションの構築」を考えます。これは主に、既存顧客を失わないため(再度商品を買ってもらうため)に顧客との接点を構築することを指します。具体的には、営業担当、店舗、コールセンター(コンタクトセンター)、WEBサイト、ソーシャルメディアなどが挙げられます。

ZoomがFive9の買収を通じて強化した部分はここです。Zoomの既存事業であるビデオ会議もユーザーが顧客と接点を持つために提供するサービスの1つでしたね。

さて、「顧客リレーションの構築」の内容も奥が深く、語るべきところはたくさんあるのですが、とりあえず今回も優良顧客とそうでない顧客に濃淡をつけて接点を持ちましょうというくらいの内容に留めておきたいと思います。

例えば、優良顧客に対しては優秀な営業マンをつけたり、不具合が起きた場合に迅速に対応を行ったり、優先的な情報発信を行ったりすることなどです。これを徹底することによって優良顧客の解約を防ぐことができ、売上の維持、向上に繋げることができます。

自分たちの顧客を理解し、顧客の意志・行動に合わせて最適な顧客接点を設計することが重要なポイントとなっています。

CRMの全体像

本当に簡単に済ませてしまいましたが、以上がCRMのざっくりとした内容の説明です。

先程の復習になりますが、企業はCRMを実践するとLTVを最大化することができるのでした。だから、企業はどこもCRMを導入したいと思っています。

しかし、CRMには「顧客の識別」と「顧客リレーションの構築」の2つの要素を満たさなければならないので、自社で全てを実行しようとすると非常に骨の折れる作業になります。だから、企業はSalesforceを導入したり、ZoomInfoを導入するのです。

一番初めに紹介した銘柄群の業績は押し並べて右肩上がりの成長を見せていますが、その理由が何となくお分かりいただけたでしょうか?

「自分たちの利益を最大化したい」そういった企業のニーズを満たすサービスを提供するのが、SalesforceやZoomInfoやZoomなのです。

CRMをもっと深く知りたくなった人向け

最後にCRMをもっと深く知りたくなった人向けに、参考になる本を紹介しておきます。「この1冊ですべてわかる CRMの基本」という本です。コピペして検索してもらえればこの本のアマゾンのサイトが表示されると思います。

今回、難しい説明はできるだけしたくなかったので意図的に端折ってしまった部分も多く、全体のうち半分も説明し切れていないと思います。自分が切り落とした部分の情報を知りたい方、有名企業のCRM活用事例などより詳しく知りたい方はお近くの図書館で探したり、Amazonで購入してみたりしてください。自分が読んでいて非常に学びの多い本だったので初心者の方にもおすすめできる一冊になっています。


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